750年 普遍世界の鼎立 (歴史の転換期)

制作 : 三浦徹 
  • 山川出版社
4.50
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本棚登録 : 19
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634445031

作品紹介・あらすじ

8世紀に姿を整えたキリスト教ヨーロッパ、イスラームの中東、仏教・儒教の中華の3つの「普遍」世界。現代世界を考える上でも重要な3つの世界はどのように生まれ、人々に何をもたらしたのだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 亀谷学「イスラーム世界の出現」。正統カリフ時代とは言っても支配域が統一されていたのは、三代目までで、アリーの頃には、すでにウマイヤ家と二分されていたこと。ムアーウィヤが唯一の支配者になっても、その息子へと世襲されることは当前視されておらず、五代目のアブド・アルマリクに至って、ようやくウマイヤ家のなかでのみカリフ位の世襲が行われる「ウマイヤ朝」が確立した、ということを再認識。それを打倒したアッバース朝革命は、アッバース家の「宣教」ではなく、頻発していたシーア派の反乱がその根にあり、そのなかで経験を積んだアブー・ムスリムが台頭して、内紛を起こしていたウマイヤ朝の勢力を打ち倒した、と。"アッバース朝はその政権樹立の当初から、すでにイスラーム共同体のすべてを指揮下におく存在ではなかった","「イスラームの一体性」を担保するようになったのは、ウラマーと彼らがその運用を担ったイスラーム法の体系であった。"。興味深いと思ったのは、イスラーム教徒が自らの聖典であるクルアーンをよりよく理解するためにクルアーン解釈学を発展させたのと並行して、キリスト教徒もクルアーンの内容を自らの正当化をはかるために利用したケース。例として、ムハンマドがナジュラーンのキリスト教徒に与えたとされる安全保障契約にかかわるものがあげられている。/”イスラーム勢力が中等の大半を支配したその結果、古代末期の社会が再び撹拌され、イスラーム教徒ではない人々もときに主体的に参画するような、新たな社会-イスラームが中東に入り込んだことによって生まれたことからそれを「イスラーム社会」と呼んでよいt筆者は考えるが-が生み出されていったのである。(p.78)”//大月康弘「ビザンツ皇帝の帝国統治と世界認識」。コンスタンティノス一世から十一世まで86人のビザンツ皇帝がいて、このうち43名はクーデターでそのザを負われた。血統による帝位継承はむしろ稀で、運と才覚に恵まれたものが皇帝になる社会だったのである、と。/"十世紀のキリスト教世界を見渡した時、われわれがビザンツ帝国と通称する国家は、より客観的にいえば「キリスト教ローマ帝国」にほかならなかった(p.177)"/妹尾達彦「長安七五一年ーユーラシアの変貌」は、都城や各国の勢力図をはじめとした図版が豊富で見てて楽しかった。

  • イスラム、東西ヨーロッパ、中国と4地域の8世紀後半を出来事を通して俯瞰する。東ヨーロッパ(ビザンツ帝国)の件りは、ちょっと苦しいけど、他3地域は、いずれも現在の世界につながってくる出来事で興味深かった。それにしてもイスラム世界内での対立は根深いよなぁ。この時代に生じた対立を今でも引きずっているわけだからさ。

  • 中東、ヨーロッパ、中華に成立した普遍世界の中身を見ていくような一冊。アッバース朝、カロリング朝フランク王国、ビザンツ、唐といった国々が多様性をもちつつ一体世を保つ、普遍性を帯びたものがある、そういう国だということで。
    感想はいかにて。

    https://navy.ap.teacup.com/book-recommended/549.html

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