天竜川に沿って (宮本常一著作集別集 私の日本地図 1)

  • 未来社 (2016年1月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (292ページ) / ISBN・EAN: 9784624924867

作品紹介・あらすじ

原書は昭和42(1967)年刊。長野県の諏訪湖に水源を発し伊那谷を南下、多くの支流を合わせ静岡県浜松市の東で太平洋にそそぐ天竜川。昭和17年から39年のあいだにいく度かさまざまな機会に訪れた沿岸周辺の見聞を、遠州平野・二俣から秋葉道=信州街道を経て諏訪湖まで、川筋をさかのぼってあるく旅の目で記す。一本の川の下流・中流・上流の景観、事物にきざまれたそれぞれの特色ある暮らしと文化形成の歴史をよみとる。写真264枚。宮本常一「旅に学ぶ」、田村善次郎「歩くニュース」掲載の付録「日本の旅1」を収める。

感想・レビュー・書評

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  • 吉祥寺の街々書林で見かけ購入。この本をレジに持って行ったら店主から「飯田線ものがたり」を勧められ合わせて購入。確かに次に読むのがたいへん楽しみだ。宮本常一さんを初めて知ったが著作集53巻が出ている民俗学者。この本を読みながら天竜川沿いを歩きたくなる、たいへん素敵な内容でした。

  • 宮本常一の目で、
    彼が歩いた、昭和30年代の写真とともに、
    景観を見て感じたことが書いてある。

    当時の住民や政府の意思が、感じられる。
    例えば、伊那谷は多くの場所で、天竜川やその支流により、
    また、建材や製紙のための木の伐採に伴う山地荒廃で、
    暮らしの風景に土砂・岩が多かった。

    政府は、そうした自然の脅威を克服すべく、
    河川・砂防行政としてダムを造った。
    その資本ストックが地域を安全にしたし、
    また、そのフローの公共投資が地域を潤しもした。
    (水害後にテレビを買う人が多かった、など)
    そしてそれが天竜川沿いの景観も変えた。

    そうした、当時の一生懸命な活動の上に
    現在の地域の姿があるのだ、と思うと感慨深い。
    そして今は、その地域に住む人は減少傾向にある。

    こういう変遷。
    善悪でもなく、劇的な物語でもなく、
    生きるために行われてきた自然への働きかけ。
    それをその時のスナップとして切り取った文章と写真。

  • 日本の高度経済期の地域の貴重な写真が多数収録されている。当時の社会の記録として楽しめる。

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著者プロフィール

1907年(明治40)~1981年(昭和56)。山口県周防大島に生まれる。柳田國男の「旅と伝説」を手にしたことがきっかけとなり、柳田國男、澁澤敬三という生涯の師に出会い、民俗学者への道を歩み始める。1939年(昭和14)、澁澤の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、五七歳で武蔵野美術大学に奉職するまで、在野の民俗学者として日本の津々浦々を歩き、離島や地方の農山漁村の生活を記録に残すと共に村々の生活向上に尽力した。1953年(昭和28)、全国離島振興協議会結成とともに無給事務局長に就任して以降、1981年1月に73歳で没するまで、全国の離島振興運動の指導者として運動の先頭に立ちつづけた。また、1966年(昭和41)に日本観光文化研究所を設立、後進の育成にも努めた。「忘れられた日本人」(岩波文庫)、「宮本常一著作集」(未來社)、「宮本常一離島論集」(みずのわ出版)他、多数の著作を遺した。宮本の遺品、著作・蔵書、写真類は遺族から山口県東和町(現周防大島町)に寄贈され、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)が所蔵している。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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