対馬からみた日朝関係 (日本史リブレット 41)

著者 :
  • 山川出版社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (105ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634544109

作品紹介・あらすじ

「対馬」という少し風変わりな島の名は、日本から朝鮮半島へ渡る際に津=停泊地となる島(津島)だったことに由来するとも、朝鮮半島の馬韓に相対する位置にあったことからきているともいわれる。対馬は古くから九州北部と朝鮮半島との交易にかかわってきた。前近代の日本と朝鮮半島の関係史のうえで、それは常に無視できない存在であった。本書では、中近世の日朝関係が展開するなかで対馬がおかれた位置、また対馬自身がどのように自己を位置づけようとしたかについてみていくことにしたい。

感想・レビュー・書評

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  • ルーツを調べる過程で読んだ本でしたが、とても分かりやすく分量もちょうどよい本でした。歴史の本は、知識不足だと人物や出来事など知らない単語に先ず引っかかり、なかなか先に進まないものですが、この本は教科書のように、ページの上にマークのついた単語の注釈が載っているので、理解もスムーズでした。
    対馬について地政学上の問題や、朝鮮との古来からの良くも悪くも深い関係がよく分かりました。

  • 鎌倉期から明治維新まで、宗家が対馬支配を確立する過程から、倭寇の時代、秀吉の朝鮮出兵、江戸幕府による国交回復、対馬藩の消滅までを簡潔に記されています。江戸時代初期の交易が盛んな時代から、年々貿易がジリ貧になっていくなかで、幕府に補助金をせびる姿が、今の沖縄の問題や原発の誘致に似ているよねぇ。また輸出品目を見ると、日本が資源大国であったことがよくわかります。

    対馬の位置
    中世の対馬と高麗・朝鮮
    近世初期の日朝関係と対馬
    「鎖国」と近世的日朝関係
    藩と貿易の体制
    藩政の推移と矛盾
    近世的日朝関係の終焉―おわりにかえて

    著者:鶴田啓(1958-、日本史学者)

  • “江戸時代”というものは、その「草創期の状態」が永続するかのようにデザインされ、丸々一世代程度の時間でそれが熟成され、それの維持継続が図られたものの、システムの前提になっていた「草創期の状態」が時間を経て変化を遂げ続けた中、制度疲労が顕著になって行ったという約2世紀半であるように思う。対馬と、対馬が担った日朝関係に関連する事項にも、そうした“江戸時代”の傾向が或る程度当て嵌まるように見受けられる。国内での産業の勃興により、交易品で利益を上げることが困難になって行き、国内事情で通貨の改鋳等が行われたことで交易時の支払いに不便を来すようなことが発生し、やがて「突き詰めた理屈」によって「幕府の“補助”で型を保つ」ような日朝関係になって行く…

    本書は「豊かな内容」を巧く「適当な分量で纏める」ということに成功していて、“日朝関係”をキーワードに独特な存在感を持っていた“対馬”に関する優れた入門書になっている。

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