空飛ぶ山岳救助隊 (ヤマケイ文庫)

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  • 山と渓谷社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635047319

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  • 今や当たり前となったヘリコプターによる山岳救助の草分け的存在、篠原秋彦氏の半生を綴った本。東邦航空に入社後は営業マンとして山から山へ自分の足で駆け回り、工事や整備事業の為の現地調査をとり、山小屋からの信頼を得て荷揚げの仕事を請け負うようになる。やがて当時は人力が当たり前だった山岳救助の場でヘリを飛ばし、長野県警にヘリが導入される前はもとより、導入後も壮絶な現場から現場を飛び続けた……。
    自分もいち登山初心者のため気になって調べたところ、2023年の山岳遭難事故発生件数は738件、遭難者809名、死者・行方不明者61名らしい。対して昭和38年は事故件数は529件、死者・行方不明者は184名だという。コロナ禍で減少していた山岳遭難事故はまた増加傾向にあるが、発生件数に対しての死者・行方不明者の割合が昔に比べて格段に低いのは、ヘリレスキューの普及と発達が一因であることは言うまでもない。もしかすると篠原氏が居なければ今のヘリレスキューは確立しなかったかもしれない。本当に偉大な人物だと思う。こういった偉大な人々が歴史を変え世界を切り開いてきたのだから、後に続いて今を生きる自分達も精一杯頑張らなければなあ……と思わせてくれる本。そして何より、山岳遭難事故を起こさないこと。安全第一で山に登り、それでも万が一起きてしまった時のために心構えと備えをしておくこと。そう心に刻みたくなる一冊。
    篠原秋彦氏は2001年には日本で初となる山岳救助隊専門組織トーホーエアレスキューを設立し、2002年1月6日、鹿島槍ヶ岳での救助活動中に亡くなるまでに約1700回出動、救助した遭難者は2000人以上だという。篠原氏に敬意を表したいと思います。

  • 山を登る人には読んでほしい作品
    北アルプスに登ると割としょっちゅうヘリコプターに出会います
    物資の運搬のときもあるし、ヘリの動きから捜索かな?というときもあります
    幸いまだ捜索願を出すような事故にはあったことがないですが、
    山をやってる以上、ここに書かれてる遭難者に自分もなる可能性があることを改めて自覚しながら山を楽しもう!と気が引き締まります

  • ヘリレスキューの立役者である篠原さんの絶賛を繰り返すので、山登りをしない人にはつまらないかも。
    登る人にとっては、身につまされる事故の話なので一読の価値あり。

  • 生というものは、歯を食いしばってもう一歩を前に出すことによってのみつかみ取れるもの

  • かっこいい!!!

  • 山岳救助をヘリで行う。
    山に生きる男の実録。

  • ここまで命懸けの仕事を民間が良くぞ請負ったという感じ。救助という極限状況が人を駆り立てるのか。救助を生業とする人々に感謝の言葉しかない。有難う、そして冥福を祈ります。

  • ヘリによる山岳救助の草分け、東邦航空の篠原秋彦氏が題材。単行本の副題がヘリレスキューに命を懸ける男、だったが、文庫本ではヘリレスキューに命を懸けた男、に。救助活動中に救助ネットから転落死したとのこと。その後、東邦航空はレスキューから姿を消し、代わりに警察ヘリによるレスキューが主流になった。

  • 2016/12/16 Amazonより届く。
    2018/8/18〜8/31

    ヘリによる山岳遭難救助の礎を築いた篠原秋彦氏を取り上げた本。篠原氏のことは、漫画「岳」に出てくる牧さんのモデルということであったが、まさかここまですごい人だったとは。幸い自分はまだお世話になったことは無いが、一体何人の人の命が救われたことだろう。そんな人なのに最後があっけなさ過ぎる。今も生きておられたら、と思うと残念である。

  • あとがきが悲しかった。
    2016.9.4

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著者プロフィール

1961年埼玉県生まれ。ノンフィクションライター。長野県山岳遭難防止アドバイザー。山岳遭難や登山技術の記事を、山岳雑誌「山と溪谷」「岳人」などで発表する一方、自然、沖縄、人物などをテーマに執筆活動を続けている。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。

「2023年 『山のリスクとどう向き合うか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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