アラシ 奥地に生きた犬と人間の物語 (ヤマケイ文庫)

  • 山と渓谷社 (2024年6月18日発売)
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本 ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784635049993

作品紹介・あらすじ

角幡唯介氏、大絶賛! 「傑作! ジャック・ロンドンの『野性の呼び声』そこのけのすごい話だった。」 吹雪の夜に迷い込んできた山犬の仔は、過酷な北海道の原野を生き抜き、やがて仲間とともに山奥へ消えた――。
犬と人の絆、野生の掟、生と死がせめぎ合う伝説の名著。

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「アラシ、どこへ行く」と呼びかける私の声に見向きもせず、アラシは沢に架かる木の一本橋を渡って対岸へ走り、たちまち視界から消え去った。
こんなことは今までのアラシにはなかった。”もしかして、このまま帰ってこないのではないか。” 私は何故とはなしにそう思った。
(本文「アラシ」より)
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川で溺れかかった今野少年を救ったクロ(Ⅰ)。
嵐の夜に迷い込んできた山犬・アラシとの絆と野生の掟に従い訪れる別れ(Ⅱ)。
大熊をも倒したという勇猛果敢なタキの話(Ⅲ)。
人と驚くほど意思を通じ合わせることのできたノンコのこと(Ⅳ)。
北海道の美しく過酷な大自然の中でそれぞれの犬と刻まれる4つの物語。
野生みなぎるノンフィクションの名作。

解説/角幡唯介。

感想・レビュー・書評

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  • 山奥の暮らし 人間と犬の絆
    <ほっかいどうの本>アラシ:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1060366/

    探検家の角幡唯介氏が復刊を熱望していた動物文学の名著。吹雪の夜に迷い込んできた山犬の仔は、過酷な北海道の原野を生き抜き、山奥へと消えた――人間、犬、熊…生と死がせめぎ合う驚愕の実話。|ヤマケイの本(2024年7月6日)
    https://note.com/yamakei90_/n/n27b9131af26d

    ヤマケイ文庫 アラシ 奥地に生きた犬と人間の物語 | 山と溪谷社
    https://www.yamakei.co.jp/products/2824049990.html
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    (yamanedoさん)本の やまね洞から

  • 長きにわたって絶版、入手困難な状況が続いていた伝説の名著が復刊されたという記事で読んでみた。探検家・作家の角幡唯介氏が絶賛し、復刊を熱望していた一冊だそうで、復刊の巻末では、角幡氏が解説している。

    1920〜40年代、大正から昭和初期の北海道が舞台。奥地で製炭業を営む一家で、少年時代を過ごす著者の側にいた、類稀な才能を持つ3頭の犬と、伝聞による1頭が紹介されている。

    登場する犬は、自由に山と著者の家を行き来している。野生の力をキープしながら、人の指示に従うだけでなく、時には人の言葉を理解しているように行動したり、著者を含む小さい子たちを何度も助けたり。熊を倒したエピソードもあり、山を切り開き、自然と暮らす、共生する家族のようすも興味深い。

    自家用車など無い時代、汽車で犬を運ぶことは許されていなかったという。製炭のために山を移動せざるを得ない著者の家族と別れの場面は、とても辛い。

  • 泣いた
    著者が子供頃から共に暮らした犬達
    こんなに賢く強く従順な尊い生き物と一緒に暮らせた事が羨ましい
    川で溺れそうになってる飼い主を助けるクロ
    野生の掟に従い別れるアラシ
    人の言葉が通じるノンコ
    著者が生涯飼った犬は21頭だがそのうちこの3頭は特別な犬だったらしい
    犬好きは是非

  • 先に秘境釣行記を読んでからアラシへ。
    主に著者が関わった3匹の犬と伝聞で聞いた1匹の犬に関するストーリー。

    読んでいてこんなことが実話としてあったのか!?という驚嘆と感動の連続である。

    時代背景はおおよそ80-100年くらい前なのだとして、遠いようで近い過去、こんなにも野生(動物)と人間の距離は近く、イキなものだったのか。

    今ではモラルやリスクなどの観点から犬を放し飼いすることなどは考えられないが、そうしたほぼ自然状態で自由に山野を駆けて野生を磨いた個体でしか獲得できない知覚やスキルがあるのではないか。
    そう思わざるをえない内容だった。

    今野さん作品に共通する自然や生き物、生活描写も素晴らしく、ありありと情景が目に浮かぶ。

    自然好きな方だけでなく、犬というテーマとして興味のある方もぜひ読んでみてほしい作品です。

  • 冒頭の"クロ"の巻から犬好き、動物好きとしては感情を揺さぶられ、読んでいるうちに自ずと保少年に感情移入、ともすれば同化してしまい、どっぷりと作中世界を味わうことになる。
    そして、続いて登場するアラシ、タキ、ノンコも含め皆に、"これぞ犬本来の姿なのだろう"と深く頷かされる。
    太古、人と犬との関係が始まった原初の絆がオリジナルの形で残るぎりぎりの時代であり、世の中だったと言えるのではないだろうか。
    リードに繋がれるなどという発想すらなく、一旦山に遊びに行けば数日戻らないことも多々、本能の赴くまま山犬と交わり獣と争い、その一方で極めて高い知性を備え、必要とあらば命を賭して人を守る献身性を併せ持つ…巻末の解説で角幡唯介氏が述べられているように、現代の日本社会においてこのような形態で犬と暮らすことはもはや不可能ではあるが、ここで描かれる関係性こそが本質であり神髄なのだ、と強く感じざるを得ない。
    人間社会の進化は果たして"進化"なのだろうか?

    「かつて、そんな犬らしい犬たちが人と共に逞しく溌溂と生き抜いたことを、折りにふれて想起していただければ幸いである。」

    「私がダムや林道のない日高に憧れるのと同じで、このような人と犬との関係ももはや夢幻となってしまった。
     ~(中略)
     それは私たちが自然を喪ったからである。環境のなかにある自然だけでなく、心のなかにある自然を喪ったからである。」

  • 内容は犬とゆうより昔の北海道の暮らしがメインな気がする 

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