野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)

  • 山と渓谷社
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  • Amazon.co.jp ・本 (1004ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635048484

感想・レビュー・書評

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  • 作・戸川幸夫、画・矢口高雄『野性伝説 羆風・飴色角と三本指』ヤマケイ文庫。

    何と幻の傑作『野性伝説』が合本され、2分冊となり、ヤマケイ文庫から復刊。

    本作は1,000ページ余りのボリュームで読み応えがある。何しろ『羆風』だけで3分冊だったのに『飴色角と三本指』まで合本されているのだ。

    『羆風』。何度かテレビでも取り上げられ、様々な書籍でも描かれている大正4年に北海道の開拓地で起きた最悪の羆害事件が矢口高雄の緻密な筆致で描かれる。何度読んでも恐怖を感じる。

    『飴色角と三本指』。宮城県七ヶ宿を舞台にカモシカの飴色角とマタギ・三本指との闘いを描く。人間のエゴと野性……結末は……

    • chikachanさん
      「マタギ」の時にコメントしてくださってありがとうございます!この本も面白そうですね!横から失礼しました~。(^_^)
      「マタギ」の時にコメントしてくださってありがとうございます!この本も面白そうですね!横から失礼しました~。(^_^)
      2018/08/03
  • 吉村昭の「羆嵐(くまあらし)」を読んでいたので、同じ事件を扱った矢口高雄の漫画を読んでみた。この漫画の原作は戸川幸夫の「羆風(ひぐまかぜ)」で、「羆嵐」と「羆風」は同じ三毛別羆事件を取り扱っている。紛らわしいですね。
    「羆嵐」よりもこちらの方が史実っぽいなあと思ったら、矢口高雄本人がさらに追加取材を重ねたそうで、こういう姿勢には本当に頭が下がる。

  • 日本史上最悪の獣害である「三毛別羆事件」。これを知ったのは、「百姓貴族」の検索すんなだったかなぁ。
    で、検索してみて悲惨さに戦慄。文章だけのウィキペディアでさえ、そうだったのに漫画として読むとさらに。
    恐怖と悲劇な事件。犠牲者の方々の冥福と共に、同じ事件を起こしてはいけないと強く思います。その一念でマタギとなった大川春義氏と、記録を残した木村盛武氏い尊敬を憶えます。

    被害者の方々には記憶から消してしまいたい事件でも、教訓として後世に残さなければいけないことはあるものなので。

  • 吉村昭の「羆嵐」で知られる。人喰いクマの事件。「釣りキチ三平」の矢口高雄による漫画版。

    人間の立場より野生のクマの立場からの描写が何より秀逸。人と自然の関係について深く考えさせられる。

  • 事実に基づいた内容で、
    ドキドキしながら読みましたが、
    羆(ヒグマ)が人間を襲う描写は、
    かなり凄惨で、
    読み返すのは私には厳しい。

    もう一つ話が付いていて、
    カモシカと密猟者の話。
    この話も面白かったです。

  • 実話だと知って驚いた。慰霊塔の建設(羆に対する鎮魂の意図も込められているという)話が印象に残った。

  • 2019/5/13購入
    2019/6/15読了

  •  本来、人間は自然の一部である。
     自然というフィールドにおいて、人間と他の動物とは対等であるべきなのだ。

     大正四年十二月、三毛別羆事件として知られるこの事件は、二日で六名の死者を出す被害となった。
     開拓民の村を羆が襲い、女子供を食べては、何度も現れる。
     どこから羆が襲ってくるのか、村は恐怖に陥る。
     一方、自分の縄張りで好き放題山を開墾する二本足を苦々しく思っていた羆はある日、彼らの家を襲うことにした。
     自分の縄張りで何をしようと文句を言われる筋合いはない。
     軒先のトウモロコシを食べていたが、ある時をきっかけに人肉の味を知ってしまう。(羆風)

     かつては毛皮を目当てに狩猟対象だった羚羊(カモシカ)は、野生生物保護を名目に狩猟禁止となった。 
     蔵王山麓、七ヶ宿。
     禁猟となった後も密猟を続ける猟師たちが集まってきた。
     彼らが狙うのは飴色の角を持つ牡の羚羊。
     羚羊と猟師の一対一の戦いを描く(飴色角と三本指)

     
     人間と、動物の視点がフェアに描かれている。
     都市を築いた現代人が忘れてきたものだ。

  • 1000ページ超えのボリュームたっぷりです。
    対等に描かれていて、読み進めるにつれて
    人と動物の共存とは、何かということを考えるきっかけになりました。

  • 六線沢への羆襲来。記録小説「羆嵐」に描かれた事件を今度はコミックで読む。絵になっている故、イメージは固定化はされてしまうが、想像はつきやすい。住民主観での物語の展開。創作部分の多さを感じるが、実感は持ちやすい。羆を擬人化しての思考描写。動物の感情理解は容易くない。当たらずとも、考えるきっかけにはなる。被害の悲しみ。自然に罪を被せても更生することはない。憎んでも報われることはない。そういうものだと知識をつける。学ぶことが共生につながる。羚羊対密猟者がテーマの作品がもう一遍収録。無駄な戦い。結末は虚しい。

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著者プロフィール

1912年、佐賀県生まれ。東京日日新聞社(現・毎日新聞社)に入社後、1955年に小説『高安犬物語』で直木賞を受賞。作家専業となり動物小説を次々と発表、「動物文学」をジャンルとして確立。多数の小説や児童文学作品を手掛ける。

「2018年 『新装合本 牙王物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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