孝謙・称徳天皇 出家しても政を行ふに豈障らず (ミネルヴァ日本評伝選)
- ミネルヴァ書房 (2014年10月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (380ページ) / ISBN・EAN: 9784623071814
感想・レビュー・書評
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女性の積極的な登用に強い意志を感じます。権力闘争の激しい天平ですが、ここまで執拗に足を引っ張る者がいるのに驚きです。父聖武が掲げた鎮護国家の理念を引き継ぎ、絶対的な孤独のなかで、矜持を持ち、思索を重ね、行動に移した異色の女帝でした。丹念に調べられていて、孝謙・称徳天皇に対する理解が深まりました。やはり対で理解すべき道鏡の考えや行動も書いて頂き、天平を立体的に知りたくなりました。
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日本史上唯一の女性皇太子を経ての即位、政争を乗り越え出家の身での重祚となった波乱の治世をたどる内容。生涯の折々における仏教との関わりを重視し、その独自の政治姿勢や行動原理を追求する視点が興味深かった。
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今書かれる古代史の評伝は、やはりこの時代を反映するものになるのだなあ。
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孝謙・称徳天皇(718~770、在位:749~758、764~770)
異例の女性皇太子を経て即位し、藤原仲麻呂ら多くの政敵と闘い、父聖武天皇の仏教政策を継承しつつも、道鏡を重用し独自の政治を行った孝謙・称徳天皇。本書では「王権と仏教」「女性と仏教」という視点から、その実像に迫る。
[ここがポイント]
◎ 道鏡を重用して独自の政治を行った背景に何があったのか。
◎ 「王権と仏教」「女性と仏教」という視点から実像に迫る。
恵美押勝の乱に勝利した孝謙太上天皇は、称徳天皇として重祚するが、宣命第二十八詔で「出家しても政を行ふに豈障るべき物には在らず」と述べ、前代未聞の出家天皇としての政治を宣言した。これはまさに称徳による最終的な「崇仏天皇」の確立であった(本書184〜185頁参照)
著者プロフィール
勝浦令子の作品
