三条天皇―心にもあらでうき世に長らへば (ミネルヴァ日本評伝選)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623057887

作品紹介・あらすじ

三条天皇(九七六〜一〇一七、在位一〇一一〜一六)。外祖父・藤原兼家の庇護のもと成長し、天皇家の嫡流として皇太子となった居貞親王だが、即位後は道長の圧迫を受けるようになる。失明などの病気に苦しみ、落日の冷泉皇統のために苦闘した、悲劇の天皇の実像を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 即位後の多くが藤原道長との対立に彩られた悲劇の天皇の評伝。詳細に辿られる生涯から、当時の皇位継承に関わる力学や、政争に伴う緊張感・貴族社会の空気などが生々しく伝わってくる。春宮時代と即位後の温度差が生じた要因が非常に興味深い。

  • 「ミネルヴァ日本評伝選」の1冊。企画は壮大だけど、既刊は半分くらいかな?長生きしないと(笑)同じ筆者が「一条天皇」も書いてるから併せて読みたい。
    実資の「小右記」と道長の「御堂関白記」から沢山引用されてる。
    一条の長い治世の間、あれ程お互いに気を遣いながら円満な関係を維持して来たのに、いざ三条治世となれば…。いつの世も人間関係って大変。
    圧巻は、敦康の立太子について一条に諮問された時の行成。一条の立場も道長の思惑も充分理解した上でのこの意見。しかも飽くまでもソフトにね。駆け引きだわ〜寛弘の四納言、使える〜。

    「殴り合う貴族たち」では、平安京の治政に奔走していた道長。今回は天皇家との駆け引きはじめ政争に明け暮れ、かつ12人の子女を采配する。ま、三条に嫁した妍子の立后に腐心している間にフォロー手薄な明子腹の三男・顕信に出家されたりとか、失敗もあるけど(笑)
    藤家長者、半端なく大変。でも行事をかち合わせる「未必の嫌がらせ」は、流石に大人気ないと思います。

    百人一首の「心にもあらで」の歌は譲位直前に詠まれた歌らしい。この時にはもう、既にほぼ失明状態で、月は見れなかったことを思うと…切ないなあ。

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著者プロフィール

1958年、三重県津市生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学。主著に『平安朝 皇位継承の闇』『皇子たちの悲劇』(角川選書)、『一条天皇』(吉川弘文館)、『蘇我氏』『藤原氏』『公家源氏』(中公新書)、『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(講談社学術文庫)、『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)などがある。

「2023年 『小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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