「死にたい」の根っこには自己否定感がありました。:妻と夫、この世界を生きてゆく

  • ミネルヴァ書房
3.67
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本棚登録 : 35
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623091553

作品紹介・あらすじ

「逃げろ」「離婚しろ」「かかわるな」…ネットでそう表現される “境界性パーソナリティ障害”をはじめ、不安障害、双極性障害などの心の病を約20年前に発症した妻。依存、暴力、自傷・自殺未遂を繰り返すも、逃げずに向き合い続ける夫と過ごす時間の中で、根底にあった「自己否定感」に気づき、自身の特性と対処法を見つけていく。――
本書は、自己否定感にとらわれ生きることが苦しくなった人と、その周りで悩み、抜け道がみつからない人へ贈るメッセージブックです。延べ1000人余の相談を受けるなかで夫婦に寄せられたQ&Aも収録。「何が発症につながったのか」「どうして克服できたのか」「その後何に気をつけているか」――当事者の妻とその夫が紡ぐ、克服のメソッド。

感想・レビュー・書評

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  • まず思ったのは「夫すごすぎる!」
    殴られたり殺されかけても見捨てないのは誰でもできることじゃない、というか、この人だからだろう。
    でも著者みたいな人に付き合うには人生を捧げないといけないし、死にたいという気持ちに引きずられて自分も希死念慮を持ってしまう。
    難しいな。
    また、物語ではないので丸く解決するわけではないことはわかっているが、元凶の父親が何の咎めもなく反省もないことに納得がいかなかった。
    ここまで心と人生を壊されて、この著者はこのままでいいんだろうか?
    最後に、著者が寛解したのは夫の存在によるが、そういうパートナーがいない人はどうするんだろう?
    自分に人生を捧げて助けてくれる人がいないと、医師が支えてくれても独りでは難しい気がした。

  • 「死にたい」の根っこには自己否定感がありました。:妻と夫、この世界を生きてゆく。自己否定して自己否定感に囲まれて生活してもなにもいいことはない。咲 セリ先生と咲生和臣先生の著書。境界性パーソナリティ障害、不安障害、双極性障害などの心の病、精神疾患をお持ちの咲 セリ先生だからこその説得力のある内容。自己否定ではなく自己肯定、自己否定感ではなく自己肯定感。自分大好き自分一番。身勝手自己中心的でいい。

  • 咲セリ、咲生和臣『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました。』(ミネルヴァ書房、2021年)は生き辛さを抱える女性と、その夫の書籍である。日本社会の生き辛さは深刻な問題である。頑張ることを美徳とする昭和の精神論根性論が、生き辛さを増やしている。同じく昭和の対面コミュニケーションの強要も生き辛さを増やしている。

    自殺を考えるほど追い詰められた背景には自己否定感がある。それ故に自分を肯定することが大切である。しかし、ここに落とし穴がある。日本人の陥りがちな姿勢は、嫌なことやマイナスなことがあってもプラス面を見つけて頑張るというものである。それでは余計に辛くなる。

    無理をしないことが大切である。著者は感情が噴出して暴れた時に「自分の心を無視しないで、吐き出してくれてありがとう」と捉える(26頁)。我慢して頑張ることを否定する自己肯定が生き辛さの解消になる。「楽しい集まりでも帰る時間を遅くしないようにする」というものもある(68頁)。頑張って楽しむことも無理であり、止めることが正しい。

    安易にうつ病などの診断がなされ、薬が処方されることも問題である。本当に苦しんでいる人の救いにはならない。著者は処方薬依存に陥った。「むさぼるようにして薬をかっこんだ」「人通りの激しい街の中、病院の扉をドンドンと叩き、叫び続けた」(36頁)。その行動は麻薬や危険ドラッグなど依存性薬物の禁断症状を彷彿とさせる。

    本書は病院に行く際の有用な対策として自分問診票を予め作成して渡すことを紹介する。「口ではうまく説明できないこともある」ためである(43頁)。この点も対面コミュニケーション至上主義の欠点を考慮している。

    本書には著者が猫に救われたエピソードがある。感動的なエピソードであるが、安易にペットに期待することを戒める。「他の命を安易に預かるのは避けた方がいい」と正論を説いている(56頁)。実際、著者は猫のお陰で好転したが、その猫の死により悪化した。

    夫にも以下の記述がある。「僕には、自分たちの勝手で飼いはじめた猫たちを看取る責任がある。それだけがずっと、いつ崩れてもおかしくない精神状態を支えていた」(146頁)。義務感で動くことは健全ではない。今は豪華な葬儀をしなければペットへの愛が足りないなどと飼い主の義務感に付け込む悪質なペット葬儀業者などもいる。義務感は生き辛さを増大させる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生きていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。
主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)、小説処女作『臆病な僕らは幸福を病んで』(ぷねうま舎)などがある。

「2022年 『永遠をひろって』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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