現代とはどのような時代なのか:現代文明論の試み (小林道憲〈生命の哲学〉コレクション)
- ミネルヴァ書房 (2017年2月10日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623077311
作品紹介・あらすじ
自然を略奪し、根源性を喪失した人間、高貴なものを見失った大衆の氾濫など、現代の諸相を叙述し、時代の精神状況を批判的に考察する現代文明論。
国家像を喪失した時代状況を熟慮しながら、自由主義と全体主義、国家と倫理、国家の理想と堕落など、〈国家とは何か〉〈現代の国家はどのような状況にあるのか〉という問題に取り組んだ現代国家論。
感想・レビュー・書評
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『欲望の体制』(1985年、南窓社)と『われわれにとって国家とは何か』(1985年、自由社)を加筆修正したものと、それぞれに関連するテーマをあつかった論考5編を収録しています。
『欲望の体制』は、著者の文明批評ですが、うしなわれた時代をロマン主義的な懐旧をこめて語るのみで、現代という時代と向きあおうとする態度が欠けているように感じられました。
国家論についての諸論考では、個人と国家が相互に規定される関係にあるという立場が掲げられています。著者はヘーゲル研究から哲学者としてのキャリアを開始したということもあり、ヘーゲルの国家論から大きな影響を受けたものと思われますが、やや素朴な国家有機体論の表明にとどまっているように思います。
多少興味を惹かれたのは、1942年に雑誌『文学界』誌上でおこなわれた「近代の超克」の座談会について考察している論考でした。著者自身の観点からではありますが、参加者たちの意見がコンパクトにまとめられ、手際よく整理されていて、まとまりのない放談のように思えるこの座談会の概要を知ることができます。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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