平清盛: 「武家の世」を切り開いた政治家 (日本史リブレット人 25)

著者 :
  • 山川出版社
3.64
  • (1)
  • (5)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (87ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634548251

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 鹿ケ谷の陰謀は大掛かりな事件のように思われるが、実際は酒を飲んで平家の悪口を言った程度であったらしい。証拠はないが、多田行綱は密告者に仕立て上げられたのか?これによって後白河法皇幽閉、藤原成親流罪、西光の死亡となり、結果的に比叡山攻めを求めれれていた平家を救った?

  • 清盛==悪者説は、学会においては70~80年代には既に否定されてきていたんですね。それが、私も含め一般の人々に広まるには大河ドラマを待たねばならなかったと言うことか。
    そんな平清盛に関してコンパクトにまとめつつ、“新たな”歴史解釈を分かり易く提示してくれている本書は「再入門書」としてとてもいい本だと感じた。
    これでさらに大河ドラマが楽しく観られるようになっただろう。

  • (2012.01.16読了)(2012.01.10借入)
    平清盛について、簡単に史実を確認できるかと、薄い本を借りて読んでみたのですが、薄い分説明が詳しくできないので、あまりよく分かりませんでした。
    生涯のなかでのトピックはわかったので、今後類書を読むうえで手掛かりにはなりそうです。

    目次は以下の通りです。
    平清盛のイメージをめぐって
    ① 武家棟梁としての活躍
    ② 王権への奉仕者の栄光と苦悩
    ③ 独裁政権への道
    ふたたび平清盛のイメージをめぐって

    ●平清盛の評価成立の背景(2頁)
    1.源氏が建てた武家政権の最初である鎌倉幕府が、清盛たち平氏一門を「朝敵」として追討する。日本では、「天皇の敵」を意味する「朝敵」は絶対悪であった。
    2.清盛たち平氏一門が寺院勢力と対立する中で、「仏敵」の評価が与えられた。
    ●伊勢平氏(5頁)
    清盛の祖父に当たる正盛が、1097年に白河上皇に接近し院北面となり、海賊追捕や謀反人の鎮圧さらには延暦寺や興福寺の強訴における衆徒の入京阻止などでたびたび武功をあげ、白河や摂関家の厚い信頼をえて伊勢平氏台頭の基盤をつくった。
    ●清盛の母(6頁)
    清盛は、1118年1月18日に忠盛の長男として誕生した。
    母は、祇園女御の妹で白河上皇に仕えた人物であるとする判断が妥当に思える。
    ●祇園社闘乱事件(9頁)
    1147年6月14日、清盛の従者と祇園社の神人とのあいだで闘乱事件が発生した。
    ●忠盛没(12頁)
    1153年1月15日に、平忠盛が没した。
    清盛は、六波羅の邸宅を継承した。
    ●皇位継承(15頁)
    摂関政治期には天皇の母系の藤原氏が、さらに後三条天皇親政期・白河院政期以降は天皇家の家長が、それぞれ皇位継承権を一元的に掌握したことによって政治は安定し、合戦に及ぶ激烈な政治抗争は久しく起きることがなかった。
    ●保元の乱(20頁)
    1156年7月。崇徳上皇・藤原頼長、源為義・平忠正。→白河北殿
    後白河、藤原忠通、源義朝・信西、平清盛。→高松殿
    後白河方が勝利した。
    ●平治の乱(30頁)
    1159年12月4日、清盛は熊野参詣のために都を後にした。これを好機として、9日に藤原信頼の命を受けた源義朝の軍勢が、後白河上皇の御所である三条殿を襲撃し、後白河と上西門院を連れ去って内裏のなかの一本御書所に幽閉したのである。
    ●平家納経(46頁)
    1164年以降、一問の繁栄を願って経巻を厳島社に奉納するようになっている。
    1167年2月11日、清盛は従一位太政大臣に昇進する。
    1168年2月、清盛は病魔に襲われる。
    ●徳子入内(57頁)
    1171年12月2日に清盛の娘徳子が後白河の猶子となって、14日に高倉に入内し、1172年2月10日に中宮の地位を与えられている。
    ●鹿ヶ谷事件(61頁)
    1177年6月1日、後白河上皇の近臣である藤原成親・西光・平康頼・俊寛らが、京都近郊の東山にあった俊寛の山荘である鹿ヶ谷で平氏打倒の密議を行ったとされる。
    ●安徳天皇誕生(64頁)
    1178年11月12日、徳子が皇子を無事出産した。
    ●以仁王の挙兵(72頁)
    以仁王は、諸国の源氏武士や大寺院に宛てて令旨を発し、後白河を幽閉してその院政を停止し、多くの近臣たちの官職を奪い去った清盛の所業を「謀反人」のそれと断じ、清盛の追討を呼び掛けた。
    ●福原遷都(74頁)
    6月2日、清盛は後白河・高倉・安徳を福原に移す、いわゆる「福原遷都」を断行した。
    ●頼朝挙兵(75頁)
    8月、以仁王の令旨に答えて源頼朝が伊豆で挙兵した。
    ●清盛死去(79頁)
    1181年2月4日、清盛は波乱の生涯を終える。享年64歳であった。

    ☆関連図書(既読)
    「平家物語」(巻之一)-(巻之八)、光瀬 龍著、角川文庫、1987.07.25-1990.04.25
    「平家物語」高野正巳著、講談社青い鳥文庫、1994.04.15
    「平家物語」上・中・下、横山 光輝著、中央公論社、1995.01.25-1996.03.25
    「女人平家」上・中・下、吉屋信子著、朝日文庫、1979.05.20
    「平家物語を読む」永積 安明著、岩波ジュニア新書、1980.05.20
    「平清盛 1」藤本有紀作・青木邦子著、NHK出版、2011.11.25
    (2012年1月20日・記)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    【展覧会】
    平清盛 NHK大河ドラマ50年
    主催:NHK、NHK プロモーション
    会場:江戸東京博物館 1階展示室
    会期:2012年1月2日(月・祝)~2月5日(日)
    観覧料:一般1,300円
    観覧日:2012年1月18日(水)

    「世界遺産・厳島神社に伝えられる多数の至宝をはじめ、この時代を生きた人々の肖像画や書跡、主要な源平合戦を 描いた絵画、平家末期の文化を象徴する美術・工芸品など、国宝・重要文化財を含む約120点を紹介。」(ホームページより)

    東京国立博物館に行こうとしたのですが、9時50分にネットで混雑状況を調べたら60分待ちと出ていたので、あきらめました。きっとこのまま国立博物館に向かったら、到着した頃には、120分待ちとかになっているだろうと思ったので。
    やむを得ず、両国の江戸東京博物館に切り替えました。
    ところが、江戸東京博物館に到着してみると、今日は、シルバーデーで、65歳以上の方は無料ということで、多くのご老人で大変な混雑でしたが、入場制限はありませんでしたので、混雑する中をかいま見てきました。

    展示の構成は以下の通りです。
    第1章 平氏隆盛の足跡 
    第2章 清盛をめぐる人々
    第3章 平氏の守り神-厳島神社
    第4章 平氏の時代と新たな文化
    第5章 平家物語の世界

    最初のコーナーでは、平清盛の生涯を絵巻物や清盛の直筆の史料等でたどれるようになっています。節目となる事件の解説も簡単に記述したパネルが掲示してありますので、実にわかりやすく親切です。
    保元の乱、平治の乱、鹿ヶ谷事件、……。
    二番目のコーナーは、清盛の周りの人々。西行、後白河法皇、鳥羽法皇、平重盛、平敦盛、高倉天皇、源頼政、常盤、等、肖像画や古文書が並びます。
    三番目のコーナーは、厳島神社です。社殿配置の模型が展示してあり、平家納経についてのビデオも放映されています。
    国宝の「平家納経」も幾つか展示してあります。「平清盛願文」もあります。
    平家納経の始まりの部分が拡大して頭上に展示してあります。下ばかり見ていると見逃してしまいます。
    四番目のコーナーには、「平氏の時代と新たな文化」と題されて、「宗船模型」や陶磁器、仏像などが展示してあります。そういえば、清盛像を見たかったけど、展示してありませんでした。
    最後は、「平家物語の世界」ということで、平家琵琶、「平家物語」、一の谷・屋島合戦図屏風、那須与一射扇図屏風、等が展示してあります。
    結構いろんなものがあります。
    大河ドラマを楽しむのに役立ちそうです。
    (2012年1月19日・記)

  • 平清盛の生涯についてざっと学べる。ほんと武士というより、政治家だったんだね。

  • 小説ではなく、純然たる歴史解説書です。
    2012年の大河ドラマ「平清盛」の元になっているのか?

    以下「序文」より引用

    長く日本史上の悪役として評価され続けた平清盛。『平家物語』をはじめとする軍記物語や源氏の武家政権の発展を描く歴史書では、清盛に否定的な評価がくだされるのが常でした。本書は、多様な史料を用いて清盛の生涯を追いながら、虚像と実像を可能な限り見極めることで、日本の政治を武士が主導する新たな時代の幕を開けた清盛の姿を描こうと思います。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

1959年、東京都生まれ。1988年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得、文学博士。東京大学史料編纂所助手、明治大学文学部教授などを歴任。2018年、没。
【主要著書】『日本中世法体系成立史論』(校倉書房、1996年)、『大江広元』(人物叢書、吉川弘文館、2005年)、『源平の争乱』(戦争の日本史6、吉川弘文館、2007年)、『鎌倉幕府統治構造の研究』(校倉書房、2015年)

「2022年 『源頼朝と鎌倉幕府』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上杉和彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×