量子力学の諸解釈 パラドクスをいかにして解消するか

  • 森北出版 (2022年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784627157712

作品紹介・あらすじ

“実在とは? 観測とは?
現代技術を拓いた量子力学は根源的な難問をわれわれに突きつけた.
コペンハーゲン解釈,多世界解釈からジラルディ-リミニ-ウェーバー理論まで,「量子力学の解釈問題」のすべて.”
――全 卓樹:理論物理学者,随筆家


確率過程解釈,アンサンブル解釈,多世界解釈,無矛盾歴史アプローチ,GRW理論,様相解釈,コペンハーゲン解釈,量子ベイズ主義,etc.

量子力学のパラドクスを解消するために,多くの物理学者・数学者・科学哲学者たちにより種々の解釈が提案されてきたが,あなたはそれらをどこまで理解しているだろうか.

本書は有名なものからマイナーなものまで種々の解釈を網羅的にとりあげている.
哲学的・数学的な話には深入りせず,諸解釈の特徴を概観しながら,それぞれが量子力学のパラドクスに対してどのようにアプローチしているのかを解説する.

感想・レビュー・書評

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  • 量子力学の解釈の種類を挙げてそれぞれを説明
    体系的で、丁寧な説明、分かりやすい

  • 量子力学の不思議な点と、それにたいする現時点での解釈を網羅?していて、初心者には判り易い。また自身の解釈は付録Bに載せており、謙虚である。
    数式は追っていないが、量子力学諸解釈全体を把握するのには役立ったと思う。

    以下 要約
    ・量子力学のパラドクス
     ・粒子波動二重性
     ・波動関数の収縮
     ・NOGO定理(隠れた変数による量子相関が生じているということは不可能なことを示す定理。ベルの不等式の破れ、コッヘン・シュペッカーの定理 等
    ・様々な解釈
     ・実在主義的:
      ・ド・ブロイの先導波、ボーアの軌跡解釈
      ・確率過程解釈 後ろ向き微分(未来から過去へ発展)も考慮。位置情報を特別扱い。(ネルソン、長澤)
      ・統計解釈、アンサンブル解釈 波動関数は仮想的なサンプルの統計集団の記述(アインシュタイン、ポパー、筆者白井)
      ・交流解釈 物質の実態は波
     ・観測主義
      ・デコヒーレンス理論、観測理論:干渉性の消失や不確定性に絞った理論
      ・多世界解釈:世界は分岐する(エヴぇレット、ドウイット)
      ・無矛盾歴史アプローチ:初期状態から観測まで矛盾しない歴史の集まりを規定する。
      ・GRW理論:波動関数の収縮は一定の割合で起こる
     ・経験主義
      ・量子論理、様相解釈:物理量を平等に扱う。系は動的状態を持ち、観測出来るのは射影にあたる値状態である。
      ・コペンハーゲン解釈:観測前のことは考えない(ボーア、ハイゼンベルグ)、量子ベイズ解釈(波動関数はベイズ確率であり、ベイズ統計でNを増加させることで高まる確からしさに対する信念の度合い)

    いろいろの説があり、現在でもどれが正しいか判らないとのこと。個人的には因果説を破る、未来が過去に影響する項を含む説が楽しそう(筆者白井さんの説もその一つ)。 163頁で有名な日本人物理学者が答えた、「電子は観測していないときも何等かの実態はあると思う、しかし、それはこの空間や宇宙の中とは限らない」が正解な気がするのですが、さて?? 

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著者プロフィール

一関高専教授 博士(理学)

「2022年 『量子力学の諸解釈』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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