人工内耳とコミュニケーション 装用後の日常と「私」の変容をめぐる対話
- ミネルヴァ書房 (2008年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784623050376
感想・レビュー・書評
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難聴手術を経て、手術経過は良好だが、ふらついたり、視界が違ったり、疲労、音の感覚、コミュニケーションにおいて、かなりの変化があり、おかしいなと思っていて、術後ケアの本を読んでいくうちに見つけた本です。
人工内耳を装着した人の話で、手術内容は違うけれど、聴こえると心の変化が生まれる、生活の質が格段に向上する、という私の心境に沿った論文でした。
以下、共感した心情の変化。
・他者(母)との関係形成そのものが当初から困難
・そのときの声色とかしゃべり方によって、その人がどういうふうに感じているかっていう感情まで伝わってきます。
・「知りたくなかったこと」へも否応なく気づかされていく。自分の耳できちんと聴いて整理がつけられるようになる。
・自分はわかったふりをしていた
・話が2割しか聴こえてなかった。(2割という数字に共感)
・うぐいすの声で春を知るといった、生命の躍動感
・1年半ちょっとでも聴こえてくる音が増えてくる(論文での観察期間は2年のようなので、私の場合、これからしばらく続くということになる)
・聴取経験によりライフステージの差異性
・120%で走ってきたが、80%でよくなった。
・やっぱり壁1枚、薄いベールをかぶっていた。
・周囲の世界と自分の間に)距離を置いていた。
・人とコミュニケーションをとったりするのは確かに楽になったけど、むしろ人に自分から接したいという欲望が前よりなくなった(好奇心が薄れたが、それでいいと思っている)
・自分を追いつめる感覚だった。(そのわりには成果が出なかった)
・知識がストップしている(どうも自分は頭が悪いなと思っていた)
・以前の人と話すとロボットみたいに聴こえる(手術以前に話した人と今までどおりの話をしようとすると、自分がロボットのように思える。言葉が借り物のようだ)
・他者の気持ちを察する、共有することができるようになった
・気持ちの共有をしたがるようになる(まさに今)
・やはり生きにくかったなと思う(ズバリ)
・他者から返ってくる反応と自分が信じている足場の予想以上のズレの大きさから、青年期以降「生きにくさ」につながっていく(今までズレてるなと思っていたが、天然で片づけられるのが、理不尽だった)
まだ2年はことばの体験が増えるということも知ったし、心の整理をしながら過ごしていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人工内耳と補聴器は違う
著者プロフィール
黒田生子の作品
