村上春樹とハルキムラカミ: 精神分析する作家

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623057719

作品紹介・あらすじ

今までに二度のベスト・セラーを生み出した作家の、創造の秘密をとらえた本。分かりやすい具体例に富む。彼の文学の先端で何が起こっているのか。現代文学にもたらしたものは何か。とりわけ、『ねじまき鳥クロニクル』と『海辺のカフカ』をめぐる部分は示唆的である。精神分析のかかえる起源との距離を、隠喩の構造に重ね、量子論に重ね、阪神大震災とサリン事件にまで射程を延ばす。

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹をフロイトーラカンのラインで読み解く。抑圧、圧縮、置換、診療、転移、シニフィアンの連鎖。大震災、オウム、社会事件(event)と文学、歴史と物語の競合関係。「村上はオウムに負けた!」

    以下、個人的繰り言。

    大江と村上。アクチュアルとフィクショナル。二者択一・後戻り不能の「歴史」と、二者並存・後戻り可の「反歴史」。しかし、フィクショナルなものだけが残ったとき、システムそのものが自壊。以下、ボードリヤール的手順。シミュラークルのためのシミュラークル、ハイパーリアルの世界、象徴交換、死者の逆襲。春樹的死(者)とは、そういった過程を通して現れる死(者)ではないか。再びフロイト(そういえばボードリヤールは「死の欲動」を評価していた)。死の抑圧とその再浮上。パン屋再襲撃、即、死者再登場。

  • 読みたい。

  • 僕という人間には、僕の人生には何かがぽっかりとかけているんだ。失われてしまっているんだよ。そしてその部分はいつも餓えて、河合輝んだその部分を埋めることはできない。それができるのは世界に君一人しかいないんだ。

    最近、村上の作品をあまり読んでいないな。久し振りに読みたくなった。

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著者プロフィール

1951年、埼玉県生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了、同大学教授(フランス文学、文芸批評)。主な著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房)、『謎とき「失われた時を求めて」』(新潮社)、『「ボヴァリー夫人」をごく私的に読む』(せりか書房)、小説に『歓待』(水声社)、『坊っちゃんのそれから』『吾輩のそれから』『先生の夢十夜』(以上、河出書房新社)、主な訳書にクロード・シモン『農耕詩』(白水社)、バルザック『サラジーヌ 他三篇』『ゴプセック・毬打つ猫の店』(以上、岩波文庫)、フローベール『ボヴァリー夫人』(新潮文庫)、プルースト『失われた時を求めて』(角田光代と共訳、新潮社)ほか多数。

「2022年 『村上春樹とフィクショナルなもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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