境界をまたぐ人びと (日本史リブレット 28)

著者 :
  • 山川出版社
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本棚登録 : 59
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (98ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634542808

作品紹介・あらすじ

前近代の「国境」とは、一本の線ではなく、それ自体がある広がりをもった人間活動の場であった。その空間に点在する小島たちは、交通が陸上中心になってしまった今となっては不思議なくらい、大きな顔をして地図上に登場していた。蝦夷・唐人・琉球人・倭寇・海賊・商人など、さまざまな名で呼ばれた「境界をまたぐ人びと」の姿と活動は、都を中心とする視線からはとらえきれない幅広さと多様さにみちている。前近代の国境観念のなかに、現代の領土紛争解決の道を探り、国境をまたぐ海の世界の復権を訴える。

感想・レビュー・書評

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  • 蝦夷とヤマトの関係、日本海沿岸部に渡来し暮らす唐人(商人など)、博多と対馬における交易や交流、平家物語の鬼界ヶ島に焦点を当てた琉球・薩摩の関係、江戸時代の竹島をめぐる日韓関係。参考文献リストあり。

  • 価格:
    880円 (税込)
    在庫: 在庫あり
    解説: 前近代の「国境」とは,一本の線ではなく,それ自体がある広がりをもった活動の場であった。蝦夷・唐人・琉球人・倭寇・商人など境界をまたにかけて往来した人びとの姿と活動を描きながら,現代の領土紛争解決の道をさぐる。
    ISBN:978-4-634-54280-8
    シリーズ: 日本史リブレット 28
    著者:村井章介=著 
    刊行:2006年5月
    仕様:A5変型判 ・ 116ページ
    〈〉

    【簡易目次】
    前近代の国境と境界人

    1.エミシからエゾへ――北辺の統治境界と民族境界
      躍動する北日本
      ヤマト・エミシ戦争と境界
      エゾ観念への展開

    2.環日本海の「唐人」――日本と契丹の媒介

      日本海をまたぐ「唐人」
      湊町で働く「唐人」
      契丹への道

    3.多民族空間と境界人――博多と対馬
      住蕃貿易と「唐房」
      「博多綱首」の生活と営業
      境界人たち――平道全と金元珍

    4.俊寛物語を読む――キカイガシマを訪れる人びと
      『平家物語』の描く鬼界が島
      「鬼界十二島」の変遷
      薩摩と琉球

    5.元禄時代の「竹島問題」――竹島一件
      「竹島(独島)論争」と国境観念
      竹島(鬱陵島)という場の性格
      「嶋之争論」と「両国誠信之儀」

    国境なき(ボーダーレス)時代をみとおして 

  • 2009/10/25 予約、10/31 読み始める 11/11 読み終える
    2009/10/25 の ETV特集を見て、読んでみようと思いました。

    前近代の 蝦夷(北海道、東北地方)、日本海沿岸、竹島、九州(博多・薩摩)、硫黄島、琉球 などと、中国大陸(韓国・中国)、その間の島々の関係が述べられている。
    国(中央)の視点とは違う地方の支配者やそこに住む人々の暮らしの多様さは、これまでの知識を変えてくれます。

    こちらもみてね ⇒ URLは http://river-green.blogspot.com/2009/10/blog-post_27.html 『ETV:日本と朝鮮半島−7』 :  〜 Myブログ「川と緑のある景色」



    内容 :
    蝦夷・唐人・琉球人・倭寇・商人など境界を股にかけて往来した人びとの姿と活動を描きながら、
    前近代の国境観念のなかに現代の領土紛争解決の道を探り、国境をまたぐ海の世界の復権を訴える。

    著者 :
    1949年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。
    専攻は日本中世史。東京大学大学院人文社会系研究科教授。
    著書に「中世日本の内と外」「東アジアのなかの日本文化」ほか。

  • おもしろいんだけど、多岐にわたりすぎてちょいと薄味になっちゃった印象。
    まあそれにしても「鬼界島」とかはワクワクしちゃうね。

  • w

  • 2014.4.28 pm5:05 読了。短いが読み応え十分。境界に対する概念が変わった
    。境界は線では表せない。現在の価値観で歴史を見るととんでもない勘違いをしてしまう。『日本の歴史を読み直す』と併読。ボーダーレス化が進む現代、歴史を顧みてこのような境界に対する考え方を学ぶことは必要だと思う。著者の言うように、竹島問題に関しては先人たちの方が賢明であったように感じる。

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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