ラシード・アッディーン モンゴル帝国期イランの「名宰相」 (世界史リブレット人 23)

  • 山川出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634350236

作品紹介・あらすじ

イランを支配したモンゴル帝国の一ウルス(国)、イル・ハン朝において、ワズィール(宰相)として権勢をふるい、モンゴル帝国史の第一級史料となる歴史書『集史』を編纂した政治家・歴史家、ラシード・アッディーン。ユダヤ教徒の医師であった彼は、イスラームをみずからの信仰に選び、ガザン・ハンの改革を支え、イル・ハン朝がイランのムスリム王朝として立つ道を、文化政策をとおして切り拓こうとした。西アジア・イスラーム史における「モンゴルの時代」を映す鏡ともいえる、彼の生涯をたどる。
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〈目次〉
問い直されるモンゴル帝国時代史と「名宰相」像
①モンゴル帝国のイラン征服とイル・ハン朝の成立
②イル・ハン朝のイラン統治体制と危機の到来
③ディーワーンの長ではない「ワズィール」の登場
④新生イスラーム国家建設の苦闘
⑤『集史』が描いた新しい世界像
⑥ラシードの死とイル・ハン朝の滅亡

感想・レビュー・書評

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  • 「世界で最初の世界史」こと『集史』編纂者にして、イル・ハン国の改革を支えた宰相ラシード・アッディーンのコンパクトな伝記。
    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2024/10/21/233518

  • 289.2||Ra

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/721771

  • ラシード・アッディーンがガザンに抜擢されるまでの、モンゴルの、イル・ハンの、治下の軍事勢力、官僚、在地勢力、マイノリティの動向が整理され。登場後は、当時のイル・ハン君主がどういった方向をめざし、ラシードがどうそれを助けたかが語られる。ひとくちにイスラムに改宗といっても、それがスンナ派なのか、シーア派なのか、もっと土着の信仰と混淆したものだったのか、神秘主義的だったのかなど、内実までにはは目が向いてなかったな、と。そしてカリフを殺害した政権でありつつ、のちにイスラームに改宗した国家という点では、統治の正統性は常に問われることになり、ラシードの「集史」編纂も、おおいに正統性を強調する意図があったと。複雑な税制。「廃棄」というクルアーン解釈理論。貨幣に打刻される文言。無任所大臣的なラシードのワズィール位の役割。カーシャーニー「歴史精髄」ほぼまる写しな集史第二巻。などなども読みどころだった。政治家としてはなかなかに権力の海を泳ぎ、最期をのぞき政敵との抗争には勝ち続けるしたたかな政治家像が垣間見えた。

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