公共性の構造転換☆〔第2版〕☆

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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624011239

作品紹介・あらすじ

市民的公共性の自由主義的モデルの成立と社会福祉国家におけるその変貌をカント、ヘーゲル、マルクスにおける公共性論を援用しながら論じる。第2版には批判への応答を含む。いまや古典的な名著。
目次
一九九〇年新版への序言

 序言

第一章 序論 市民的公共性の一類型の序論的区画
  第一節 出発点の問い
  第二節 代表的具現の公共性の類型について
  第三節 市民的公共性の成立史によせて

第二章 公共性の社会的構造
  第四節 基本構図
  第五節 公共性の制度(施設)
  第六節 市民的家族 公衆に関わる私生活の制度化
  第七節 文芸的公共性と政治的公共性との関係

第三章 公共性の政治的機能
  第八節 モデルケースとしてのイギリスにおける発展
  第九節 大陸における諸変型
  第一〇節 私的自律の圏としての市民社会 私法と自由化された市場
  第一一節 市民的法治国家における公共性の矛盾をはらんだ制度化 

第四章 市民的公共性 イデーとイデオロギー
  第一二節 公論 論点の前史
  第一三節 政治と道徳の媒介原理としての公開性――カント
  第一四節 公共性の弁証法によせて――ヘーゲルとマルクス
  第一五節 自由主義理論にあらわれた公共性の両価的把握
          ――ジョン・ステュアート・ミルとアレクシス・ド・トックヴィル

第五章 公共性の社会的構造変化
  第一六節 公共圏と私的領域との交錯傾向
  第一七節 社会圏と親密圏の両極分解
  第一八節 文化を論議する公衆から文化を消費する公衆へ
  第一九節 基本図式の消滅 市民的公共性の崩壊の発展経路

第六章 公共性の政治的機能変化
  第二〇節 民間文筆家たちのジャーナリズムから
          マス・メディアの公共サーヴィスへ 公共性の機能としての広告
  第二一節 公開性の原理の機能変化
  第二二節 造成された公共性と非公共的意見 住民の選挙行動
  第二三節 自由主義的法治国家から福祉国家への変形過程における政治的公共性

第七章 公論の概念のために
  第二四節 国家法的擬制としての公論 この概念の社会心理学的解体
  第二五節 問題解明の社会学的な試み

感想・レビュー・書評

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  • この著書で分かるのは、民主主義を担う主体がどのように遷移してきたかということである。
    政治について議論する公衆がどのようにしてどのようなところにどのような条件で生まれ、推移し、こんにちどのような状態にあるのか。
    民主制がそれを前提とし、それがどのように機能不全に陥り(あるいは構造的矛盾を含み)こんにちどのような状態にあるのか。

    民主主義を考える上で、民主主義が機能する条件、現状の民主主義の状態を把握するために有用な一冊。
    アレント、ヴェーバーなどと並んで必ず話題に上ってくる(ほど分かりやすいともいえる)本でもある。
    言語学、情報論、コミュニケーション論が政治を扱う場合(扱わない場合など殆どないと思うが)などもこれを参照しておくことが理解に大きな助けとなるのではないだろうか。

    (公的空間において教養と財産があり民主的議論をする)市民と(そうでない)民衆という大きな二つの対立軸が目玉だが、それ以外の軸や二項以上の側面についての考察は他の著書にゆだねられるだろう。また、教養については詳しく語られているが、財産についてはアレントの『人間の条件』を参照するのがよいと思うし、市民と民衆という社会的条件がある程度依っている「都市」という重要な地理的条件についてはルフェーブルが『都市への権利』で具体的な考察を試みている。

    もう半世紀以上も前の著作だが、マスメディアに触れる部分や私的利害によって動く福祉国家に対する鋭い考察など、今読んでも鋭い考察に驚かされる。

  • 全然読めない。『監獄の誕生』とかもそうだったけど一次文献的な歴史モノグラフは一生楽しめなさそう。

  •  公共圏/私的圏域の線引きが変遷する様相を、社会史的にまとめた一冊。「公共圏」を議論の主線として用いる一方で、対義語である「私的圏域」についての記載が分散しているので、ヒジョーに読みにくい。というかまだ1,2,5章しか読めていないのに、既に情報量が膨大なのでここにまとめます。

     「私的圏域」は、「経済の単位であること」「個人的な親密性・人間性の源泉であること」あたりから成っているように読めます。

     かつて自己完結性が強かった家内生産/家内消費は、封建制を経たのち、資本主義としてスケールを大きくしていきます。社会が制度化されていないなかで情報媒体が発達し、経済や人間性のあるべき姿を議論できる「公衆」が誕生します。例のコーヒーハウスですね。
     しかし国民国家と資本主義の制度化がさらに進むと、まさに「プライベートな企業」たちが「世間のあるべき姿」を勝手に体現し、市場シェアの確保を目論むように。メディアや討議すら商業化し、消費者はまさに消費するだけの存在になっていきます。
    --

     この本は事実の確認を目的としているので、「どうすべきか」には触れていません。パッと思うのは、①ブルジョワじゃないのに勉強して公衆になるとか無理でしょ、 ②コミュニケーションのしんどさ/消費の心地良さに抗うにはどうしたらよいか、③自分語り的な自称社会善(これ自体は完全悪でない)を中和するにはどうしたらよいか、ってことです。

     また読めたら読みたいけど、こういうときは読まないので誠に勝手ながら読了とさせていただきます。疲れた。

  • 18世紀、一般市民がロンドンのコーヒーハウスで、自由闊達に議論していた。新思想とその批評。社会的地位は不問、自由な議論、誰でも参加できる。世論一般の声ではなく、判断力をもった、教養と財産をもった市民の議論。他者を手段としてではなく、自律した人格として尊重。あらゆる立場の他者を理解し、他者を説得する理由を示しながら、他者との合意に達しようとする。究極的に真理を目指して討議する。素晴らしい世界。▼しかし、19世紀に変化が起こる。大衆社会、行政権力や貨幣経済システムがこうした自由な言論空間を侵食しはじめた。福祉国家では、お金を政府からもらっている人・団体は政府に批判しにくくなる。民間企業も政府に働きかけて経済支援を引き出そうとする。福祉国家、民間企業により市民社会と国家との境界があやふやになった。自由で自律した個人による討論ができない。▼この残念な変化に対抗する担い手として、ボランティア、NPO/NGO、市民会議。新しい市民社会。政府でも民間企業でもない領域で、人々が互いに討議をし、合意して、物事を進めていこう。ユルゲン・ハーバマスHabermas『公共性の構造転換』1962
    ※市民社会は自由意志にもとづく連帯・結合の制度。一方、公共圏はコミュニケーションそのもの。自律的なコミュニケーションのための社会的な基盤が市民社会。

    言語を使い、自分と他人、お互いを理解し合うこと・合意することを目指して行われる行為。話し手は、事実に基づいて本当のことを言わないといけない。嘘を言ってはいけない。聞き手は賛成してもいいし、反論してもいい。素晴らしい世界。▼それに対して、権力(政治)や貨幣(経済)は自分の目的を実現するための戦略的な行為。けしからん世界。この悪しき世界が、お互いに理解・合意したりする素晴らしい世界を浸食している。権力・貨幣システムによって人々の生活世界が浸食されている・植民地化されている。こうした現状を一般市民のコミュニケーション行為に基づく合意形成によって打破しよう。ユルゲン・ハーバマスHabermas『コミュニケーション的行為の理論』1985
    ※討議。いつかは多数決で決定を下さないといけないが、多数決による決定が間違ってるかもしれないと、討議の参加者は認識すべき。

    啓蒙的理性は大切。近代が目指していた「市民が互いに討議をし、合意して、物事を進めていく」世界は未だ到達できていない。近代は未だ完成していない。ニーチェ、フーコー、デリダけしからん。近代の啓蒙的理性は哲学者ではなく、一般市民によって蘇生する。ユルゲン・ハーバマスHabermas『近代の哲学的ディスコース』1988

    普遍的な正義の原理を追求するよりも、自由民主主義を前提としながら、異なる世界観・価値観を持った人々の間で重なり合う合意を目指す。相手を説得するときは公共的な理由だけに訴える。特定の世界観・包括的な見解に訴えるべきではない。ジョン・ロールズRawls『Political Liberalism』1993

    インターネットで、特定のサイトに同種の考え方をもつ人々が集まり、閉鎖的な環境で議論する結果、極端な世論が形成される。group polarization。キャス・サンスティーンSunstein『Republic.com』2001

  • 東2法経図・6F指定:361.234A/H11k/Tamate

  • 2021.03 『世界の古典 必読の名作・傑作200冊』より
    http://naokis.doorblog.jp/archives/Koten_SatoMasaru2.html

  • 初訳の後、原著は改訂を重ねているが、邦訳の方は、残念ながら全面的に改訳されるには至っていない。とはいえ、二冊並べて脚注を比較すると、原著改訂が反映されている。「公共性」という邦訳タイトルを、「公共圏」と読み替えた方が、ストンと落ちる気がする。

  • 系・院推薦図書 総合教育院
    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 361||HA
    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/162022

  • ヨーロッパにおける間接民主主義が、夜のカフェで行われてきた「政治談議」によって初めて、政治と社会を繋いでいたことを指摘し、公共とは、政府が提供するものではなく、そういった一連の市民活動まで拡大して考えるべきとした点がとても印象に残った。なるほど、「公共性」の「構造転換」だ。

  • 第二版である。後半で新聞について具体的に記載されているところが出てきた。更に最後の方で社会心理学に言及しているところがでてきたのには驚きである。

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