「歴史」の世界史 (ミネルヴァ世界史〈翻訳〉ライブラリー 7)

  • ミネルヴァ書房 (2024年7月23日発売)
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  • 本 ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623097401

作品紹介・あらすじ

世界の諸地域において、歴史的な考え方、歴史の記録・記述、そして歴史の方法はいかにして生まれ、展開したのだろうか。本書は、ヨーロッパで発達した歴史の考え方、叙述の方法(「歴史」)が、非ヨーロッパに拡大し、そこでの土着の歴史と遭遇したとき、どのような変化が生まれるのか、この相互の「歴史」の「連動」関係を丹念に追う。古代近東における最初期の歴史叙述から、現代の歴史学をめぐる最新トピックと議論までをカバーする、ダイナミックな書。

感想・レビュー・書評

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  • 「史学史」という言葉を聞いたことがない人もいるかもしれません。

    この本は古代から現在までの「史学史」=「歴史学の歴史」を概説した本です。主要な人物・事項の索引や各章の年表、「議論のための例題」があるため、気になるところから読み始めるのもいいでしょう。

    歴史学というと、多くの人が「過去にあった出来事を研究し、事実に忠実に書く」ことをイメージすると思います。
    もちろんそのイメージは間違いではないのですが、歴史学の手法や理論は時代や国のあり方によって大きく変わってきました。

    この本を読むと、歴史学は他の学問と同じように、変化に満ちた刺激的なものだとわかります。
    たとえば今では当たり前に見られる国民の日常生活に注目した歴史の描き方さえ、20世紀以降に本格的に始まったものです。
    また近年注目されているジェンダー史も、歴史学で取り扱われたのは1980年代からです。女性史とジェンダー史とは何が違うのかといったことも、この本ではわかりやすく説明されています。

    更に、歴史学はつねに政治やモラルの問題とも深く関わっています。
    たとえば、1960年代のアフリカの「脱植民地化」以降、西洋から見た視点とは異なる、植民地以前のアフリカ史を描こうとする動きが活発になりました。

    「歴史の授業は退屈」と思っていた人も、歴史学の変遷を知ると歴史を楽しめるかもしれません。

    (図書館員)

    佐賀大学附属図書館OPACはこちら↓
    https://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD07897578

  • 現在の歴史観に至るまでの経緯を知るための教科書。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/718606

  • 序 章 用語と視角
       歴史と人間
       「ヒストリー」
       「ヒストリオグラフィー」  
       「西洋」の歴史
       ヨーロッパ中心主義
       「ヨーロッパの地方化」

    第1章 歴史叙述の最初期の形態
       古代の近東
       「タナハ」からヨセフスに至る古代ユダヤの歴史的思考
       古代ギリシア初期の歴史叙述
       ヘロドトスとトゥキュディデス
       紀元前4~前2世紀のギリシアにおける歴史叙述
       共和政時代から帝政時代までのローマにおける歴史叙述
       黎明期から漢王朝までの中国における歴史叙述

    第2章 15世紀中頃までのユーラシアにおける歴史
       キリスト教徒と異教徒のもとでのヨーロッパの歴史記述
       ムハンマドからイブン・ハルドゥーンまでのイスラーム的歴史叙述
       南アジアにおける歴史の諸形態
       唐代から元代までの東アジアにおける歴史叙述
       年代記の時代――中世末期のキリスト教国における歴史記述

    第3章 過去というものの意識――1450~1700年
       ルネサンスと17世紀のヨーロッパ
       明朝・清朝初期における中国の歴史記述
       イスラーム圏アジアとアフリカにおける近世の歴史叙述
       新世界との遭遇⑴――アジアとアメリカ大陸におけるヨーロッパ人
       新世界との遭遇⑵――アメリカ土着のいろいろな歴史
       新世界との遭遇⑶――初期北米植民地における歴史

    第4章 啓蒙、革命そして反動――1700~1830年
       18世紀ヨーロッパの歴史文化
       哲学的歴史、憶測、発展段階説
       フランス啓蒙主義における歴史的思考――ヴォルテール、コンドルセ、ルソー
       ドイツの啓蒙主義
       東アジアの啓蒙主義
       革命、ロマン主義、歴史主義  
       国民(ネイション)に奉仕する歴史

    第5章 過去の規律化――専門化、帝国主義そして科学 1830~1945年
       導入のための概観
       偉大な変革者――ランケとその影響
       ヨーロッパと北米における歴史の諸制度と「専門職業」の始まり
       歴史、科学、決定論
       ランケに対する文化的・社会的オルタナティヴ  
       歴史学の帝国主義か――西洋の方法の諸モデルのヨーロッパ圏外への衝撃
       歴史の新企画と女性――1800~1945年
       歴史主義の危機か――20世紀初頭

    第6章 移 行――戦間期から現在に至るまでの歴史学
       アナール学派の歴史家たち――ミクロヒストリー
       歴史と社会科学
       独裁体制と権威主義体制のもとでの歴史
       下からの歴史
       さまざまなインテレクチュアル・ヒストリー
       女性史からジェンダーとセクシュアリティの歴史へ
       戦後アフリカの歴史叙述
       言語論的転回とポストモダン
       西洋の脱中心化――ポストコロニアリズム
       歴史戦争、修正主義、そして「記憶」と「歴史」との疑わしい関係

    第7章 私たちはどこへ行くのか――反省、新たな方向、そして兆候

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