- Amazon.co.jp ・本 (82ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634341302
作品紹介・あらすじ
東アジアの「近世」は、人と物の動きの激しい加速化で幕を開けた。新大陸や日本の銀、生糸や人参などの特産物、ヨーロッパから導入された火器、煙草やサツマイモなどのアメリカ産の作物-。これらは東アジアの諸地域を結びつけ、富を求める人びとの抗争を激化させるとともに、つぎの時代の新しい権力を生み出していった。動乱から秩序へと向かう東アジアの大きな動向のなかで、これらの物品のはたした役割を考える。
感想・レビュー・書評
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[東アジアの「近世」は、人と物の動きの激しい加速化で幕を開けた。新大陸や日本の銀、生糸や人参などの特産物、ヨーロッパから導入された火器、煙草やサツマイモなどのアメリカ産の作物―。これらは東アジアの諸地域を結びつけ、富を求める人びとの抗争を激化させるとともに、つぎの時代の新しい権力を生み出していった。動乱から秩序へと向かう東アジアの大きな動向のなかで、これらの物品のはたした役割を考える。]
「この本は高校の世界史教員を主たるターゲットとしたシリーズの一冊ですが、世界史に興味を持つ高校生や一般の人が読んでもよみやすくてわかりやすく、楽しめるものとなっています。
わかりやすさポイント:
・東アジアという地域を限定した上でこの地域の相互関係性をまとめている
・そしてそれらが「近世」という時代の中で、ヨーロッパなど世界の他の地域との関連の中から説明されている
・銀やたばこ、サツマイモなど、「モノ」を通して説明するというスタンスがわかりやすい!」
(『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)
目次
「近世」の意味
貨幣への欲望―銀
南と北の花形商品―生糸と人参
戦争と技術交流―火器
新しい作物―煙草と甘薯詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
16〜18世紀の東アジアを便宜的に「近世」と呼び、域内又はこの地域と世界を結びつけた4種の物品の流れを見る。特に17世紀半ばまで、動乱の時代にこそ物の交易が活発だったことが分かる。
16世紀にまず日本産、次いで南米産の銀が中国に流入し、国際交易ブームが起きる。明代中国では北方への納税のため銀の需要が高まったが、17世紀半ば以降は鎮静。同時期の日本でも徳川政権の下で自立的な経済構造への転換。
この時期、中国からの輸出商品は東南部で生糸、北方では高麗人参や毛皮。女真経済は素朴な自給自足ではなく、国際交易と結びついた特産品の狩猟採集だった。
16世紀半ばからの東アジアは絶え間ない戦争と火器の革新の時代。しかし17世紀後半を境にこの動きは転換し、19世紀には欧米の軍事力に対し東アジアの武器は時代遅れとなっていた。
16世紀末〜17世紀初に新大陸発の煙草と甘藷が東アジアに到来。どちらも山間部の畑作地帯に適した作物であり、18世紀中国華中・華南地域での「山区経済」に貢献する。 -
(後で書きます。とても良い)
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明清期の中国を中心に、16世紀から18世紀ごろにかけての東アジアの貿易体制について述べた世界史リブレットの1冊。
ヨーロッパの大航海時代にリンクした世界規模の銀の流通を中心としながら、中国経済を支えた生糸・商品作物に加えて、火器などについても言及があり、海禁策などから閉鎖的な対外関係を連想されがちな明清期のダイナミックな経済活動が手っ取り早く解説されている。