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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784623097210
作品紹介・あらすじ
私たちは、ふだん当たり前のように使っている「ことば」を、いったいどのように獲得したのでしょうか。本書は、「いつの間にか」次の展開へと移ろいでしまう子どもの言語発達に目を向け、ことばを身につける過程に詰まったさまざまな不思議を探索します。子どもの小さな頭と身体、そしてその周囲でなにが起こっているのか、ことばの発達の舞台裏をめぐることで子育てや保育・教育・療育にきっと新しい楽しさとおもしろさが見つかります。
感想・レビュー・書評
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2025.2.10市立図書館 →購入(2025.2.26)
週末、新聞の広告を見て興味を持った。ちょうど図書館の書架にあったので借りてきた。読みやすくておもしろくて、読み終えて、ちょっと手元に置きたくなった。
博士論文を土台としてまとめられた12章仕立てで、保育学生向けの講義にもちょうどよさそうな内容だけど、保育の現場や子育てでいそがしい人、一般の読者も気軽に読めるように、至れり尽くせりの親切設計(イラスト多数、まとめページや文献リスト、そのQRコード、文献の探し方など⋯)で、子どもの言語習得の観察を中心に、あたりまえのように使いこなしていることばの世界の不思議に分け入っていく発達研究&言語習得入門ツアー。
わたしたちがいつのまにか言葉を操れるようになってそれで会話したり学んだりできるというのがいかにすごいことか(と個人的にはつねづね思っているけれど、一般にはなかなか理解されない)、ツアーを通じてそれに気がつくだけでも収穫は大きいし、それこそがこの本の狙いともいえそう。
言葉の通じない赤ちゃんが言葉をどう理解しているかおもしろいデータがたくさん出てくるが、そのデータを得るための実験方法などについてもコラム[研究の舞台裏]で紹介されていて、30年前(学生時代)に出会っていたらそっちの道(発達心理学)に迷い込んでいたかもしれない。
巻末に置かれた現場の保育士/幼稚園教諭の方、そして発達心理学者との対談もそれぞれよかった。
赤ちゃんがはじめにつかいはじめる(一見名詞=モノ語にみえる)単語を品詞として未分化な状態として「胚性詞」と名付け、その実態をくわしく調べるというアプローチはとても興味深かった。もともと外国語には思いがけないぐらい情報量が多い「単語」があるものだけれど、そういうのは未分化のまま固定化したものと言えるのかもしれない。子どもの母語習得とそれ以降の言語習得が決定的に違うのは品詞や文法の概念が頭にあるかないかが大きいのかもしれない。言語習得では文法は多少の難易があってもそれなりに教えるためのステップがはっきりしてる一方で、語彙は最終的に本人次第というところもあってそこが大きな壁だと思っているが、こういう研究の応用で語学にもなにか光明がさす日が来るかもしれない。
また学習のしかたの研究という点ではこどもの言語習得や発達の研究とAI研究には似た側面もあるので、相互交流でそれぞれの研究の発展に寄与するのではないか、という話もよかった。いろいろな点と線がつながっていく感じでわくわくしてほんとうにおもしろかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/707803 -
とてもよい本でした。初学者にもわかりやすいように、参考文献や論文の見分け方まで丁寧に書いてくれています。モノ語と行為語の中間にある胚性詞という考え方がとても面白かったです。大人とは違った子どもの世界把握の仕方の手がかりになるような気がします。
その他、面白かったのは、研究の舞台裏というコラムで、発達に関する考察がどのような実験研究によって導かれたのかが書かれています。どうしてそういう結論になるのかの手続きがわかってとても興味深かったです。また本当にその結果からその考察が導き出されるのかと言う疑問や関心を持つきっかけにもなるので、とても良いコラムだったと思います。
端末の多くの飲用文献参考文献は、専門的に勉強したい人に大変役に立つと思います。 -
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https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01429521
著者プロフィール
萩原広道の作品





