広田弘毅:常に平和主義者だった (ミネルヴァ日本評伝選225)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623092680

作品紹介・あらすじ

広田弘毅(1878年から1948年)外交官・政治家。

外交官として欧米局長や駐ソ連大使などを経て、外相や首相を歴任。英米との協調を模索しつつ、中国政策をめぐって対軍部コントロールに苦慮する。東京裁判でA級戦犯として処刑された唯一の文官であり、悲劇の宰相として知られる。

感想・レビュー・書評

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  •  序章で、城山三郎の小説による良心的な「悲劇の宰相」(ただし対欧米協調の幣原路線とは異なる)と、臼井勝美による軍部に近い「アジア派」という、対照的な2つの広田イメージを挙げる。
     結論として著者自身の広田評はどちらとも一致しない。副題のごとく「常に平和主義者だった」かはともかく。現状維持、英米協調と日中提携の均衡保持、永田鉄山の死までは統制派を通じた陸軍制御を企図、軍部の政治介入には譲歩しつつも抵抗、ある程度までは日中和平の模索、というものだ。
     若い頃に玄洋社と一定の関係があったとはいえ、広田自身に強い思想心情があったり、特定の方向や事件を主導したりしたようには見えない。指導者として責任は免れ得ないとは言え、それが死刑判決に値するものかどうか。

  • 東2法経図・6F指定:289/Mi43/Inoue

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著者プロフィール

井上寿一
1956年(昭和31)東京都生まれ。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法学博士。同助手を経て、89年より学習院大学法学部助教授。93年より学習院大学法学部政治学科教授。2014~20年学習院大学学長。専攻・日本政治外交史、歴史政策論。
著書に『危機のなかの協調外交』(山川出版社、1994年。第25回吉田茂賞受賞)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書、2011年)、『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年)、『政友会と民政党』(中公新書、2012年)、『戦争調査会』(講談社現代新書、2017年)、『機密費外交』(講談社現代新書、2018年)、『日中戦争』(『日中戦争下の日本』改訂版、講談社学術文庫、2018年)、『広田弘毅』(ミネルヴァ書房、2021年)他多数

「2022年 『矢部貞治 知識人と政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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