バロック美術の成立 (世界史リブレット 77)

著者 :
  • 山川出版社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634347700

感想・レビュー・書評

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  • なかなか、図版なしの解説の部分は、字面ばかり追って理解しがたいものがあったり、宗教の歴史がちんぷんかんぷんだったりと、自分の無知ゆえの不理解が多かったのですが、バロック時代の絵画がなぜあんなにドラマチックなのか理由が少しわかったのは収穫。単に陰影の使い方の変化、だけじゃないんだよね。少なくとも陰影の使い方に変化が表れたってことに疑問を感じさえしなかった自分の愚鈍さたるや…。


    ルネサンスから幾分年を経て…、宗教のあり方というか信仰する人にとっての宗教のたち位置が変容していき、絵画に日常を取り込んだり、二重の意味を持たせたりすることで、信仰心を鼓舞する側面を持っていたと。

    そしてカラヴァッジョはただの素行不良の天才じゃなかった、っと。…いや、天才と呼ばれるだけですごいのですけど、天才の表現には革新的で野心的な目論見が隠れていたのだということがわかって良かった。絵はただうまければ後世に残るわけじゃなくて、時代の中においてどのようなたち位置にあったのかを、ちゃんと考えなきゃならんなぁ。


    さて。わたし、初めてスマホから文を投稿してみました。
    パソでようやく考えながら文字にすることに速さやら思考回路やらが追いついてきたのですが、やはりキーボードたたくという一連の作業だけでは、考えの深まりが浅いです。いわんやスマホをや。指一本、大量の予測変換。無理っすわ…。予測不可能な思考を目指し、わたしは言葉を使いたい。

    今の若い人たちのすごさを思いつつ、文字を紙に書くという原始的な手法の奥深さもわたしにはとても必要と、思います。

著者プロフィール

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

「2024年 『日本の裸体芸術 刺青からヌードへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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