山行記

著者 :
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 51
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635320030

作品紹介・あらすじ

月刊誌「山と渓谷」に掲載され多くの読者の共感を得た、北アルプス、浅間山、南アルプスの山行記三篇に、書き下ろし作品一篇を加えた、著者はじめての紀行文集。

感想・レビュー・書評

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  • 自分も登った山をこんなする風に文章化されるとはて、そうだったかなと思ってしまう。

  • 資料ID:21101161
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  • 「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞をとった医師兼業の作家の山歩きエッセイ~信州の総合病院の勤務医としての激務に加え小説を書いていて,厄年前後にパニック障害・鬱病の診断が下り,仕事を減らして,リフレッシュのために妻と山歩きを始めた。殆どが日帰りだが,2008年夏,保健師に誘われて北アルプスの笠ヶ岳から槍ヶ岳をめぐるテント2泊を敢行する。笠新道では無謀であったと後悔し,リタイアをそれとなく申し出るが,登り切って一息つくと闘志が湧いて来て,走破した。2009年は山登りの原点である浅間山に繰り返し登るが,研修を終えたばかりの女性勤務医を誘う。2010年,南アルプスの白峰三山の農鳥山という穏やかな響きの誘惑に負けて,2008年のメンバーでテント2泊に出掛ける。書くために山に行ったわけではないが,山歩きの際に「からだ」を意識し続け,下りてきた「わたし」が山に取り残してきた「わたし」を下ろしてやるため書く作業は欠かせない。2回目まで断ったNHKのようこそ先輩を「身体で書く」をテーマにして嬬恋の小学生を浅間山に連れて行く~普通の山岳小説と違って著者のへろへろになっている姿が良い。簡単な地図をつけてくれると臨場感が増すのになあ・・と感じていたら,最後にまとめて載せてあった。意外に感じたのは,山でガスがかかると携帯電話が通じなくなるという記事。雲が電波を遮るのかぁと

  • 浅間山の話を読んでると、無性に浅間山に登りたくなった。
    近い人は、登ろうと思えばいつでも行けるのに、嫉妬が。
    この本を読んだ後、テレビでも浅間山をタレントが登ってるのを見て
    なおさらに行きたくなった。

  • 山へ登ることがどの程度うつ病などに効くのか
    正直答えが出るような、出ないような。
    でも、私の経験上、いろいろあったときほど、山へ行っていたかも。逃げる場所は誰にでも必要、私には山だったかもしれない。
    「つられて白峰三山」での北岳の描写は、自分のときとあまりに感じていることが近いので、思わず笑ってしまいました。
    そう、いつまでたっても池が見える、、、。
    ああ、山に行きたいよ~!

  • 医師兼作家である著者がパニック障害,鬱病を経験した後,心身のリハビリのために始めた山登りをはじめる.この本には3つの山行き紀行と,「課外授業 ようこそ先輩」の収録の話を中心としたエッセイがおさめられている.
    登山で身体を酷使することで,生身の身体を感じ,精神の存在を忘れるという点に非常に共感を覚えた.このような登山のしかたが一般的なのかどうかは私はわからないが.
    また,それとは別の登山の魅力(空気,匂い,心臓の鼓動)がよく伝わってきて,私もまた山に登りたくなった.

  • しばらくお目にかかっていないなぁと思っていたら、山に行っておられるのですね最近。治療や気分転換のつもりでふらりと行ってみたらやみつきになり・・・・・体も心も健康になるし、いうことありませんね。山から下りてきたら、とにかく活字にしてしまわないとその山から離れることができなくて昼夜を問わず机に向かってしまう。という感情は私にはちょっとわかりませんが、そのおかげでこうして手にして読ませていただいているんですから結構なことです。私だったらいつまでも余韻に浸っていたいと思うけど。

  • パニック障害とうつを抱えてきた筆者が、病院の仲間や支えてくれた妻らと山に登る記録集、紀行文。
    「わたし」を見極めたい業のようなものを持つ彼が、厳しい自然にむかって酷使する「からだ」でものを捉えようとする。
    「ようこそ先輩」の企画で小学生が答えた小説の定義がおもしろかった。「小説ってのわあ、作文の長いバージョンでえ、じぶんのことを書くけどお、すこしだけ夢も入れとくもの、かな」。またそれを南木佳士が完璧な答えと受けとめているのも可笑しい。

  • 作家件医師は、中年になりうつ病・パニック障害を引き起こす。信州の病院勤務なので、山は近い。妻の提案で50すきてから山登りをするようになる。
    自然の中で「わたし」はいかほどのものか・・と考え、山懐に抱かれる安らぎを得る。
    老齢の境地か、はてまた生きることの味わい深さなのか、
    心に沁みる深い味わい。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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