ジャンヌ・ダルクと百年戦争 時空をこえて語り継がれる乙女 (世界史リブレット人 32)

  • 山川出版社 (2022年4月6日発売)
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本 ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784634350328

作品紹介・あらすじ

百年戦争の最中、神の声を聴いたと信じて故郷のドンレミ村を出発したジャンヌ・ダルクの短くも鮮烈な生涯は今も人々の心をとらえている。死後何百年もたってから「民衆の英雄」「聖女」「愛国者」とたたえられるようになる彼女の歴史は、民衆の記憶と歴史叙述との弁証法的相互作用の典型である。本書では、同時代人たちが彼女に対していだいたイメージの複数性および多義性、彼女に関する長期的な記憶の形成を現代にいたるまでたどる。

感想・レビュー・書評

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  • ジャンヌ個人の生涯についてはどうしても少なくなるが、彼女が同時代人にどう見られていたのか、そして後世どのように受容されていったのかを中心にまとめる。

    https://historia-bookreport.hatenablog.jp/entry/2022/04/29/232904

  • そも農民の娘ジャンヌが王太子に謁見できたのは”預言者”として扱われたからで、ゆえに彼女への神聖視と邪悪視は当時からあったし、その存在は象徴的または政治的意味合いを常に持ち、今日もそれは基本変わっていない。だけに、平凡な表現ながら史上「伝説」という言葉がぴったりくる人物の1人と言える。百年戦争という大層な呼称は、いわばユーラシア辺境2王家の領土争いなので、世界史における扱いは逓減していくと思うが、シンボルとしてのジャンヌの存在は、タイトル通り永遠に色褪せないことだろう。

  •  図書館の新着コーナーで手に取った。ジャンヌ・ダルク=火刑、そういえばその背景はなんだろう…。
     そうか、イギリス王室はフランス王室から派生して、フランス王位を継承する権利をめぐって争っていたんだ。これが百年戦争。神の啓示を受けてフランス側で闘ったジャンヌ・ダルクがイギリス側に捕まり、不合理な宗教裁判を経て火刑に処されたわけということだ。
     ジャンヌは1412年頃にフランス北東部のドンレミ村で生まれ、13歳頃で神の声を聴き、1429年に国王(シャルル7世)が認めた親衛隊としてオルレアンの解放に寄与した。しかし、同年、イギリス側に捕らえられ、1431年に行われた宗教裁判を経て火刑となった。その後、1894年にジャンヌの列聖真理が行われ、1909年に列福、1920年に列聖されたとのこと。
     当時の中世社会において女性としての活躍や祖国への忠誠心など、当時としての脱規範的な側面を含め、その象徴的な存在が、政治利用されるなど現代の人々にもヒロイックな存在としていまだに受け入れられているということだ。

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著者プロフィール

日本女子大学文学部教授
専門:西洋中世史、英仏関係史
主な著作:『中世英仏関係史1066-1500――ノルマン征服から百年戦争終結まで』(共編著、創元社、2012年)、『〈帝国〉で読み解く中世ヨーロッパ――英独仏関係史から考える』(共編著、ミネルヴァ書房、2017年)。

「2020年 『フランスの歴史を知るための50章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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