- Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
- / ISBN・EAN: 9784634545205
作品紹介・あらすじ
山野と人との交わりは、人類発生以来のものでした。日本の歴史にあっても、縄文人と落葉広葉樹の森、古代や近世の大都市建設と山林伐採、中世山岳仏教の展開、杣人や木地屋と林産資源など、多くのテーマがすぐに浮かびます。一八九〇年代に始まる日本の産業革命も、薪や木炭が重要なエネルギー源でした。本書は、そうした山野と人との関わりを、江戸時代の場面で眺めます。稲作農業が満面開花したこの時代、人は生業を通じて山野と深いつながりを持ち、全国の山々はどこも人の姿で満ち溢れていたのでした。
感想・レビュー・書評
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水田開発によって肥料として漉き込む草が必要なので山焼きして人為的に草山状態を維持していた、必要量を確保するためには田畑の十倍の面積の草山が必要だった、草山確保できないと年貢払えないと領主と交渉したりといった話が盛りだくさん。一方、山に木が無いと土砂災害が頻発するので土砂留の工事が必要となるが、その結果村落、領主、担当大名、幕府の奉行の関係性に変化が生じる、防災のために森にすると肥料を金で買わざるを得ず、鹿害・猪害も発生するなど、今にも通じるメカニズムも。参考文献リストあり。
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江戸時代の人々の生活と山野とのかかわりをまとめた一冊。わかりやすいのでさっと読める。
人々の生活空間に近い山野は、草肥を確保するための草山・芝山に改造されていて、我々の見ている景観とはずいぶん違っていたようだ。
新田開発の進展などで草肥の確保が難しくなったり、草山・砂山からの土砂災害防止対策で草山に樹木が繁ることで草肥の確保が難しくなったりして、干鰯のような購入肥料にシフトしていく動きもあったらしい。
草山の様子と共に江戸時代の肥料事情、農業事情などもよくわかり勉強になった。