コミュニケイション的行為の理論 中

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624010805

作品紹介・あらすじ

ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」論と英米の言語分析哲学を吸収するなど、ウェーバーの近代合理主義論にコミュニケイション的行為合理性の観点から挑戦する中期の主著。
目次
第三章 第一中間考察――社会的行為、目的活動、コミュニケイション
   分析的意味理論と分析行為理論への序言
  (1) ヴェーバーの行為論の二つの解釈案
  (2) 成果志向的言語使用と了解志向的言語使用。発語媒介的効果の位置価
  (3) 意味と妥当。発話行為の申し出の発語内的拘束効果
  (4) 妥当要求とコミュニケイション話法。異論の検討
  (5) 発話行為の分類の競合的試み(オールスティン、サール、クレッケル)。言語に媒介された相互行為の純粋類型
  (6) 形式的語用論と経験的語用論。文字通りの意味 対 脈略に依存する意味。非顕在的知識という背景
第四章 ルカーチからアドルノへ――物象化としての合理化
  予備考察――生活世界の合理化対行為体系の複合性の増大
 第一節 西欧マルクス主義の伝統の中でのマックス・ヴェーバー
  (1) 意味喪失のテーゼについて
  (2) 自由喪失のテーゼについて
  (3) ヴェーバーの合理化テーゼについてのルカーチの解釈
 第二節 道具的理性批判
  (1) ファシズム論と大衆文化論
  (2) 新トマス主義と新実証主義に対する批判
  (3) 啓蒙の弁証法
  (4) 修行としての否定弁証法
  (5) (b) 自己表示的構成部分
   (c) 発話内的構成部分
   (d) 了解志向的行為の反省形式と反省的自己関係
 第三節 聖なるものの言語化の合理的構造
  (1) 法の発展と社会的統合の形態変化
   (a) 契約の非協約的基礎
   (b) 機械的連帯から有機的連帯へ
  (2) 全面的に統合された社会という極端なケースを想定したこの形態変化の論理の説明
  (3) ミードによる討議倫理の基礎づけ
  (4) 補論――アイデンティティーと個性化について。人格の数的、種属的、質的同定(ヘンリッヒ、トゥーゲントハット)
  (5) ミードの社会理論に対する二つの留保

感想・レビュー・書評

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  • 忍耐力と目の筋肉を鍛えることには成功したと間違えなく言える。コミュニケイションするにあたっては両方とも必要な能力だ。一見無益と思われる「人づき合い」に対する忍耐力、人間を物理的に観察するための目の筋肉。信頼関係を気付くための基礎たる部分と言える。

    そう。論文の意味、わからなかった。ほとんどいみふめい。とりあえずわかる範囲で、ハーバーマスが問うてることについてまとめようかと思う。記録的な意味も込めて。

    「あいさつや人づき合い、協調性、毎日の練習は、嫌でも、逃げても追いかけてくる。必要なのは意識しながら慣れること。そうすると「友達」になれる。」今年の甲子園を制した甲南高校の我喜屋監督の言葉だ。「甲子園の優勝を花だとすると、花は枝、枝は幹が支え、全体を支えているのは目に見えない根っこ。小さいことを確実にこなすことが、根っこづくり」興南を優勝に導いた「我喜屋イズム」である。
    これを「成功」を目指す組織の中でやろうとすると大変な労力がかかるわけだが、僕たち個人も日常のコミュニケイションの中で同じようなことをやっている(もちろん!興南がやっている事とは水準が違う!)。例えば前者の言葉のようなことが出来ない人間は総じて「友達」が少ないし(良いか悪いかは知らん!)、後者の「花」をこれまた花のある恋愛だと考えれば、それが完全な一対一で成立するものではなく、様々な「根っこ」によって支えられていることがわかる。イロイロあるのです!
    そこでハーバーマスが問うているのは「何故「友達」になれるのか」ということ。そして、花・茎・幹を支えているのが根っこならば、その根っこはどんなもので、さらにそれを支える土や空気はどんなものか、どんな働きをしているのかということだ。前者は「了解」過程の厳密化を進める議論であり、後者はその前提を問う議論である。
    以上が出来る限りの理解。この中巻には会話をパターン化して分析するという論述が有る。論文を理解した暁、会話が出来なくなってしまうのでは。会話中にパターンが再生されるのなんてイヤである。ハーバーマスはいつもどんなふうに「コミュニケイション」してるのやら。

  • ぬぬ、さすがに上巻読まないときついか?

  • 哲学の新たな集約点。
    コミュニケーションによる合理性という新たな哲学の地平を切り開いた書籍。

    難解です。

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著者プロフィール

(Jürgen Habermas)
1929年ドイツのデュッセルドルフ生まれ。ゲッティンゲン、チューリヒ、ボンの各大学でドイツ文学、心理学、社会学、哲学を修め、56年フランクフルト社会研究所のアドルノの助手となり、フランクフルト学派第二世代としての歩みを始める。61年『公共性の構造転換』で教授資格を取得し、ハイデルベルク大学教授となる。64年フランクフルト大学教授、71年マックス・プランク研究所所長を歴任、82年以降はフランクフルト大学に戻り、ホルクハイマー記念講座教授を務め、94年退官。60年代末のガダマーらとの解釈学論争、ルーマンとの社会システム論争、さらに『コミュニケーション的行為の理論』をはじめとする精力的な仕事、歴史家論争以降の多方面にわたる社会的・政治的発言を通じて、ドイツ思想界をリードし、国際的にも大きな影響を与えてきた。2004 年11月に「京都賞」を受賞。邦訳された主な著書に、『討議倫理』、『他者の受容』、『人間の将来とバイオエシックス』、『引き裂かれた西洋』、『自然主義と宗教の間』、『真理と正当化』(以上、小局刊)などがある。

「2019年 『ヨーロッパ憲法論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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