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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784634151994
作品紹介・あらすじ
これまでは「軍事施設」中心で語られてきた城郭研究において、近年、研究の進展により、そもそも「城とは何か」という点が注目を集めています。
そこでキーワードとなるのが「祈りの場」「権威の源」としての城の姿です。本書は、充実の一途をたどる城郭研究の新たな潮流に注目し、城郭史を「陰陽道」「鎮守」「呪い」「祈り(宗教施設)」という観点から捉えなおすことを目的としています。
具体的には、石垣に使われる転用石について、従来は石材不足を補うといった実用面、または戦国武将が不信心であることの証左として語られることが多かったのに対し、本書では、転用石を逆さに積むことで「けがれの逆転」を意図しているのではないかとの仮説を立てています。
このように、築城に当たっての場所選びから普請・作事にいたるまで、中世の呪術的な意識と儀礼がどのように作用していたのかを読み解きたいと考えます。
感想・レビュー・書評
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あまり見たことのない切り口で全編がまとめられていて、一つの視点として面白かった。
それぞれの話題は断片的にあちこちで見たことのあるもので、そこまで新規性があるようには思えなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自身の研究ではなく、自分の関心ごとからいろんな人の最新研究を引っ張って紹介する本。
築城だったりにあたって軍事的合理性のみで武将たちが判断していなかったことが様々挙げられていて、それは合理的な人間と思われている織田信長でもそうであった。聖地に城が築かれる例もあったし、築いた城に神社を勧請することもあった。アイヌのチャシや琉球のグスクといった例も面白い。
艮の方角、つまり北東方向の石垣や土塁が欠けているのは隅欠けなどと呼ばれ、鬼門を避けるためのもの。
石仏などの転用石は石材不足によるものだけでなく、逆さに積まれる供養塔の笠などからけがれの逆転という視座もあり、まじないの要素があるとしている。猪目石も。
人柱については様々な伝承を挙げているが、いずれにしても人柱があったという確証はどうも存在しないようである。毛利元就の百万一心も、近世よりさかのぼる史料は存在しないよう。 -
「のろい」と「いのり」って極端だなーと思いつつ借りたんだけどね。
…「のろい」じゃなくて「まじない」だった。 -
通説に加えて著者の見解も書いてあり史料があまりないので真実ではないかも知れないが妄想が膨らんで城の見方も広がって自分だけの解釈も駆け巡る。
この本の前に読んだ本は内容が高度すぎて理解できずにいたけど頭の霧が晴れたように面白く読めたし、城巡りが再燃してきた。
著者プロフィール
小和田哲男の作品





