- Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623064496
感想・レビュー・書評
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2013年段階での論壇の動向も踏まえ、更新した日本文学史。面白い。
筆者にとって、古典とは「時代の荒波に揉まれても価値を喪失しなかった一種の「規範」であり、またあるべき「権威」であり、ゆえに、前近代社会においては、一人前の大人になるための「教養」や「教育」手段となる書物」と述べている。
他の前近代文明が、宗教書や思想書、歴史書に重きを置くのに対して、何故に日本では文学が古典となるのか。
日本にとって、正統的な古典よりも『伊勢物語』や『源氏物語』の研究が進んでいたからであり、それらの書物を通して教育が成されていったからだと言う。
なるほど、日本の源はウタであり、和歌はその心性を表現する重要な手段であった。のみならず、それは後にステータスとなり、政治的意味合いも持つ。
現代、古典とは必ずしも近世までを包括しているわけではないように思う。
漱石や鴎外も、この言を以ってすれば充分に古典に値するのであって、だからこそ古代や中世から読まれてきた古典に、もう一度スポットを当てて欲しいというのが私個人の思いである。
といった助長なレビューはここまでにして。
古代と中世に焦点をあてたこの文学史だが、紙や、紀行と巡礼の違いや、未来記についてなどが書かれているコラムも、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の古代・中世文学はいかにして生まれ、どのように展開したのか。現代まで伝えられてきたその魅力の源はどこにあるのか。本書では、万葉集、源氏物語、古今集・新古今集、平家物語といった、従来からの文学に加え、神話、歴史物語、絵画、古典註釈といった領域にも目配りをして、新たな文学史を組み立てる。最新の研究成果を反映した待望の通史。