日本史 (新版 世界各国史 1)

  • 山川出版社 (2008年1月25日発売)
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本 ・本 (632ページ) / ISBN・EAN: 9784634413108

感想・レビュー・書評

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  • MM6a

  • 日本史全体の大枠を捉えるにはちょうど良い内容。ただし、まえがきにもある通り文化史の内容は簡略で不十分。2008年刊行だがすでに古くなってしまっているという感じのする記述もある。各時代、種々の事柄について最新の研究を基にした別の本で知識をアップデートする必要があるだろう。また、近年、グローバリズム、リベラリズムが先鋭化する中にあっては、本書に見える視点は一昔前の牧歌的なグローバリズム、リベラリズムの影響を抜けておらず、新たな検討を要するだろう。

  • 【目次】
    まえがき(二〇〇七年八月 宮地正人) [i-iii]
    目次 [iv-vii]

    第一章 日本史のあけぼの 003
      1 日本列島の形成と旧石器文化
      2 縄文文化の成立と展開
      3 農耕社会の成立
      4 ヤマト政権の成立と展開
    第二章 東アジアの国際関係と律令国家の形成 055
      1 隋唐帝国の成立と倭国・倭王権
      2 「大化改新」から壬申の乱へ
      3 律令国家の形成と古代の社会
      4 律令制の確立 
    第三章 律令制の展開と古代国家の変容 089
      1 桓武の即位と新都の建設
      2 古代国家の動揺と承平・天慶の乱
      3 摂関政治体制の確立
      4 地方社会の変容と中世への胎動
    第四章 権門の分立と「武者の世」 127
      1 権門の分立と荘園公領制
      2 武家政権の成立
      3 公武の衝突と連携
      4 蒙古襲来と社会矛盾
    第五章 分裂・動乱と民衆の成長 174
      1 政局の分裂と混乱
      2 社会変動と地域の自立
      3 倭寇と「日本国王」
      4 民衆経済の発展と寄合の文化
    第六章 戦国動乱から天下統一へ 215
      1 戦国大名の自立と権威志向
      2 豊臣政権と朝鮮侵略
      3 生産技術・労働編成の革新
      4 徳川政権と「鎖国」
    第七章 近世の国家と社会 267
      1 幕藩体制の確立
      2 平和の到来-「元禄時代」
      3 流通の発展と文化の展開
      4 享保改革と田沼政権
    第八章 近世社会の動揺と近づく近代 319
      1 飢饉・一揆と寛政改革
      2 揺らぐ「鎖国」の秩序
      3 花開く庶民文化と学問
      4 市場構造の変容と天保改革
    第九章 天皇制国家の成立 357
      1 維新変革
      2 幕末維新期の社会と文化
      3 参加と統合
      4 帝国憲法システムと日清戦争
      5 国民文化の可能性と現実
    第十章 大日本帝国と東アジア 404
      1 帝国主義強国への道
      2 帝国日本の経済と社会
      3 民主主義対国家主義
      4 十五年戦争
      5 文化の大衆化とファシズム
    第十一章 敗戦から経済大国へ 495
      1 占領下の日本
      2 五五年体制の成立
      3 経済大国への道
      4 大衆社会とその文化
      5 米ソ対立後の日本と東アジア
    終章 二十一世紀の日本の課題 549

    付録
    索引/年表/参考文献/天皇一覧/摂政・関白一覧/鎌倉幕府将軍一覧/室町幕府将軍一覧/江戸幕府将軍一覧/太政官官職一覧/歴代内閣一覧/写真所蔵・提供者一覧/図版出典一覧

  • [ 内容 ]


    [ 目次 ]
    第1章 日本史のあけぼの
    第2章 東アジアの国際関係と律令国家の形成
    第3章 律令制の展開と古代国家の変容
    第4章 権門の分立と「武者の世」
    第5章 分裂・動乱と民衆の成長
    第6章 戦国動乱から天下統一へ
    第7章 近世の国家と社会
    第8章 近世社会の動揺と近づく近代
    第9章 天皇制国家の成立
    第10章 大日本帝国と東アジア
    第11章 敗戦から経済大国へ
    終章 二十一世紀の日本の課題

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 山川出版社が刊行していた世界各国史シリーズの一つです。執筆者は先史時台が白石太一郎先生、古代が加藤友康先生、中世が村井章介先生、近世が高埜利彦先生、近現代が宮地正人先生となっています。全体的なイメージとしては政治史一般に力を入れ、近現代以外は文化史が薄いと感じました。高校日本史の補強という意味で手にとって読んだのですが、高校レベルの話は当然のこととして流され、結構微細な内容に触れています。概説書というには少々細かい(偏った?)内容に思われます。単なる私の知識不足という点が大きいのでしょうが・・・。
    また注目したいことが3点
    1点目は鎌倉仏教について。高校日本史では鎌倉仏教ではいわゆる鎌倉六宗(浄土宗、浄土真宗、時宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗)が中心に扱われ、旧仏教(南都六宗)はその「対抗宗教改革」的な扱われ方で、簡単に触れられています。しかし、本書では「旧仏教こそが中世仏教の正統派」という説が紹介されており、目からウロコでした。
    2点目はいわゆる旧石器文化遺跡ねつ造について。本書ではこの遺跡ねつ造を藤村新一氏一人の責任に押しつけていますが、当時の「古ければ古いほど注目される」という風潮の中で学問的慎重さが失われ、マスコミも、そして我々日本人全体が熱狂し冷静さを失ったことを思いだせば、彼一人の責任ではなく、学者の、そして日本人全体の責任も忘れてはいけません。とくに本書のような一般人も手にするような本では、そのことは強調して書かれなければならないと思います。
    3点目はいわゆる「従軍慰安婦」問題について。本書で「おや?」と思ったのがこの問題について「続発する日本兵の暴行事件対策として、三八年より軍は各部隊に慰安所を設置する方針をとり、業者を指導・監督したため、朝鮮や台湾から多くの女性が従軍慰安婦としてつれられていった。」と記述されていたことです。今まで読んだこういった概説書では、一部の政治的意図を持った本をのぞいておおよそ「日本軍による誘拐・詐欺的方法による慰安婦獲得」という軍規どころか刑法に触れる犯罪行為による慰安所設置として書かれてあるのが通常でした。しかし、今回のこの記述では慰安所の設置が軍ではなく業者によるものとされています。これはこの問題が、最近ではより冷静に語られることができるようになってきた証左でもあると思うのですがどうでしょうか?軍による監督責任論などはまた別の議論として、今では新聞ですら(産経新聞や読売新聞といういわゆる保守系の新聞社だけではなくこの前は西日本新聞でも)「慰安所は業者による設置」という論調になっているのに、研究者が未だにイデオロギーに凝り固まったままなのは問題ありです。こういう流れは歓迎します。
    以上のような感想を持ちましたが、最新の研究成果もかなり取り上げられ、これから本格的に日本史を勉強したいという人には有益な本だと思います(世界史が専門の私には少し細かすぎたかな・・・)。

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著者プロフィール

1944年生まれ。
東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。
専攻、日本近代史。
元国立歴史民俗博物館館長(名誉教授)・東京大学名誉教授。

主な著作
『日露戦後政治史の研究』(東京大学出版会、1973年)
『幕末維新風雲通信』 (東京大学出版会、1978年)
『天皇制の政治史的研究』(校倉書房、1981年)
『国際政治下の近代日本』(山川出版社、1987年)
『幕末維新期の文化と情報』(名著刊行会、1994年)
『幕末維新期の社会的政治史研究』(岩波書店、1999年)
『歴史のなかの新撰組』(岩波書店、2004年)
『通史の方法』(名著刊行会、2010年)
『幕末維新変革史』(岩波書店、2012年) 
『歴史のなかの『夜明け前』 平田国学の幕末維新』(吉川弘文館・2015年)

「2018年 『幕末維新像の新展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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