現代とはどのような時代なのか:現代文明論の試み (小林道憲〈生命の哲学〉コレクション)

著者 :
  • ミネルヴァ書房
2.00
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623077311

作品紹介・あらすじ

自然を略奪し、根源性を喪失した人間、高貴なものを見失った大衆の氾濫など、現代の諸相を叙述し、時代の精神状況を批判的に考察する現代文明論。
国家像を喪失した時代状況を熟慮しながら、自由主義と全体主義、国家と倫理、国家の理想と堕落など、〈国家とは何か〉〈現代の国家はどのような状況にあるのか〉という問題に取り組んだ現代国家論。

感想・レビュー・書評

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  • 『欲望の体制』(1985年、南窓社)と『われわれにとって国家とは何か』(1985年、自由社)を加筆修正したものと、それぞれに関連するテーマをあつかった論考5編を収録しています。

    『欲望の体制』は、著者の文明批評ですが、うしなわれた時代をロマン主義的な懐旧をこめて語るのみで、現代という時代と向きあおうとする態度が欠けているように感じられました。

    国家論についての諸論考では、個人と国家が相互に規定される関係にあるという立場が掲げられています。著者はヘーゲル研究から哲学者としてのキャリアを開始したということもあり、ヘーゲルの国家論から大きな影響を受けたものと思われますが、やや素朴な国家有機体論の表明にとどまっているように思います。

    多少興味を惹かれたのは、1942年に雑誌『文学界』誌上でおこなわれた「近代の超克」の座談会について考察している論考でした。著者自身の観点からではありますが、参加者たちの意見がコンパクトにまとめられ、手際よく整理されていて、まとまりのない放談のように思えるこの座談会の概要を知ることができます。

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著者プロフィール

小林道憲(こばやし・みちのり)
1944(昭和19)年 福井県生まれ。
1972(昭和47)年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。
現在、福井大学教育地域科学部教授、
麗澤大学比較文明文化研究センター客員教授。
専攻は哲学・文明論。

主な著書
〈哲学研究〉
『ヘーゲル「精神現象学」の考察』『生命と宇宙』
『複雑系社会の倫理学』『宗教とはなにか』
『宗教をどう生きるか』『複雑系の哲学』
『生命の哲学—〈生きる〉とは何かということ』(人文書館)
〈現代文明論〉
『欲望の体制』『われわれにとって国家とは何か』
『近代主義を超えて』『20世紀を読む』
『二十世紀とは何であったか』
『不安な時代、そして文明の衰退』
『対論・文明のこころを問う』(共著)
〈比較文明論・日本研究〉
『古代探求』『古代日本海文明交流圏』
『文明の交流史観』等がある。

「2008年 『生命(いのち)の哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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