ヤマケイ文庫 人を襲うクマ―遭遇事例とその生態

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  • 山と渓谷社
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感想 : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635049115

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  • 羽根田治『人を襲うクマ―遭遇事例とその生態』ヤマケイ文庫。

    最近急増するクマによる襲撃事件の実態とその原因に迫るノンフィクション。

    確かに近年、特にツキノワグマによる襲撃事件の被害や目撃をよく耳にする。著者によれば里山の生態系が破壊され、クマの好物のクマザサが枯れ、広葉樹も減少したことでクマが手軽に食糧を確保出来る人間の生活圏に降りて来ていると言うことらしい。

    冒頭に紹介された1970年7月に日髙のカムイエクウチカウシ山で起きた福岡大学ワンダーフォーゲル部のヒグマ襲撃事件はテレビなどでも取り上げられた恐ろしい事件の一つである。また、戸川幸夫の『羆風』、吉村昭の『羆嵐』や木村盛武の『慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件』で有名な日本史上最大の熊害事件と言われる苫前三毛別事件はトラウマものだ。これらの事件は、ヒグマの執着心や習性を知っていれば防げた事件かも知れない。

    また、最近でもクマとの遭遇事件や襲撃事件の概要が紹介されている。クマによる一撃は予想を遥かに超え、例え命が助かっても怪我の後遺症に苦しめられる重篤な事態になり得るのだ。我々人間が手軽に山に足を踏み入れることが可能となった現代に於いては、山に近付く時の心構えやクマの習性や生態を知ることで防げる事故も多いのだろう。

    文庫化にあたり追記として、著者による最近のクマ遭遇事故の特徴などが追加されている。

    本体価格880円
    ★★★★★

  • 山に入る上での心構えを考えさせられた。
    登山は野生動物の領域に侵入することである事を認識し、自らも野生動物のように五感を集中させ山と真摯に向き合っていきたい。

  • 山にすんでいるので、出くわした時の心構えを持つことが出来た。クマは怖いがきっと向こうも人間は嫌だと思う。クマの生態や事故のことが詳しく知れてとても興味深く最後まで読むことが出来た。

  • 2022/1/3購入

  • クマのプーさんには誰も勝てない

  • 昨年尾瀬でツキノワグマを初めて目撃してから、この本を読まなくてはと感じて早1年経ってしまった。ドキュメント遭難シリーズでお馴染みの羽根田治さんのクマの本(というのもおかしいが)。昭和の事故から最近のものまで。奥多摩の川苔山山頂直下でクマに襲われた事故には驚いた。わたしも歩いたことのある、かなり人通りの多いはずの登山道だからだ。東京だと思って油断はならない。
    クマは基本的には人間を恐れており、至近距離でばったり出会したり混乱したりしない限り、クマの方から逃げていく。クマが人を襲う時は顔面を狙うことが多く、目はそらさないでいる方が良い。だが、クマと対峙した時の行動に絶対の正解はない。それでも、事故を知っているのと知らないのでは大違いだ。クマの生態や出会った時の対処法(better)を学べたので読んで良かった。そして早速山友だちに話すことができた。
    文庫化するに辺りコロナ禍の影響や2020年の上高地での事故、折立の出没報告など、記憶に新しいエピソードにも触れられている。山に入る上でクマとの遭遇の可能性は常にある。お互いが傷付かずに済むよう、その存在を意識して行動しようと思った。
    211013読了、図書館本。

  • 熊に襲われた事件を書いている。事例集として大変ためになる。決して他人事とは思えなくなる。

  • 登山をするので興味深く読みました。誰でもクマと遭遇する可能性はあるということです。
     ヒグマが恐ろしいことは知っていましたが、ツキノワグマもかなり恐ろしいと感じました。クマに襲われて重傷を負った被害者がクマを責めることなく敵意も抱かず、人間がクマのテリトリーに入ったり、野生世界の秩序を乱すようなことをしたから襲われたのであって、どちらかというと悪いのは人間のほうだというようなことを言っていることに驚くと同時に、この問題の根本的な真意を感じてます。

  • 山岳遭難を多数取り扱われている羽根田治氏によるクマ被害を扱う一冊。
    地元猟師の声、九死に一生を得た方々の生の声は恐ろしさをリアルに伝えてくる。ヒグマよりツキノワグマの方が人身事故数が多いのは意外だったが、
    ヒグマの死亡率は30%以上と高いし、顔面を狙うことも多い。
    決定的な対策も無い。
    熊よけのためにイヌの利用も書かれるが、「イヌが怒ったクマを引き連れて飼い主のところに戻ってくることもある」は少し笑ってしまった…

    本来はクマの住処である山へ入る人間と、クマとの共存を目指しつつ、事故を減らそうというのを主とした一冊。

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著者プロフィール

羽根田 治:1961年、埼玉県生まれ。フリーライター。山岳遭難や登山技術の取材経験を重ね、山岳専門誌「山と渓谷」や書籍などで発表する一方、沖縄、自然、人物などをテーマに執筆活動を続けている。

「2017年 『生死を分ける、山の遭難回避術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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