山里にダムがくる

著者 :
  • 山と溪谷社
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本棚登録 : 15
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635310116

作品紹介・あらすじ

「ダムはゼニやな。まっことつまらんで」川のほとりに住むおばあさんはそうつぶやいた。田んぼ、畑、小学校、長年住んだ家…。あたりまえの山里の風景を水の底に沈めるダム。日本各地のダム建設計画地を訪ね、そこに生きる人たちの暮らしを文章と写真でまとめたノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 全国8つのダム水没予定地を巡る旅のルポルタージュ。

  • まず、表紙の写真がいいですねー!この煙草を吹かすお婆ちゃんを見ただけで、読む気をそそりますw
    とはいえ、本の中身はダムに沈む集落のルポなので、生半な気持ちでは読めないのですが、熱くなるでもなく、どこか飄々とした感じで綴られる文章の中に、女性らしい戸惑いや心情が見え隠れして、か弱いながらも人々の話に真摯に耳を傾け、寄り添う感じが表れていて、好感が持たれます。
    土地に愛着があるがための痛みや苦しみを知り、自分には知らないことが多すぎるが故の、無知なる幸せを感じずにはいられませんでした。。。

  • ダム事業によるいくつかの水没(する前の)地を訪ねるルポタージュ。
    津軽ダムの項では、著者菅の出会う人々は一様に、故郷を追い出されることに寂しさを抱きつつも、声を上げ怒りを表現するほどではない。

    一方でその他の項を読むと、この津軽ダムがむしろ例外で、住民からダムそのものに対する憤りや不要論がきわめて薄くしか現れないことに気付く。
    たとえば岡山県の苫田ダムでは、移転することになった住民が、先祖に詫びながら家屋を壊したり、先祖のためにと広い土地を補償金で買ったり、という姿が生々しく、痛ましい。また役所の「100万円作戦」(新居詮索料として100万円を前貸しするもの)についての記述は、役所への不信感をあおる。
    また夕張シューパロダムや八ツ場ダムの項でも、炭鉱に栄えた地域の盛衰や、ひなびた温泉街の水没を巡る建設省不信と新たな生活の場の創造への意気込みは、大変に「生々しく」描かれる。

    山鳥坂ダムの項でも、著者が、「ダム事業(地元交渉)のストレートな進捗」を「地元住民の人間性・風土性」の視点から指摘している。結局のところ、ダム事業という点では同じでも、地域性・風土により歩み方は様々になる、と考えさせられる。

    そう、生々しさ(人間の姿)をもってこそ、ダムの光と影は語られなければならない。ダム問題、ではなく、ひとつひとつのダムの個別問題。人間をきちんと見つけなければならない。

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著者プロフィール

1965年生まれ。自由学園卒業。出版社勤務を経てフリー編集者、ライターとして活躍中。『世界を救うパンの缶詰』(ほるぷ出版)、『シゲコ!―─ヒロシマから海をわたって』(偕成社)、『子どもが幸せになる学校──横浜サイエンスフロンティア高校の挑戦』(ウェッジ)など、著書多数。

「2018年 『小さなパン屋が社会を変える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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