人狼知能:だます・見破る・説得する人工知能

  • 森北出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784627853713

作品紹介・あらすじ

◆AIの次なるチャレンジは「人狼」だ!◆
コンピュータを相手に人狼ゲームを楽しめる日はくるのか……?
「人狼知能大会」等で注目されるプロジェクト発の解説書。

村人にまぎれた人狼は誰か? 誰が嘘をついているのか? 自分の嘘がバレないようにどう取り繕うか? 
「だます」「見破る」「説得する」といった、人間ならではのコミュニケーションが戦略の鍵を握る人狼ゲーム。将棋・囲碁・早押しクイズなどとはまったく異なる、「社会的知性」を要求するこのゲームに、いま人工知能の研究者が着目しています。人狼をプレイするAIシステム(=人狼知能)はどのように実現でき、そして、どのように実社会で活かせるのでしょうか。

本書では、人狼ゲームを研究する意義・方法だけでなく、詳細な分析を通して見えてくる「そもそも人狼とはどのようなゲームなのか」についても詳しく説明。人狼ゲームの愛好家のあなたにも、きっと新しい発見があるはずです。
また、認知モデル構築・自然言語処理・エージェントロボットの開発など、多岐にわたる研究プロジェクトの全貌を紹介していきます。

◆人狼知能大会に参加しよう!◆
集合知的なAIの開発を目指し、著者らは年1回の「人狼知能大会」を開催中(第2回大会は2016年8月24日-26日開催予定)。本書を片手に、自分の「人狼知能」をつくって勝負してみてはいかがでしょうか。


「人狼知能は人工知能のひとつの新しいフロンティアである。… 本書では、人工知能研究者がどのように具体的な問題に取り組むか、どういった思考をするかが、具体的な事例を通じて分かりやすく示されている。… 著者らの人狼に対する愛を感じながら読んでほしい。」(東京大学特任准教授 松尾豊氏)

「人狼ゲームならではの『嘘をつく、見破る、説得する』という人間を真似たAIは面白いですね。応援しています。いつの日か人狼AIと対決してみたいです。」(ドラゴンクエストシリーズ ゲームデザイナー 堀井雄二氏)

感想・レビュー・書評

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  • グランドチャレンジということだが、人狼ゲームが何かがよくわからなかった。。。

  • 人狼知能の取り組み自体は知っていたが、具体的な中身がどうなっているかが知りたくて読んでみた。
    基本的な構成としてはまずゲームAI・エージェント的な説明と人狼の紹介。そこからBBSのデータ分析に紐づく色々な考察と人狼知能開発における基本的な戦略の考え方だったり、強化学習の適用のような話が展開されていく。
    個人的にはBBSのログから出した各プレイヤーの習熟度と確率の分析や役割と勝敗のロジスティック回帰などは興味深かった。
    詳細は人狼知能のページへってことだったので、本書では概要だけ説明されている。

    目次
    まえがき

    第1章 人狼知能とは何か?
    1.1 なぜ人狼ゲームを人工知能にプレイさせるのか
    1.2 これまでのゲームAI 研究
    コラム コンピュータ将棋の展開
    1.3 AI のグランドチャレンジとしての人狼知能
    1.4 ゲームAI としての人狼知能は何を目指すのか

    第2章 人狼ゲーム概説
    2.1 人狼ゲームの流れ
    2.2 勝利条件
    2.3 人狼ゲームにおける役職とその役割、戦略
    2.3.1 基本的なプレイ
    2.3.2 各陣営からみた人狼ゲーム
    2.3.3 人狼ゲームにおけるプレイヤーの基本戦略
    2.4 人狼ゲームにおけるセオリー
    2.5 人狼ゲームの広がり
    2.5.1 人狼ゲームの歴史
    2.5.2 オンライン型人狼ゲーム(短期人狼・BBS人狼)
    2.5.3 対面人狼
    2.5.4 エンターテイメントとしての「魅せる人狼」
    コラム 人狼ゲーム面接

    第3章 人狼知能の実現に向けて
    3.1 人狼知能研究・開発のロードマップ
    3.2 人狼知能のための認知モデル
    3.3 人間によるプレイの解析
    3.4 人狼知能の構築
    3.5 人狼知能エージェントの構築

    第4章 人狼知能のための認知モデル
    4.1 人狼プレイヤーの頭のなか
    4.1.1 行動決定のための情報処理モデル
    4.1.2 認知モデルからの実装の検討
    4.1.3 「思考」のモデル
    4.1.4 「協調」のモデル
    4.1.5 「記憶」のモデル
    4.2 エージェントの思考メカニズムの説明:様相論理の視点から
    4.2.1 推理と説得の構造について
    4.2.2 可能世界とライン推理

    第5章 人間どうしによるプレイの解析
    5.1 人狼とはいかなるゲームなのか~ BBS 人狼のプレイログデータから見えてくるもの~
    5.2 人狼ゲームの基本的行動の学習可能性
    5.2.1 人狼BBS におけるプレイヤーの経験による行動の変化
    5.2.2 個人の経験とプレイスキルの変化
    5.2.3 集団性の効果
    5.3 役職の強さの推定
    5.4 勝つための議論
    5.5 本章のまとめ
    コラム 5人人狼

    第6章 集合知による人狼知能の構築~人狼知能大会
    6.1 人狼知能大会とは
    6.2 人狼知能大会参加のために
    6.3 プロトコル・ルール説明
    6.3.1 人狼知能大会におけるゲームの流れ
    6.3.2 人狼知能大会における勝利条件
    6.3.3 人狼知能大会における役職の定義
    6.3.4 昼のフェーズ・夜のフェーズ
    6.3.5 プレイヤーが取得可能な環境情報
    6.3.6 各種ルール
    6.3.7 人狼知能プロトコル
    6.4 人狼知能のプログラミング
    6.5 実際につくってみよう
    6.6 第1 回人狼知能大会の結果から見えてくるもの
    6.7 人狼知能大会の今後の計画
    コラム 人狼知能大会優勝チームのアルゴリズム

    第7章 人狼知能エージェントの構築
    7.1 人狼ゲームをプレイするエージェント
    7.2 人狼知能のための自然言語処理
    コラム 自然言語処理に関係するその他の人工知能プロジェクト
    7.3 擬人化エージェントの開発
    7.4 インタラクションロボットの開発
    第8章 人狼知能が拓く未来
    索引

  • 人狼知能の本というより、人狼ゲームの入門書と言った方が良いかもしれない。人狼の役職別のセオリーや、勝ち方の研究もされており、人狼ゲーム参加前に熟読するとかなり役に立ちそうな本に仕上がっている。もちろん人狼知能の製作にも触れられているが、どちらかというとやはり、人狼ゲーム入門という表現があっている本と思う。

  • 人狼ゲームをAIにプレイさせるにはどうすればいいのかを説明し、そのための取り組みについて書かれています。
    AIを作るときに一般的にどういう流れをたどるかの説明があり、そしてその例を人狼知能の場合に落とし込んで説明する、というわかりやすくて他のAIの学習にも応用がきく本でした。また、人狼ゲームをまともに数学的分析したり、人狼ゲームをプレイしている人の脳内を考察したりと、いち人狼ファンとしても新たな視点で人狼ゲームを見つめ直す楽しさが得られました。

  • 人狼は苦手だ
    だが、それを論理的に捉えるという意味でも面白い内容だった
    このプロジェクト自体はAIのみならず複合的な要素が必要なので、読めば読むほど本当にゴールにたどり着けるのだろうかと思ってしまう
    だが、非常に興味をそそられる研究対象である
    将棋も囲碁も勝つ事に目が行きがちだが、人狼知能が目指すように盛り上げたり気持ちよくさせるAIが次のステップである
    人狼知能は、その性質上、そのゴールに向かいやすい気がする

  • ★ベストプレゼン受賞本★
    将棋の次は「人狼」。AIは人をだませるのか。

  • 請求記号 798/To 68

  • 人狼と人工知能が好きな人にはたまらない内容。ただ、人狼を知らない人向けの説明が、詳しい人からすると冗長に見える。本としてどうこう、というより、人工知能がまだたどたどしい足取りで次に向かう先を示しているところが本書の最大の価値だと思う。

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著者プロフィール

東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授、情報法制研究所理事。

計算社会科学者。博士(工学)。1999年、東京工業大学工学部卒、2004年、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻博士課程修了。研究分野は計算社会科学、人工知能技術の社会応用。ツイッターなどのSNSや炎上の定量分析で知られる。

「2022年 『デジタル空間とどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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