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本 ・本 (440ページ) / ISBN・EAN: 9784623056057
感想・レビュー・書評
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ドイツ人歴史家の手になるヨーロッパ史概説。
著者は35歳までを高校教師として過ごしたのちに著述活動に入り、文学作品から歴史書までを手掛ける人物らしい。
つまりは、歴史学の研究者というわけではない。
そのため、最新の学説であったり著者の研究による新解釈や綿密な歴史分析というものとは無縁である。
しかしそれを差し置いて十分な本書の長所としては、分かりやすく語りかけるような平易な文章と、「ドイツ人として」の肌感覚を重視した著者の歴史感覚が遠慮なく表に出ているところだと思う。
列強による覇権競争、二つの大戦を経て、「一つのヨーロッパ」に向かって試行錯誤を行う現代から歴史を振り返り、ヨーロッパ諸国は中心的役割を担っている大国も辺境の小国も含めて皆歴史の中で固有の役割を果たした必要不可欠な兄弟たちである。
その想いが本書の背骨をなしていると思われる。
単純にヨーロッパ史の歴史的展開を平易に理解できるという点でも優れているが、ヨーロッパ人がヨーロッパ史を振り返るとどういう叙述になるのか。
(しかも本書はドイツでベストセラー、つまり多くの人に受け入れられているようだ)
それを知ることができるのが本書のいいところなのではなかろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示