行政マネジメント (BASIC公共政策学 7)

  • ミネルヴァ書房 (2010年6月10日発売)
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本 ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784623056569

感想・レビュー・書評

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  • NPM等モダニズムに基づく行政マネジメントを中心に、NPS等のポストモダンの行政マネジメントについてもわかりやすく解説。具体的事例の交えながら、よくまとまっていると思うが、読んでいて、個人的にはあまり腑には落ちなかった。

  • 本書は、日本でのNPMの普及に貢献した著者が、「NPMからポストNPMへ」をテーマとして、公共部門のマネジメント手法を体系化した1冊となっています。

    著者は、NPM論の核心を、「業績・成果主義」の導入による政府部門の構造改革として説明し、NPM的なマネジメント改革の本質を、生産性の向上を果たす「執行マネジメント」と政治的価値の重みづけを果たす「トップマネジメント」の両者の役割分担の再構築として整理しています。続いて本書では、その両面から見た政府部門のマネジメント手法の適切なあり方がかなり詳細に論じられ、後半部分で現場の主体的な取り組みに重点を置くポストNPM的なマネジメントの取り組みが紹介されていきます。

    本書の主張の核である「NPMからポストNPMへ」の移行については、NPM論の限界を示す形で説明されています。例えば、トップマネジメントにおいて有用なSWOT分析は、外部環境変化への対応に主眼を置いたものであるため、構成員にとっての「ありたい姿」の共有が進みにくく、主体的な取り組みが行われにくいといった弱点が指摘されます。それを受けて、著者は内部環境要因組織の強み・弱みに重点を置いた全員参加型のポジティブ・アプローチが今後有用であるとして、松戸市の実践例などを紹介しています。
    この辺り、マネジメント手法はあくまで経営者自身の再認識を促すものであり、「意思のないところに手法を適用しても現実は変えることは期待できない」とする著者の問題意識が顕著に表れている論理構成のように感じました。

    個人的には、自治体版SWOT分析の失敗例として、「A市」を境界として外部・内部環境を整理すべき所で「A市役所」を境界としてしまう事例が挙げられていた点に、大変興味を持ちました。この点、住民やNPOなどの「パートナー」と協働して経営に取り組むべき自治体と民間企業で決定的に異なる箇所であり、「公共経営」を考える上で最も重要な論点の1つであるように思います。
    その他にも、事業の責任主体を選定する「事業仕分け」と事業の実施主体を選定する「市場化テスト」がわかりやすく整理されていた点など、大変勉強になりました。

    1点だけ、文章が読みづらかったのが残念です。ところどころ前後の繋がりが不明確な箇所がありました。各ページに図や表が多用されているため、論旨を視覚的に追うことが可能になってはいますが、少し理解するのに時間がかかってしまいました。

    ただ、内容は申し分無いので、公共経営に興味のある方におすすめです。

  • 行政マネジメントを経営学を基礎に公共部門としてアレンジしています。民間と同じフレームを用いる場合と公として独自のフレームを用いる場合を分けることが重要です。

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