ナポリのマラドーナ―イタリアにおける「南」とは何か (historia)

著者 :
  • 山川出版社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634491915

作品紹介・あらすじ

1990年7月3日、ナポリ。地元イタリアとマラドーナ率いるアルゼンチンとのサッカーW杯準決勝。なぜ、この対戦がサッカーの試合を超えて国家分裂の危機として人々の関心を集めたのか。「南部問題」や移民の歴史から、その理由を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 北村暁夫という名前はまるでこの本のために作ったペンネームみたいですね。
    この教授が数人の執筆者と作った『近代イタリアの歴史』を読んで、この本を知りました。
    かなり難しいことを覚悟していたのですが、全くちがいました。
    薄い本、大きい字、写真つき、難しい漢字にふりがなが付きます。
    1990年のサッカーワールドカップの話から始まりワクワクさせます。至れり尽くせりです。

    イタリアの南部問題。
    『近代イタリアの歴史』を苦労して読んだばかりだったので、とても面白く、よくわかりました。
    頑張って読むとこういうご褒美がもらえるんだなぁと嬉しくなりました。

    最近NHKBSで野村祐香ちゃんがイタリアの海沿いを旅する番組を見たのですが、メッシーナの人が「メッシーナは最後までイタリアの統一に抵抗した」と誇らしげに語っていました。祐香ちゃんは驚いていました。
    「北の心南知らずだな」と思いました。

    南部問題ですが、もっと南にアルゼンチンがあります。
    アルゼンチンの中でも、ヨーロッパ人に序列があるのですね。
    そして最近の南の問題として、移民とイスラムにふれます。
    私はこういう本をたくさん読んだらいいのだと思いました。

  • 初めて生徒から本を貸し出された。中3の女子が、先に私が貸していた本を返すのと同時にこの本を持ってきた。「私がどうしてナポリを応援するのかが分かるから。」と言って本書を貸してくれた。さて、彼女の気持ちがちゃんと分かったのかどうかはともかく、全くと言っていいほど興味を持っていなかったイタリアの近代史を読むことになってしまった。それはそれでおもしろかった。ちょうど同時併行で、同じ時代のイギリスでの事件をあつかった小説を読んでいたので、なんとなくその時代に浸ることができた。日本は明治維新前後の時代である。南イタリアがいかに差別的な扱いを受けていたのか(いるのか)、アルゼンチンへの移民がどのような生活を送っていたのか、そして、マラドーナがナポリでどのような扱いを受けていたのか、マフィアとは何だったのか、そんなことが少し分かった。歴史研究の紹介が多く、結局、著者はどういう立場に立っているのかがつかみきれないままだった。まあ、どちらの言い分にも一理あるということだろうけど、ちょっと消化不良気味ではある。

  •  以前ナポリを旅行したとき、街中で多くの個人商店の壁に掲げられている3点セットが大変印象的だった。3点とは、マリア様の肖像画、マラドーナのポスター、そしてヌードピンナップ!

     ナポリの人々にとってマラドーナがいかに偉大な存在かが一目で理解できる光景だった。

     本書は、マラドーナのナポリでの活躍を軸に、イタリアに内在する南北問題を説き、そして、マラドーナの母国でありかつてイタリアから多くの人々が移住していったアルゼンチンとの関係から、世界の南北問題へと展開していく。

     「南」のイメージ(あるいはステレオタイプ、例えばシチリア=マフィア、など)が生まれていった過程も非常に興味深い。

     マラドーナはそんな「南」のイタリアにおける現状をしっかりと理解し、問題意識を持っていることが彼自身の発言からもみてとれる。
     著者は「マラドーナといえば(中略)いささか知的能力を欠いた人物というイメージが広まっているかもしれない。しかし、彼の言説を彼がそのときにおかれた状況に照らして再読するならば、それがきわめて論理的であり核心をついたものであることに驚かされるであろう」と述べている。
     神がかりの名プレイだけでは、これほどまでにマラドーナが人々を魅了することはなかっただろう。まさに、彼の言葉があったから、人々は彼に熱狂し、そしてときに「神」とまで崇めるようになったのだと思う。

     本書を読み終えた後、今年2011年がイタリア統一150周年であることを知った。

  • マラドーナについて書かれた本だと思いきや、イタリアの南北問題に言及。

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