俳優修業 第1部

  • 未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784624700232

感想・レビュー・書評

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  • 河合隼雄が何度読み返しても発見があると勧めていたように思う。
    ミルトン・エリクソンもそうだけれど、精神に造詣が深い人は身体の精神に与える影響への関心もとても深い。

    「俳優修業」は演じる事と役を生きる事が絶対的に違うという事を何度も生徒に強調する。

    ・「鏡」を使うのは、常に用心しなければいけない。それは、俳優に、彼自身としても、また役としても、彼の魂の内面よりは、外面に注意する事を教えるものだ。

    ・精神の動きがあれば、止まっていてもそれは動的であって、それを無理に「表現」する必要はない。

    ・君は他人の想像上のフィクションを信じ込み、そいつを生かすという事が、つまらない事だと思うのかね?君には誰か他人の暗示したテーマに基づいて構想する事が、自分でテーマを考え出すよりもずっと難しいという事が分からないのだろうか? … 我々は作家の台詞のなかに我々自身の思想を注ぎ込むし、劇中の他の人物や彼らの生活の諸条件に対して、我々自身の関係を打ち立てる。我々は我々が、作家や演出家から受け取るすべての材料を、我々自身の手で濾すのである。我々はそれらを、我々自身の創造によって捕捉してはそれらを加工するのだ。 … 我々の情緒は誠実で、とどのつまりは我々は、本当に生産的な活動をするわけである。

    作者のスタニスラフスキィが俳優の学校でどんな教えを受けたのか、つづられる。スタニスラフスキィの演技を知っている人なら、もっと楽しめたと思う。私はスタニスラフスキィを知らないが、それでも示唆的だった。

  • 河合隼雄氏が、心理療法家の読むべき書物としてこの本を推薦している。
    「ぼくは一般に芸術的才能はないけど、ほんとに鍛えたら演劇だけはできたかもしらんと思いますよ。あのころ千田是也が訳したスタニスラアスキーの『俳優修業』があったでしょう。あれを読んでものすごく感激しましたよ」。河合氏は『俳優修業』を、高校教師をしている時に、「教師という職業が俳優とよく似たところがあると思ったので、読んだ」のだ。
    と大塚信一さんの「河合隼雄 心理療法家の誕生」という本にも引用されています。

    しかし、文庫本の「深層意識への道」(新装本:河合隼雄の読書人生) のp45を見ると「俳優修業 」とは山田肇さんの訳で未来社、 六分冊の本である、とあります。

    さらに「臨床心理学 43号 河合隼雄ーその存在と足跡」という特集号の、西村 洲衛男さんの「ユング心理学と河合心理学」というテーマの文章中では「河合さんに最初に勧められた本」として、西村さんは未来社・山田肇 訳のものを読んだとあります。

    1993年刊の河合さんの「ブックガイド心理療法」という本でも、河合さん自身で「俳優修業」の解説をしているのを発見。山田肇さんの方の本でした。

    1994年刊の「おはなし おはなし」のp23に山田肇、未来社を読んだとあります。

    2021年刊行の、平凡社「河合隼雄物語とたましい」p10にも山田肇、未来社とあり。『俳優志願の生徒に教師である演出家がいろいろと課題を与えるが、「舞台で、ただいすに腰かけているだけ」というのが一番難しい。』とある。

    結局、今日(2022年1月3日)までの私の知見では、大塚信一さんの「河合隼雄 心理療法家の誕生」の「千田是也」の記述が間違っているという結論です。
    なぜなら、理論社で出版されている「 俳優の仕事 上下 」がそれにあたりますが、これは1968〜71年刊行の本で、河合さんが高校教師の時代(1954~1956)の頃に読むことはできないからです。

    一部二部の両方を通読後の感想
    この本はカーネギーの「人を動かす」というベストセラーにすごく似ていると思う。
    結局、人をどうやったら、自分の意のままに動かす?のが目的で、それを実践的に行うにはどうしたら良いかの手法。それが書かかれている。
    カーネギーの「人を動かす」の中での商売相手は、商品を売る「お客様」であり、スタニスラアスキーの「俳優修業」での相手は劇を見に来る「観客」であり、臨床家の相手は「精神を病んだ人」となる。
    普通の医者なら、患者が自身で「ここが痛い」と言うのだから、相手の心を探る必要はない。最初から患者と医者の見ている目標は同じだからだ。
    しかし、上記の「お客」や「観客」や「精神を病んだ人」へ(見せて・観せて・診せて)働きかける人の目標は、はじめから一致していない。それを劇中(行動の中で)で一致させていく工程の指南書として、この「俳優修業」はすぐれた書であると思う。
    サブテキストという言葉が、この本にはよく出てきますが、まさに言外の意味を創造して人を導くための指南書。
    「人を動かす」を読んだときもそうでしたが、この本も読後感が良くないです。相手の「こころ」に重きがあり、目的のためには自分の個性「こころ」もあやつり相手を騙す、みたいな。普通はこれではいけないと思う。やはり、この本は演技を人に見せて生計を立てている人たち(臨床家も然り)の参考図書であって、普通の人には「ふむふむ、しかし、そこまでやるか!」で終わってしまう本ではないでしょうか。

    ちょとあれなんですが、読了後にわかったんですが、要点はスタニスラフスキー・システムとして、ウィキペディアにすごく詳しく書いてあります。要点だけ知りたいならウィキペディアで十分だと思いました。

    あと、これは私の勝手な想像なんですが、この本は、河合さんが、高校教師の時代に演劇活動を奥様になる人といっしょにしているときに共に読んで語り合った思い出深い本ではないかと推察できます。(私は奥さんとのなれそめが知りたいです。河合隼雄の青春という映画をだれか作ってくれると、うれしい)

  • 所々にいい言葉がある。演劇は深いなー。

  • 1369

  • 神ひろしが最初に出会った演劇書!俳優になりたい人の基本です!

  • 本物を目指すなら必ず読め!

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