ザ・ノースフェイスの創業者はなぜ会社を売ってパタゴニアに100万エーカーの荒野を買ったのか? ダグ・トンプキンスの冒険人生

  • 山と渓谷社 (2024年4月16日発売)
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  • 本 ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635172110

作品紹介・あらすじ

「彼はおきて破りが三度の飯より好きだったよ。」
––––パタゴニア創業者イヴォン・シュイナード

成功したアントレプレナーであり、超一流の登山家、そして個人として最大の環境活動家の名を残した男の雄大で破天荒なストーリー。
霊長類研究者ジーェン・グドール博士推薦!


1964年、夫妻で[The North Face]という小さなアウトドア用品店を構え、その後ファッションブランド [Esprit]とともにアパレル業界で大成功をおさめたトンプキンス。
1年の半分はチベット、アルプス山脈、コスタリカなど世界中を飛び回り、カヤックやスキー、登山をしながら、ときどきオフィスに電話をかけて経営に携わる”不在経営”(Management by Absence)という手法をとっていた。
ブランドの大成功で資本主義社会の頂点を極めた後、自分が“間違った山に登頂してしまった”と感じる。

一大決心して会社を売却し、サンフランシスコからはるか6400マイル南のパタゴニアの地に飛び、小さな山小屋で 美しい自然のなかで暮らし始める。
そこでの暮らしが契機となり、前代未聞の大規模環境保護キャンペーンを展開することになる。
パタゴニアから南米最南端のティエラ・デル・フエゴまで、2500万エーカーという広大な土地を国立公園化し、南米大陸の生態系を破壊から守ろうとする、極めて大胆な取り組みだった。

企業活動と社会課題の解決を重ね合わせなければならない現代において、その先駆者となった登山家・起業家・環境活動家の生き様は、数多くのインスピレーションと勇気をもたらしてくれるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 『ザ・ノース・フェイスの創業者はなぜ会社を売って
    パタゴニアに100万エーカーの荒野を買ったか?』

    まずは、パタゴニア社の公式サイト「パタゴニア公園とプマリン公園の寄付を祝して」の動画をご覧ください。

    https://youtu.be/6qNapuAxPCc?si=UnBz67KcIp5CfduT

    【総評】
    読みやすさ ☆☆☆☆★
    創業者の異次元 ☆☆☆☆☆
    パートナーの大切さ ☆☆☆☆☆
    ――――――――
    【購読動機】
    ザ・ノース・フェイスとパタゴニアというブランドは知っていますが、それ以上の知識はありません。
    最近の環境変化は日常生活でも感じられ、2023年の東京都では気温30度以上の日が過去最長の64日間続きました。
    ビル・ゲイツが財団を設立したように、ノース・フェイスの創業者が何をしたのか知りたくなりました。
    ――――――――
    【本書の内容】
    この書籍は、ザ・ノース・フェイスとエスプリを創業したダグ・トンプキンス氏のノンフィクションです。

    エスプリ社は「時代をデザインする」という理念を持ち、1970年代から1980年代にかけて先端を走っていました。全社員無料のランチや、敷地内のプール、4カ月の休暇など、グーグルが生まれる20年以上前の話です。

    トンプキンス氏は経営から退き、「地球保護」を始めました。この本では、その30年弱の歩みを観察できます。
    ――――――――
    【私財で土地を買う。生態系を保持する。そして国に寄付する。】
    トンプキンス氏はロシア、アメリカ、アジアを渡航し、生態系が残る土地を探しました。アルゼンチンとチリの自然に出会い、私財を投じて保護に努めました。しかし、資産だけでは維持が困難で、寄付を募りながら活動を続けました。その年月は約30年にわたります。

    【タグが事故で亡くなる。妻クリスの行動が国立公園につながる。】
    南アメリカの国立公園17個が「公園街道」でつながり、多様な生態系を観察できます。

    このビジョンを描いたのがタグ氏で、実現したのが妻クリス氏です。
    タグ氏の死後、クリス氏は「国立公園構想」を具体化し、5年間の事業計画を策定しました。この計画があったからこそ、アルゼンチンとチリに壮大な国立公園が誕生しました。

    このように、ダグ・トンプキンス氏の人生とその遺産は、環境保護に大きな影響を与え続けています。
    ――――――――
    【パタゴニア】
    南アメリカ大陸の南部に位置し、アルゼンチンとチリにまたがる広大な地域です。
    ①人口
    パタゴニア全体の人口は約200万人です。
    ②観光業
    パタゴニアは自然の宝庫であり、観光業が非常に盛んです。特に有名な観光スポットには、ペリト・モレノ氷河、フィッツロイ山、トーレス・デル・パイネ国立公園などがあります。これらの場所は、ハイキングやトレッキング、氷河観光などのアクティビティが楽しめるため、世界中から観光客が訪れます。
    ③動物
    パタゴニアには多様な動物が生息しています。代表的な動物には、グアナコ、マゼランペンギン、イルカ、スカンクなどがいます³。特にグアナコはパタゴニアの象徴的な動物で、その数は数十万頭にのぼります。
    ④敷地
    パタゴニアの面積は約110万平方キロメートルで、日本の約3倍の広さです。
    ⑤電力
    パタゴニアの電力供給は主に再生可能エネルギーに依存しています。特に水力発電が多く、次いで風力発電が利用されています。火力発電や原子力発電の割合は非常に低いです。
    ――――――――
    【ダグ・トンプキンス氏】
    1943年: オハイオ州で生まれる。
    1966年: サンフランシスコでアウトドア用品店「ザ・ノース・フェイス」を創業。
    1968年: ザ・ノース・フェイスを売却。
    1968年: 妻のスージー・トンプキンスと共に衣料ブランド「エスプリ」を創業。
    1989年: エスプリを売却。
    1990年代: チリとアルゼンチンで広大な土地を購入し、環境保護活動を開始。
    2015年: ダグラス・トンプキンスはカヤック事故で亡くなる。
    2017年: 彼と妻のクリスティン・トンプキンスが設立した「トンプキンス・コンサベーション」が、チリ政府と協力して1,000万エーカー以上の新たな国立公園を設立。

  • アルゼンチンにとっては大変良いこと。
    しかし、娘に1円も遺産を残さないだけでなく、申し立てもさせない。
    徹底してますよね。

  • TNFの創業者ダグ・トンプキンスの破天荒な冒険に溢れた生涯を描いたノンフィクションルポ。

    ノースフェイスとパタゴニアの創業者にこんな深いかかわりがあったのは知らなかったし、エスプリというブランドも知らなかったし、とんでもない利益を生んでいることも知らなかった。まだまだ知らないことだらけだなぁ。

    核心はそういう経済活動ではなくて、チリやアルゼンチンなど南米での自然保護活動のパート。環境活動家というのは感情も行動も極端に走りがちなので、共感が湧きにくいことも多いし、この本でもそういう部分がある。

    それでもやっぱり、財産と生涯かけて保護すべき土地を買い、環境を整備復旧し、言葉と景観を使って人々を啓蒙して、最終的には整備した土地を国立公園として国に返すという事業を成し遂げていく描写には感動を覚える。理屈じゃなくて行動なんよね。考えた通りにはならんけど動いた通りにはなる。

    一つ気に食わんのは、反捕鯨活動のパート。個人的には捕鯨賛成派だが反捕鯨を主張する意見があることが理解する。ダグがそれを主張したいなら、南米での行動のようにきちんと運動すべきだろう。仕事のストレスの気晴らしに捕鯨船に攻撃を仕掛けるという態度は、環境活動に反対されて嫌がらせを受けた自分と同じじゃないか。

    自分は正しいからいいのだ、という意固地さが彼ら環境活動家のイヤな部分なんだ

  • 選書番号:188

  • 『シュードッグ』に通ずる激しく生きた企業家の話

  • やりたいことをやるためには、まずはお金を得る仕組みが必要なことを再認識しました

  • ノースフェイス創業者のダグトンプキンスの環境保護活動について

    ノースフェイス自体はすぐ売却しているので話にはほとんど出てこない。
    友人のイヴォン・シュイナードはパタゴニアの経営を続けているので少し話に出てくる。

    捕鯨保護活動は疑問あり

  • 創業者ってみんな冒険心があっていい。やりたいようにやるだけ!

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