偽書が揺るがせた日本史

著者 :
  • 山川出版社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634151635

作品紹介・あらすじ

教科書にも載せられ、私たちの「常識」の一部を形作ってきた書物・文書のなかにも「偽書」と判明したものもある。そこで、古代以降、「偽書」と呼ばれる書物に秘められた奥深さを検討し、日本史におけるもうひとつの「真実」を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の歴史資料について、虚偽を調べた本です。
    著者原田実さんは、「文字による記録は歴史の真実を後世に伝える手段であるとともに、虚偽を広める手段ともなりえた。」と書かれています。
    その考えに基づいて豊臣秀吉の墨俣一夜城の基となった「武功夜話(ぶこうやわ)」や、荒吐族(あらはばきぞく)が十三湊(とさみなと)(青森県の十三湖)を根城として栄えた「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」の文献などを取り上げています。

    【読後】
    私には、ついて行けませんでした。

    偽書が揺るがせた日本史
    2020.03発行。字の大きさは…小。2021.09.25読了。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
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    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。

  • 日本の歴史に登場した様々な偽書を紹介、その奥深さを考える。
    I 時代への欲求が生み出した偽書 第1章~第14章・・・偽書の基本。
       東照宮御遺訓、慶安御触書、武功夜話、文学作品の偽作等。
    II 偽書と陰謀論 第15章~第25章・・・偽書と陰謀論の結び付き。
       竹内文書、「壁の中」から偽書、シオンの議定書等。
    III 歴史資料として偽書をどう扱うか 第26章~第30章・・・
           偽書研究の時代の中での流れと主な研究者たち。
    参考文献有り。書名別索引有り。
    偽書と陰謀論の入門書的な内容です。
    偽書を作る側の事情、受け入れる人々の欲求。
    商売である場合もあるが、家系や身分の保持、主義主張のために。
    こうであって欲しい歴史の反流、宗教、政治、同調出来る思考。
    国家の上層を巻き込んだり、郷土誌や教科書に入り込み、
    人々を扇動する力を秘めるものまである、偽書や偽史。
    活字であることからすれば、フェイクニュースも。なるほど。
    偽書の研究も様々な研究者が現れるようになったので、
    今後の展開が楽しみになりました。なんとも面白い。
    IIIで紹介された研究書は読んでみたくなりましたし。

  • 古文書などを装って作られる偽書。
    これらはある人にとっては自分の主張を裏打ちするために、又は権威づけなどのために作られてきた。
    しかも、それが偽書であることが明らかになったとしても、時が経つと再び取り上げられたり、別の目的のために利用されたりと、偽書は何度も歴史の中に再登場し、悪用される。
    一度巷に出るとその影響は繰り返しぶり返されるという点は、今のSNSなどのフェイクニュースと似た面がある。

  • 時代がそうさせるのか偽書が大好きである、本書でコレモアレモ偽書だと気が付いたものも多いが、つくづく人は誰かを驚かせたいのか、こんな非生産的な事に熱心である
    (尤も、土地争いや詐欺に偽書を製造する事も多い)
    【 偽書一覧 】〇=知ってた、✕=知らなかった
    〇「寂庵大静:東照宮御遺訓」✕池田松之助
    ✕「夏✕目漱石:月がとても青い」
    ✕「沢田源内:和論語」
    〇「沢田源内:江源武鑑」
    ✕「不明:三教指帰」空海
    〇「林述斎:慶安御触書」✕徳川実紀記載(確信犯)
    ✕「不明の心学五倫書⇨仮名性理:本佐録」藤原惺窩
    〇「前野:武功夜話」
    〇「和田喜八郎:東日流外三郡誌」
    〇「椿井政隆:椿井文書」
    ✕「伊雑宮神職47人:先代旧事本紀大成経」
    ✕「不明:鵜鷺系偽書」藤原定家
    ✕「伊保勇之進:ヲシテ文献・秀真伝」
    ✕「未記述:誘惑女神」谷崎潤一郎
    ✕「不明:須磨記」菅原道真
    ✕「不明:松島日記」清少納言
    ✕「加藤仙安:扶桑見聞私記」大江広元
    ✕「加藤仙安:藤九郎盛長私記」安達盛長
    ✕「田中仲宣:太田道灌自記」太田道灌
    ✕「友田吉之助:和銅日本紀」
    ✕「多田義俊:風土記逸文
    ✕「不明:園太暦」洞院公賢
    〇「加藤謙斎:金史別本」※沢田源内と思ってた
    ✕「窪田志一:易談史料」
    ✕「富當雄:富家口伝」
    〇「竹内睦泰:正統竹内文書」
    〇「芝三光=小林和雄:江戸しぐさ」
    〇「ロシア反ユダヤ主義系新聞:シオン議定書」
    〇「中国南京月刊誌時事月報:田中上奏文」
    〇「竹内巨麿:竹内文書」
    〇「三浦一郎:九鬼文書」
    ✕「中山家:中山文庫」中居屋重兵衛
    ✕「権藤成卿:南淵記」クーデター指南書
    〇「宮下源兵衛:富士宮下文書」2011復権!
    全体の事を言えば、記紀以前の神代の歴史に光を当てると期待され昭和40~50年代に多く流行した
    寺社の縁起、氏族の家系、国家への抵抗、オウム真理教を含めた新興宗教に利用された偽書達を優しく見守る原田実氏は偽書「東日流外三郡誌」を擁護する恩師・上司の古田武彦氏と絶縁している

  • 「東日流外三郡誌」、「竹内文書」、「神代文字」、「シオンの議定書」。記紀以前の神代の歴史を記したもの、寺社の縁起、氏族の家系にかかわるもの、陰謀論や新興宗教の教義に利用されたものなど、数多くの偽書を概観できる。情報量も多い。

  • なぜ、偽書は作られるのか。
    古代以来の偽書の足跡をたどりながら、成立の背景、歴史資料としての扱い方を考察していきます。
    教科書にも載せられたもの、常識の一部を形作ってきたもの、定番と思われてる古文書のなかにも、偽書と判明したものもあります。
    未だに真偽が分かれているものもあります。
    偽書に秘められた奥深さを検討していきます。
    私たちが、いかに簡単に騙されてしまうかが分かります。

  • 様々な時代の偽書について読んでいるだけでも面白いが、陰謀論との絡みなど社会に与える影響についてや、研究史上の位置付けの変化など興味深い点も多い。現代において情報の真偽をはかるための指針にもなるのではないか。

  • 「東日流外三郡誌」「秀真伝」のような有名どころから最近話題の椿井文書まで、日本の偽書を網羅的に紹介している。「ヴァイマールの聖なる政治精神」に引用された架空の神学者カール・レーフラーや、「シオン議定書」のように日本史を対象としない文書も含む。
    「三教指帰」「慶安御触書」が偽書というのは知らなかった。
    とにかく全部入りなので、個々の文書や事件へのツッコミは薄い。

  • 原田実氏の文章といえば、あまり言いたいことがないというか「まとめ」的な印象を受けるものが多い。しかし、この本には一冊を費やして読者に訴えかけたいことがあるという情熱を感じた。

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著者プロフィール

1961年生まれ。歴史研究家。と学会会員。龍谷大学卒業後、1984年から3年半、八幡書店(出版社)に勤務。その後、広島大学研究生、昭和薬科大学文化史・心理学研究室助手(1990?93年)を経て、歴史研究・執筆活動に入る。古代史・偽史・サブカルチャー関係の論考多数。著書に『日本霊能史講座』『日本化け物講座』(楽工社)など。

「2011年 『トンデモ本の世界 X』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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