ヒルは木から落ちてこない。 ぼくらのヤマビル研究記

  • 山と渓谷社
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感想 : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635063081

感想・レビュー・書評

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  • 「ヒル」ほど嫌われている生物はいないでしょう。
    その謎につつまれた生態を小中学生たちが解き明かしていきます。
    私の住む地域も少し遠出するとヒルスポットがあるので他人事ではありません。
    ・ヒルは二酸化炭素濃度の変化に反応する。
    ・ヒルは体温くらいの温度に反応する。
    ・反応する範囲の限界は2.5m。
    ・木から落ちてこない。
    ・5%くらいの塩水でも死ぬ。
    など貴重な生態を知ることができます。ヒルスポットに行く際には役立つことばかりでした。

  • そもそもヒルって見た事無いんですよね。映画や小説なんかでは出てきますが、山登りもフィールドワークもしない身としては遭遇する可能性は低い生物です。
    でも尺取虫のように人に迫ってきて、気が付かないうちに人から吸血するヌメヌメした生物なんて好きな人居ないですよね。僕もちょっとつかむの躊躇すると思います。ミミズ触れるけれどやっぱり嫌だもんねえ。
    そんな嫌われ者のヒルの通説を、小学生たちが地道な研究で覆した痛快なノンフィクションです。
    当然導き手の大人たちは居るのですが、彼らも初めて知る事な訳で、答えが分かっている実験に導いている訳ではないんですね。そこが本当に素晴らしい。
    ヒルが木から落ちてくる、シカがヒルをばら撒いている等、常識とされていた通説を覆していくのは本当に読んでいて胸が熱くなるし、好奇心というのは新しい事を発見する一番重要なエネルギーなんだと実感しました。
    ヒルにも詳しくなったし、ちょっとかわいくも思えてきます。実物見たらとても受け入れられないと思いますが・・・。

  • 主体的な学びという、学校ではよくテーマになる学習を地でいっている感じ。しかし自分や自分の子供たちの経験を通してみれば、実際の小学校で、主体的な学びというものは、あまりないように思える。学校の先生の筋書きがあって、そちらに誘導されているような風に思えてならなかった。しかしヒル研は一人一人の子供が主体的に学んでいて、その姿が頼もしかった。
    写真が白黒でちょっと見にくいのが残念。イラストなどを入れていくれたら、分かりやすかったように思う。またちょっと文章がとっちらかているようにも思えた。先生は一人一人の子供の人となりが分かっているから、このような書き方でもいいのだろうが、子供の前情報がない読者には、話が細切れになっているように思えた。

  • 大きいヒルと小さいヒルと。ヒルはいかん。落ちてこない検証実験がすごい。ヒル忌避剤効くのね。秦野駅ヒルスポットは思わず検索してしまったことであるよ。仮説と検証をとてもとてもまじめにやってて、すごい。

  • 小学生・中学生のこどもたちがヤマビルを研究する。大人はコーディネートするだけで、研究を引っ張ったり指示したりはしない。道具を用立てたりと環境を整えてやるだけ。

    表題にもある通り、ヤマビルが人間が来るのを察知して、その人間を狙い澄まして木の上から落ちてくるという例はほぼない。それを己の体を使った実験で実証する。
    そもそも木の上に登るヒルを見ることがないらしく、また木の上に登ったとしても、常時風があたり乾燥しやすい木の上でヒルが待機するメリットもなさそうだ。

    これらを発表したとき、しつこく彼らヤマビル研究会を否定する高年齢男性の記述も1つのクライマックス。いわゆる俗説・通説から抜け出せない典型例として悲しく描かれている。この男性も、この発表が子どもたちの手によるモノではなくどこかの大学教授とかだったらまた全然違う態度になるのだろう。あわれみを感じるとともに、他山の石とすべき、と痛感する。

    ヒルの広がりについての要因、いわゆる俗説では鹿である。鹿にとりついたヒルが遠隔地で落ちてその場で広がる。
    このことについても研究会は考えている。彼らの研究・考察では、水の流れによるものが大きいのではないかということ。ヒルが繁殖しやすい場所(ヒルスポット)にいるヒルが、獣道・山道などを流れる雨の水流で移動すること大きいと。
    しかし、一方でヒルの血液から鹿のDNAも見つかっている(カエルも吸血対象らしい)。そこで宅配便で例えると、拠点から拠点への物流は鹿などの長距離移動可能な生物に便乗して、拠点から各住宅などのラストワンマイルは水流が要因などでは、ととりあえず落としどころを見つける。

    彼らはヒルを解剖してその体内の構造にもアプローチしている。吸われた血液の流れや心臓の有無などとどまることを知らない。

    自発的な探究心から仮説を立て、それを自ら検証する、という行為を繰り返している彼ら。コーディネートする大人達も主役は子どもたちだとして、インタビューや発表を子どもたちに全て任せている。これは子どもたちの自発や自立につながる。自分たちで思考して決断する。このような機会が得られることは尊い。子どもたちの一人はインタビューでいう。
    「学校の実験は、結果が決まっていることをただなぞるだけだが、ヤマビル研究会は違う」

  • 10年間ヤマビルを子どもたちと研究してきた人のまとめた本。

    ちょうど高野聖を読んだ頃にこの本の存在を知ったので読まないわけにはいかなかった。
    自分もヒルは木から落ちてくるんだなと思ってたし。
    ヒル自体、自分は見たこと無いけど、この本を読むといるところにはマジでうじゃうじゃいるんだな、と知った。

    「ヒルは足元から上がってきて、血を吸われても痛みもなくて30分くらいついてることもあるから、首の血を座れてるということはこれは上から落ちてきたに違いない、と勘違いしてしまうことがある」、と。
    また、「ヒルがいるような森の中では木も多く、ミノムシや木の実、枯れ葉が上から降ってきてそれをヒルと思ってしまうこともありそう」、と。
    なるほどー。
    「そもそも木の上から落ちてくるということは木に登らなきゃいけないわけだが、木についているヒルを見たことはなく、地面には山程ヒルがいる場所の木の下で3時間待っていても落ちてこない。ハレノヒも、雨の日も。」
    「しかもヒルは乾燥に弱く、いつもは草や枯れ葉の間にいるから、木の上という乾燥しそうな所にいるとすぐ死んでしまうだろう。」
    などなど、言われると確かに〜、となりっぱなしのことを子どもたちが次々と思いつき、そして先生のサポートもあって次々と証明していく。
    まるで爽快な推理小説のよう。

    他にも、そもそもヒルが人に寄ってくるのはどういう仕組みなのかということで、捕まえたヒルに向かって息をかけてみたり、色んな温度のものを用意してどれに寄ってくるか確かめたり。あとは塩に弱いということで何%の食塩水まで耐えられるのか。果てはカッターやメスで解剖していくという、ありとあらゆる研究をしていく。
    これは子どもたち、楽しいだろうなー。

    理科の実験では答えありきのことを確認していくだけだが、ヒルの研究では答えがないので、気になることをとにかく確認していく、それを先生が全力で応援してくれるという、それは子どもたちもやる気が上がる。子どもたちの好奇心とひらめきの強さ、そして教育についても色々と学びになる本だった。

  • 2011年から10年ほど三重県で活動している「子どもヤマビル研究会」の活動の様子や成果が綴られている。ヒトの血を吸うヤマビル、その生態はあまり研究されたり知られたりしていないと言い、知的に興味深く読んだ。もちろん、ヤマビルに対して素直に探究心をぶつけ、自分たちの疑問や考えへの答えを追求していく姿、感心したり応援したり。

    そして、著者の樋口さんを含め、周りで支える、ガイドする大人たちが素晴らしい。こんなチャンスがもっと多くの子どもたちの身近にあれば、自然や考えることが大好きな子どもが増えるに違いない。

    見るからに気持ち悪く、そしてヒトの血を吸うという生態から、嫌がられる、避けられる存在のヤマビル。だからこそ、思い込みや迷信が多く、その代表的なものが、タイトルになっている「ヒルは木から落ちてこない」だと。子どもたちは、それを証明するための実験方法を考え実践し、そして発表会で迷信を捨てられない多くの大人たちと論戦を繰り広げ、どんどん逞しくなっていく。

  • 本の雑誌ベストから。これは、ノンフの一つの理想形。純粋に、ヒルが木から落ちてこない事実一つとってみても興味深いし、小学生中心に行われた研究だから、そんなに小難しいことも行われないから、分かりやすい。仮説の立て方や解釈の仕方につき、自然の流れで説かれていくから、気が付けば研究のイロハについても教えられている、という結構。比較的近所ということもあり、我が子も参加させたい欲求にまで駆られてしまった。素晴らしい一冊。

  • 身近にいるヒルの生態を調べた本
    疑問を実験して解決していく
    分かりやすく良い

  • 國學院大學教員からのおすすめ

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