永田鉄山 平和維持は軍人の最大責務なり (ミネルヴァ日本評伝選)
- ミネルヴァ書房 (2011年6月10日発売)
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感想 : 5件
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Amazon.co.jp ・本 (348ページ) / ISBN・EAN: 9784623060740
感想・レビュー・書評
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本書では、日本を戦争へ追いやった統制派のボスとの見方を取らない。確かに一夕会には参加しており、軍務局長となってからは荒木・真崎系の排除もした。しかし派閥を率いたという永田像ではないのだ。むしろ、軍閥を嫌っていたとある。幼年学校以来のエリートであり、軍務局長就任時は新聞各紙が喝采で報じたとあるぐらいなので、目立った存在として誇張され、それ故に攻撃の的になったのではないか。著者が前書きで述べるように、戦後の永田評価が大きく割れるのも、論者の政治的主張が先に立つからだろう。
本書が描く永田は、軍政官僚として国民と軍事の近さが必要だと考えていた。これを、国民の戦争動員だと否定的に見るか。軍事の独走防止、世論の支持や政党政治との調和の必要性だと肯定的に見るか。本書では後者だ。総力戦と大正デモクラシーの時代に相応しいと言えないか。軍事課員時代には統帥権改革や軍部大臣文官制に対し柔軟。軍事課長時代の満州事変に対しては軍内の統制に取り組む。しかしそれ以降は「熱しやすく冷めやすい」国民性に多少失望したようでもある。
30歳前後の大尉での欧州駐在時は、第一次世界大戦下の欧州を目の当たりにしたという意義はあるだろうが、生活はけっこう楽しそうだ。
なお、張作霖爆殺事件の処理について、田中総理は軍法会議で厳罰の方針に固執するも、政友会出身の閣僚はみな事件公表に反対する。陸軍特に参謀本部は統帥権への容喙だと反発する。田中総理が少し可哀想になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「統制派」の代表格とみなされ、陸軍省軍務局長を務めるも陸軍派閥対立の犠牲となって刺殺された昭和期の陸軍軍人永田鉄山の評伝。
本書では、永田鉄山の書き遺した書類などの一次史料に加え、陸軍の公文書や外務省の害子文書、陸軍軍人の私文書、永田鉄山に関する新聞記事等の史料を駆使し、永田鉄山が陸軍を独走(暴走)させないという一貫した信念と、日本国民一人ひとりが日本の国防の責任を担うという自覚を持つことという大きな理想をもつ軍人であったことを浮かび上がらせている。 -
永田鉄山の評伝と言うだけで胸熱。満州事変や対中関係に関する行動がよく分からない事が有ったけどこの本で少しはわかったと思う。
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陸軍内の派閥抗争に倒れた永田の生涯を初めて知った。著者がやや永田に肩入れしすぎてる感はあるが、良書だと思う。石原莞爾は「天才」で、永田は「秀才」だったんだね。
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