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本 ・本 (214ページ) / ISBN・EAN: 9784624221065
作品紹介・あらすじ
〔日本民衆史7〕日本にサツマイモが入って来たのは近世の始めであるといわれる。以後、日本人の食生活の上で占める甘藷の位置はかなり高い。本書は農業史で等閑視される甘藷の再評価を迫る。
目次
はしがき
一 アメリカ発見と甘藷
二 甘藷琉球に伝わる
三 ウイリアム・アダムスと甘藷
四 親民鑑月集
五 紀伊・瀬戸内海への伝播
六 宮崎安貞
七 貝原益軒
八 薩摩坊ノ津
九 鉄砲伝来
一〇 鹿児島への甘藷の再来
一一 陶山鈍翁と対馬の甘藷
一二 下見吉十郎
一三 井戸平左衛門
一四 青木昆陽
一五 各地への甘藷の伝播
一六 甘藷の品種の多様化
一七 殻寄せ奉公
一八 貧しきものの生きがい
一九 甘藷の地方名
二〇 甘藷の食べ方
二一 明治維新後の甘藷
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
日本におけるさつまいもの歴史が書かれている。
この本の内容は体系的に書かれているわけではなく、各章毎の関連性は小さい内容となっている。
さつまいもが日本に入るまではそれなりに時間がかかっているが米や麦についで、重要な作物として栽培され、貧困な畑でも育つさつまいもは救荒作物として、大いに栽培されていたことがよく分かる内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今や、「石焼き芋~、お芋~、お芋、ほくほくでおいしい石焼き芋」と言って秋になると聞く機会がある。秋に欠かせない食材の1つとして地位を確立した焼き芋。芋の歴史をひも解いたのが今回の本。著者は、民俗学者として有名。芋の歴史と言っても一味違う歴史本だ。
甘藷の歴史をコロンブスによるアメリカ大陸発見からはじめている。発見された側にとっては悲惨な出来事だったが、発見によって今の時代で手に取って食べることができる食材が伝えられることになったという良いこともあった。
その後、甘藷が琉球へと入って薩摩と言うルートが良く知られているが、意外なことに今の長崎県にある平戸にも甘藷が伝えられていたという話が載っている。
江戸時代に甘藷には毒があるという流言があったとされているが、九州ではたくさんの人が作っているとして、時の将軍徳川吉宗が側近から聞いた話が載っている。そして、あの青木昆陽がある人から大岡越前守忠相に紹介されて、吉宗から江戸での甘藷の栽培を言いつけたとある。その後、日本各地で甘藷が広まっていく。
読んでいて驚いたのが、江戸時代に旅行手形や宗門手形を持ち歩かないで移動していた人たちがいたことだ。要求されていたのは、高持の百姓に対してであったと書かれている。
著者が最後に「甘藷の歴史のなかに私は近世の庶民の運命を見る思いがする」とあるように、芋が人々の胃袋を満たして今日まで来ている。芋だからと言って甘く見てはいけない。
著者プロフィール
宮本常一の作品





