国際政治から考える東アジア共同体 (青山学院大学総合研究所叢書)

  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623063161

作品紹介・あらすじ

アジアの地域統合を多元的に捉え直す。理論と制度の検討に加え、EU、アメリカ、ASEANなど各地域との比較から、課題や可能性を徹底分析。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに良書に巡り合えた。
    地域統合(そして国際制度一般)は相対的な知からや利得が将来変化しないことを前提とするといわれる。東アジアでは相対的な知からが将来大きく変わると考えられる。そうすると東アジでは地域的な制度は形成されても、力の大きな変化に適応するために極めて柔軟なものとなる可能性があり、深い統合は、相対的な力の変なが収まったときに初めて進展する。

    アメリカはアジア、中近東を支配することによって世界大国になったといっても過言ではない。アジアは近代、冷戦期、冷戦終焉後を通じて、経済的にも安全保障上もきわめて戦略上重要な地域であった。

    EUを除けばASEANは世界中で最も地域統合に成功した制度であると言われている。

    ヨーロッパとの大きな違いは冷戦期に西側に所属し、市場経済を共有してきた日本と韓国の間で長いこと政治的な和解がなかなか進展しなかったこと。

    国際秩序の基礎として主権問題にどう対応するかは21世紀においても国際関係や世界の安定の基本問題である。

  • 第Ⅰ部 国際政治と東アジア共同体
    第1章 地域統合の理論化と問題点 (山本吉宣)
    第2章 アジア地域統合とアメリカの関与 (羽場久美子)
         「東アジア共同体」からTPPの諸問題
    第3章 地域統合と主権ディスコース (押村 高)
         EU事例と東アジアへの適用
    第4章 東アジア共同体と憲章草案 (中村民雄)
         [東アジア共同体憲章案(議論のための研究者思案)]

    第Ⅱ部 東アジア共同体をどうつくるか
    第5章 ASEANに見るいびつな鏡に映したヨーロッパ統合 (山影 進)
    第6章 東アジア共同体と朝鮮半島 (李 鍾元)
    第7章 アジア太平洋国際関係と地域統合の新機軸 (天児 慧)
    第8章 バルカンにおける地域史の試み (柴 宣弘)
         東アジアとの比較

    第Ⅲ部 安全保障と東アジア
    第9章 アジアの地域安全保障制度化と中国 (高木誠一郎)
         1990年代~2007年
    第10章 EUと東アジアの安全保障におけるアメリカの役割 (森井裕一)
    第11章 「東アジア共同体」への疑問 (袴田茂樹)
          ロシア研究の視点から

    第Ⅳ部 FTA・人の移動と東アジア
    第12章 日本とモンゴルの経済連携協定 (岩田伸人)
          鉱物資源エネルギーをめぐる交渉
    第13章 地域統合と移動するマイノリティ (宮島 喬)
          ヨーロッパとの比較における東アジア

    第Ⅴ部 欧州からのまなざしと東アジア統合
    第14章 地域統合とアイデンティティ (吉野良子)
    第15章 戦後ドイツと地域統合 (清水 聡)
          西ヨーロッパと東アジアの国際政治

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著者プロフィール

新潟県立大学教授(政策研究センター、大学院国際地域学研究科)。1943年、神奈川県生まれ。1966年、東京大学教養学部卒業。1974年、ミシガン大学でPh.D.(政治学)取得。埼玉大学、東京大学、青山学院大学勤務を経て現職。専門は、国際政治学、国際制度論、国際安全保障論。現在、国際安全保障環境の変化とアジア太平洋の秩序を研究。著書に、『国際的相互依存』(東京大学出版会、1989年)、『「帝国」の国際政治学』(東信堂、2006年、第7回読売・吉野作造賞受賞)、『国際レジームとガバナンス』(有斐閣、2008年)など。

「2015年 『国際地域学の展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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