下北半島 (宮本常一著作集別集 私の日本地図 3巻)

  • 未来社 (2011年9月20日発売)
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本 ・本 (324ページ) / ISBN・EAN: 9784624924881

作品紹介・あらすじ

『私の日本地図』第8回配本 第3巻「下北半島」。
原書は昭和42(1967)年刊。昭和15年12月、オシラサマ調査のため廻った最初の旅から、昭和41年8月の旅まで下北半島を訪れた9度の旅の記録。昭和38年、39年には九学会連合の綜合学術調査にも参加、
ときに季節をかえて下北各域をくまなく歩き、本州最北の地を生活の場にして暮らす人びとの姿と、海を通じた南北各地との交流の歴史を綴る。
きびしい自然条件のなかで山野海浜を拓いて共に生きてきた下北人の努力の精神誌でもある。「青森県人以外の人間が下北半島をもっとも正確に記録した本」とも言われた書。写真265枚を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 小学校時代の後半を過ごした下北のことを近頃よく思い出すので手に取った。下北の東西南北を丹念に歩いて記述されているので、記憶にない地区のことも知ることになった。
     下北は寒く寂しい村落が続く。屋根に暴風対策の石を乗っけた村の風景が印象的である。最後の年に我が家に自家用車が導入されてあちこち見に行ったが、簡単に走れる道路ではなかったと思う。一方、住居としていた南側の陸奥湾沿いにはちょっと明るく長閑な部分がある。裏表紙には、ヤギと軍艦の写真が掲載されているが、まさにこの雰囲気である。冬には白鳥も飛来していた。いろいろ思いだすことができた。

  • ふむ

  • 下北半島へ昭和十五年から度々訪れた著者。下北半島への温かい眼差しが良い。マタギの村、畑でおばあさんが日当を要求してきても、当然と払う辺りが土地の人への敬意をもった接し方でとても良かった。
    出稼ぎにでた男はかえってこないのも然として受け入れる女達の強さ。強かに生きる人々がそこに居ます。

  • 帯より引用
    「山野海浜を拓いて生活の場を築き、困難と向き合い、本州最北の地で共に生きついできた下北人が歩んだ歴史と暮らしの姿を伝える九度の旅の記録。下北の郷土の精神誌。

    私は、どのようにきびしい自然であってもすぐれた英知と企画をもってたちむかえば、かならず成功することを教えられた。」

    「青森県人以外の人間が下北半島をもっとも正確に記録した本と断言しても差し支えあるまい」とは元東奥日報社文化部長佐々木高雄の言葉である。

    こんなにも下北のことを信じて、敬って、あたたかいまなざしでもってみてくれたひとがいたということに、救われる。そして同時に彼がみつめた下北の「ゆたかさ」を辿って未来につなげたいと思う。

    あとがきで結城登美雄は言っている。「原子力のある風景だけが下北の人々の意志ではない。」「”原子力と薪のある風景”この奇妙なコントラスト、あるいは振幅の中に下北半島の現在があるのかもしれない。宮本常一のこの著は、今日、原子力という厚化粧に塗りつぶされかかっている下北半島の、その変わらぬ基層のくらし、人々の素顔とはどんなものかを知るための、きわめて大切な一書であると思う。」

    「原子力のある風景」だけみて話す言葉には妙な違和感を覚えた。なぜそうだったのかと気づいた。それだけが下北の姿じゃないと肌で知っているからなのだ。
    宮本常一と下北、もしくは、ある民俗学者と下北
    というテーマでなんかやれんかな。やりたいな。文化会館で写真とかの展示とか。今年やれたらいいな。

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著者プロフィール

1907年(明治40)~1981年(昭和56)。山口県周防大島に生まれる。柳田國男の「旅と伝説」を手にしたことがきっかけとなり、柳田國男、澁澤敬三という生涯の師に出会い、民俗学者への道を歩み始める。1939年(昭和14)、澁澤の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、五七歳で武蔵野美術大学に奉職するまで、在野の民俗学者として日本の津々浦々を歩き、離島や地方の農山漁村の生活を記録に残すと共に村々の生活向上に尽力した。1953年(昭和28)、全国離島振興協議会結成とともに無給事務局長に就任して以降、1981年1月に73歳で没するまで、全国の離島振興運動の指導者として運動の先頭に立ちつづけた。また、1966年(昭和41)に日本観光文化研究所を設立、後進の育成にも努めた。「忘れられた日本人」(岩波文庫)、「宮本常一著作集」(未來社)、「宮本常一離島論集」(みずのわ出版)他、多数の著作を遺した。宮本の遺品、著作・蔵書、写真類は遺族から山口県東和町(現周防大島町)に寄贈され、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)が所蔵している。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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