自動車運動力学 気持ちよいハンドリングのしくみと設計

  • 森北出版 (2015年12月1日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784627691117

作品紹介・あらすじ

「気持ちよく曲がる」車両の開発に必要な理論と技術を,操縦安定性の基礎から丁寧に解説しています.
研究者・技術者はもちろん,それを目指す学生も必携の一冊です.

本書は3部構成になっています.

◆第I部◆ 機械的性質としての操縦安定性
力学の基本的な運動方程式から出発して,ドライバの操舵に対する車両の応答,タイヤ性能からの旋回限界,旋回中の減速や外乱に伴う安定性などを説明します.

◆第II部◆ ドライバが感じる車両の動き
ドライバが車両やその動きから受け取る力学的情報を,手や目などの部位ごとに詳しくみることで,感性領域における力学を解析.グリップ感などの運転の気持ちよさを,定量的に評価する方法を解説します.

◆第III部◆ 性能設計
ヨー適応性やロール姿勢など,諸性能を総合的に評価する方法を説明します.さらに,車両性能の設計方針と,各部品の設定方針を解説.車両全体の設計をどのようにしたらよいかが理解できます.

感想・レビュー・書評

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  •  サブタイトルの通り、自動車の運動のうち旋回に特化した内容となっている。定常円旋回、ハンドルを切った時の応答性能、限界コーナリング、減速時・外乱発生時と様々な旋回の場面における自動車の動きを運動方程式として導き、何が起きているのかを明らかにしている。安定性を必要とする外乱については、斜面(バンク)だけでなく轍(わだち)についての状態変化にも触れている。運動方程式を組み立てて解くという構成のため数式ばかりであるが、はじめにどのように力が働いてその動きとなるのかを言葉で説明してから式の組み立てに 入っているので理解しやすいと思う。また、各パラメータについて最初に全部定義を明らかにし、新しいパラメータが必要となった時も都度定義をしているの で、いきなり新しいパラメータが出てきて勝手に議論が進むということはない。
     後半はこられの結果を踏まえたうえで、ドライバが感じる力について考察している。コーナリング時に腰に感じる力、ハンドルからの力やハンドルの動きをどう感じるか。さらに視覚的に感じる動きも考察の対象としている。これらはドライビングの楽しさ、気持ちよさの設計の基礎となる考え方である。本書では自動車の旋回について、機械の側面と人間の側面から考察しているが、ただ曲がる、あるいは勝手に曲がらないだけであれば機械の側面だけを考えれば良い。しかし、それはすでに当たり前となり、運転のしやすさ、あるいは楽しさ、気持ちよさが求められるようになった。直進性能、加速性能も運転の楽しさ、気持ちよさに影響を及ぼすが、思った通りに曲がるというのは非常に気持のいいものである。後半での考察は、コーナリングの気持ちよさを設計する最初の一歩であり、今後より発展していく領域ではないかと思う。

  • 請求記号 537/Sa 29

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著者プロフィール

酒井英樹(さかい・ひでき)
[信州大学教授]

「2021年 『英語教育のエビデンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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