日韓歴史認識問題とは何か (叢書・知を究める)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
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本棚登録 : 101
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623071753

作品紹介・あらすじ

ともに民主主義国であり、経済的結びつきも強い日韓両国は、なぜ歴史認識問題で対立し続けているのか。1980年代以降の歴史教科書問題、そして1990年代以降の「従軍慰安婦」問題などが起こり続ける背景には何があるか。本書では、日韓両国の政治過程を丹念に辿ることから、両国のナショナリズムが高まる中で両国のエリート統治が機能不全に陥り、「期待」と「失望」を繰り返してしまう構造を解明する。
[ここがポイント]
◎ 日韓両国は、歴史教科書問題、「従軍慰安婦」問題など、なぜ歴史認識で対立し続けるのか、その背景を解明する。
◎ 両国のエリート統治不全、そしてナショナリズムの高まりを描く。

感想・レビュー・書評

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  • いやもう論文の教科書って感じ。ほんと論理的で理知的。
    日韓双方の主張や立場がかなり整理されていて、「歴史問題」が何であったかが良く理解できる。

    ただまあ、じゃあどう解決すればいいか、となるとわからんってのが正直なところだよね。本書もその部分はトーンダウンしちゃってる感じ。とかく国際政治は難しい。

  • 日韓歴史認識問題について、その流れを概観する。歴史認識問題は、過去の事実に目が行きがちだが、実際はその過去の事実を見る現在の問題であるとしているのが、筆者のスタンス。この点は、本書を通じて、支持できると思った。

    しかし、そうだとしても、歴史認識問題を乗り越えるのは難しいと思う。なぜなら本書でも述べられている通り、歴史認識は、各国それぞれあるからだ。そんなもんだ、と考えるしかないのだろうか?

  • 歴史認識をめぐる対立が日韓の間で激化しています。ここまで拗れたのはなぜなのか。本書はこの疑問に答えようとする試みです。両国間における歴史認識問題の経緯を跡付け、歴史認識問題の歴史的背景を浮き彫りにしています。言ってみれば、論争の対象である〝過去〟を検討した本ではありません。むしろ、過去に対する意味付けが耳目を集める〝現代〟の状況に分析の焦点は当てられています。〝病気〟の治療には〝原因〟の把握が必要なように、この対立について思案するにも原因の把握が不可欠です。筆者はそのように喩えています。新聞記事におけるキーワードの使用数に加え、貿易量や出入国者数などの数値も集計されており、取り巻く環境の変容が図式的に示されています。両国内における政治状況にも目配りされています。歴史認識問題の構図を鳥瞰的に捉えた一冊です。近年の日韓関係に関心を持つ方におすすめの一冊になります。
    (ラーニング・アドバイザー/国際 OYAMA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1630518

  •  歴史認識問題は「過去」の問題である以上にその時点ごとの「現在」の問題である、筆者はこの点を強調し、両国の政治過程を丹念に整理している。
     80年代以降なぜ教科書問題や慰安婦問題が激化したか。筆者は、日本統治期には少年期でしかなかった「新しい知日派」の登場や、冷戦終結による「反共自由主義」韓国の位置付けの変化も挙げつつ、最大の要因としては、従来は両国の統治エリート間で処理していた問題が「大衆化」(筆者はそういう言葉は使っていないが)したことだと見ているようである。90年代前半~半ばの日本政治が不安定であったことや、2000年代の同時期の小泉総理・盧武鉉大統領が共にポピュリスト的手法で支持を得たことは、韓国専門家ではなくとも容易に想起できる。
     そして筆者は結論として、この問題への対処(「解決」ではない)は、相手国に自らの重要性を粘り強く伝えることだとしている。楽観的にはなれないが、少なくとも「強制連行はあったか」「どちらの歴史認識が正しいか」、はたまた「人的・文化的交流により相互理解が深まれば自然と改善する」といったありがちな主張よりはずっと説得力があると感じられる。

  • ヘビーそうな内容に尻込みして積読していたが、先日の日韓両政府の動きで慌てて読みだすと、意外にすらすら読める文章の巧みさと真摯な学究姿勢にあっという間に読み終えてしまった。
    ◯◯のせいでこうなった、という単純な犯人は存在しない。

  • 【版元】
    ジャンル 日本史  政治・法律
    シリーズ 叢書・知を究める
    出版年 2014年10月20日
    ISBN 9784623071753
    判型・頁数 4-6・296頁
    定価 本体2,800円+税

    [第16回 2015年度 読売・吉野作造賞 受賞]
     ともに民主主義国であり、経済的結びつきも強い日韓両国は、なぜ歴史認識問題で対立し続けているのか。80年代以降の歴史教科書問題、そして90年代以降の「従軍慰安婦」問題などが起こり続ける背景には何があるのか。本書では、日韓両国の政治過程を丹念に辿り、両国のナショナリズムが高まる中で両国のエリート統治が機能不全に陥り、「期待」と「失望」を繰り返してしまう構造を解明する。

    [ここがポイント]
    ◎ 日韓両国は、歴史教科書問題、「従軍慰安婦」問題など、なぜ歴史認識で対立し続けるのか、その背景を解明する。
    ◎ 両国のエリート統治不全、そしてナショナリズムの高まりを描く。
    http://www.minervashobo.co.jp/book/b182605.html

    【目次】
    はじめに [i-v]
    目次 [vii-xiv]

    序章 歴史認識問題をめぐる不思議な状況 001
      韓国併合再検討国際会議  重要性と特殊性  分析者としての立場から  歴史認識問題と「過去」の探究  研究への不要な圧力  朝鮮半島研究をめぐる悪循環

    第一章 歴史認識問題を考えるための理論的枠組み 015
    1 歴史認識問題の歴史的展開とその原因 015
      データベースから見えるもの  一九九○年代のアイロニー  既存の説明の限界――韓国の民主化  日本原因論の検討――再びデータから見えてくるもの   「言説」の一人歩き
    2 価値基準としての歴史認識 027
      歴史認識問題の歴史的展開  理論的分析枠組み
    3 「歴史」と「歴史認識」 033
      二つの発展段階  例えば日記の場合  「歴史認識」の重要性

    第二章 歴史認識問題の三要因 041
    1 世代交代 041
      これまでの議論  第一の時期――「戦後処理」の時代  サンフランシスコ講和条約と日韓基本条約  第二の時期――沈黙の時代  「私は貝になりたい」  第三の時期――戦後世代の登場と歴史の再発見
    2 国際関係の変化 055
      従軍慰安婦問題から見えるもの  ソウル五輪・「キーセン観光」批判・歴史認識問題  韓国をめぐる国際情勢の変化  日韓間の人的移動から
    3 経済政策と冷戦の終焉 066
      韓国の経済発展と発展戦略  グローバル化を加速させる経済政策  冷戦と内戦からの出発

    第三章 日韓歴史教科書問題 075
    1 歴史教科書問題の起源 075
      歴史教科書問題の重要性  歴史教科書問題と家永裁判
    2 中韓両国の反応 080
      報道直後の韓国の反応  中国の反応の重要性  誤認された「現実」  韓国における認識の変化
    3 日韓両国政治の流動化の中で 089
      日本の「右傾化」を歓迎する韓国メディア?  一九八○年代初頭という時代  日本政治の流動化  社会党と北朝鮮の蜜月  全斗煥政権の警戒  社会党の影

    第四章 転換期としての80年代 103
    1 終焉へ向かう冷戦 103
      デタントの中の韓国  「日本を知らない世代」の登場
    2 日韓関係の変化 111
      「新しい知日派」の登場  戦後日本の衝撃  許文道の場合  克日運動  日本側の変化  垂直的な関係から水平的な関係へ
    3 『新編日本史』 124
      『新編日本史』――八○年代の日本ナショナリズム  ナショナリズムを押さえ込む保守政治家  『新編日本史』の末路
    4 エリート政治の終焉 130
      歴史認識問題統制の崩壊  再び歴史認識問題の「同時代的意味」

    第五章 従軍慰安婦問題 137
    1 五五年体制末期の日本政治 137
      韓国側の理解  日本側の事情  社会党の変容  「予行演習」としての海部訪韓
    2 第一次加藤談話 146
      従軍慰安婦問題の本格的浮上  宮沢訪韓に向けて  第一次加藤談話
    3 宮沢訪韓 157
      真相解明なき「反省」  通商問題の激化  「反省」に次ぐ「反省」  前提の崩壊
    4 「誠意なき謝罪」という言説 164
      歴史認識問題の構造変化  盧泰愚政権と民主自由党  韓国国内政治としての従軍慰安婦問題  九二年韓国大統領選挙と金鍾泌
    5 日本政府の対応 174
      抽象的謝罪と具体的謝罪  難問を押し付けられた日本政府
    6 第二次加藤談話 178
      韓国政府の戦略と従軍慰安婦問題の基本構造  袋小路の宮沢政権
    7 河野談話 185
      歴史認識の分岐点  政治解決への模索  「駆け込み談話」
    8 村山談話からアジア女性基金へ 193
      細川政権下の小春日和  村山政権期の歴史認識問題のメカニズム  弱い政権による「談話」  韓国併合の合法/違法問題  歴史認識をめぐる努力の「崩壊」  「アジア女性基金」の挫折

    第六章 「失われた20年」の中の歴史認識問題 209
    1 変化する日本社会 209
      従軍慰安婦問題の展開から見えてくること  新しい教科書をつくる会  教科書記述の変化  遅れてきた「冷戦終焉」  エリート批判の登場
    2 ナショナル・ポピュリズムの時代 223
      グローバル化の国内的影響  経済的低迷と失われたエリートの威信  「ポピュリスト」の登場  ナショナリストになったポピュリスト
    3 ポスト・ポピュリズム時代の歴史認識問題 231
      ポピュリズムからナショナリズムへ  早過ぎるレイムダック現象の出現  政治状況の不安定化と歴史認識問題の激化
    4 悪化する日韓関係 237
      嫌韓流――韓国を過剰に意識する日本人の登場  日本ナショナリズムの変化と「米中新冷戦」  政権交代の残したもの  「期待」の消滅

    終章 日韓歴史認識問題をどうするか 245
      日韓歴史共同研究の教訓  「共通の歴史教科書」は作れない  日本自身の重要性を説明せよ

    参考文献 [253-260]
    むすびにかえて(二〇一四年九月七日 秋夕休暇で閑散とした高麗大学の宿舎にて 木村幹) [261-266]
    日韓歴史認識問題関係年表 [267-272]
    人名・事項索引 [1-6]

  • 極めて冷静かつ客観的な筆致で日韓歴史認識問題拡大の経緯がまとめられている。

    相手国の状況に対する深い理解に基づかず、思い込み、信条、善意から起こした行動が、意図と全く逆の結果を生んでしまったというのは、今後に向けての大きな教訓とすべきだろう。

    本書の構成上、打開策についても簡単に触れられているが、事ここに至ってはなるようにしかならないというのが本当のところではないか。

  • 日韓歴史認識問題で取り上げられる「過去」の事実がどうだったのかを解明するのではなく、日韓歴史認識問題自体が「現在」に至るまでになぜこじれてしまったのかを解明している。
    日韓歴史認識問題が、「過去」に関する問題である以上に、「現在」の問題であるということがよく理解できた。
    韓国における日本の重要性の低下等の日韓歴史認識問題の背景は、不可逆的なものであると思われ、日韓歴史認識問題の完全解決はおそらく当分難しいと感じる。今後の日韓関係においては、日韓歴史認識問題の存在を前提にしつつ、これ以上こじらせないように互いに配慮し合うとともに、本書で指摘されるように、(日本が韓国との良好な関係を維持しようとするのなら、)日本は韓国に対して日本自身の重要性をアピールしていくことが必要なのだと思う。

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著者プロフィール

木村幹(著)
神戸大学大学院国際協力研究科教授(比較政治)
第25回サントリー学芸賞ほか受賞。
『韓国現代史 大統領たちの栄光と蹉跌』(中央公論社)、『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)ほか。

「2017年 『だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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