パーリアとしてのユダヤ人

  • 未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624111199

作品紹介・あらすじ

ユダヤ人思想家として知られる著者が自らのユダヤ人性を賭けて論じた迫真のユダヤ人論。パーリアとは追放者、被抑圧者の意であり、ユダヤ人の苦難の歴史を内側の目から見直す。

感想・レビュー・書評

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  • カフカの章は大変参考になりました。アレントの読みのオリジナリティ(状況に引き寄せて読む)とポジティブ(希望)さに感動する。

  • パーリアとしてのユダヤ人
    (和書)2012年03月21日 15:42
    未来社 ハンナ アレント, 寺島 俊穂, 藤原 隆裕宣


    もし躓きそうになったらハンナ・アーレントさんの本を読み返せばいいと思いました。

    『組織された罪』
    ・・・しかし、確かなことがひとつある。人類の逃れられない責任に対して心底不安を抱いている人たち、そのような人たちだけが、人間が惹き起こすかもしれない恐るべき悪に対して勇敢に、妥協せず、全面的に闘いを挑まなければならぬとき、頼りになるのである。

  • 第5章「シオニズム再考」(1945年)を10頁ほど読んだだけで衝撃を受ける。ユダヤ人の彼女が、イスラエル建国による現在の状況を正しく予言している…

  • ユダヤ社会は非常に不寛容なもの。ユダヤ民族性を否定してまで完全な承認を求める。なぜならさもないと現地人から完全に受け入れられることなどあり得ないから。
    ハイネは自分について、私はドイツ人であると同時にユダヤ人でもあると本当に言い切ることができたに違いないただ1人のドイツ系ユダヤ人である。
    カフカの主人公たちはどんな思い上がりもなく、目的意識をもって社会に立ち向かい。さらにまたユダヤ人の伝統的なパーリア的資質やいじらしい無垢さ、さらに陽気な不運さというものもカフカの小説の主人公にはない。

    ユダヤ人が反ユダヤ主義に対してどのように対処すべきかということは常に懸案となっている。

    シオニズム運動は社会主義とナショナリズムという19世紀の2つの典型的な政治的イデオロギーによってはぐくまれたといえる。
    シオニストも現実の闘争から永遠の反ユダヤ主義の教養にのがれた。ユダヤ人と非ユダヤ人との関係をいたるところで常に支配し、ユダヤ民族の生存をも左右するもの。

    西欧のシオニストは子供を大学に通わすことのできた裕福なユダヤ人ブルジョアのごく一部。

    アレントはナチズムの台頭のもとでユダヤ人としての自己認識を高めていったのだが、それは端的にいえば、同化主義の否定であり、ユダヤ人としての自己肯定である。

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著者プロフィール

1906-75年。ドイツに生まれ、アメリカで活躍した哲学者・政治思想家。主な著書に、本書(1958年)のほか、『全体主義の起源』(1951年)、『革命について』(1963年)など。

「2023年 『人間の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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