言葉ふる森

著者 :
制作 : 山と溪谷社 
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 88
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635330497

作品紹介・あらすじ

『山と溪谷』07年1月号〜09年3月号掲載のリレー・エッセイ「言葉ふる森」を中心に個性豊かな現代作家ら29人によるエッセイ・紀行30編。

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌『山と渓谷』連載のエッセイをまとめた1冊です。
    山といっても、書き手によってとらえ方はさまざま。
    国内外、高山低山を問わず、それぞれの山に関する体験や想いを綴っています。

    梨木香歩さんのように、木や花の名前を口にしながら山を歩けたら、山の味わいがさらに深まるのだろうな…とうっとり。
    歩きだけでなく、鉄道や馬で外国の山を越えるのも魅力的…ただし、相当の勇気と覚悟が必要だけれど。
    いつかジョン・ミューア・トレイルなどのロングトレイルを旅する日が来たらすてき。

    誰かの旅の記録を読んで思いを馳せる、それだけなのにその土地が以前よりも親しいものに感じるから不思議です。

  • 作家による「山」のエッセイ・紀行30編
    一人3000字くらいだから短い。
    梨木香歩は東ヌプカウシヌプリという北海道の高山植物が異常に低いところに分布しているという山について。植物の知識量が覗けるあたりが彼女らしい。
    「氷河時代のレリック、失われた時代の思い出のような山。けれど現代に生きている。」「失われた時代の煌めきは、遠く輝く山々の稜線に似ている。
     登れる稜線にしたいと思う、今でも。」

    気になっている川端裕人も紀行を寄せていたことが嬉しかった。冬の屋久島へ行って雪をかきわけ一時間一人で屋久杉を体感した感動。その帰り、股関節の激しい痛みで辛い思いをし帰宅したこと。けれど、そこで身を引かないで彼はまた旅に出ようと文を締めているところが、山を降りた年寄り作家共と違って元気ですごくいいなあ、と思いました(笑)逆に山のエッセイなのに山って‥‥みたいな文書く人が何人か;

  • 山を題材にしたエッセイ・紀行文が30編。
    自分に合う文章かそうでないかでも、感じ方は異なるが、初めて出会う文・感覚に新境地開拓のようで、興味深く読み進められる。
    寮美千子「はじめのひと滴」は、アンナプルナの氷河の美しさを神々しく書く。感覚が合う。
    栗林佐知「愚行の人」は男気ある彼女の山の存在感の大きさが良く伝わる。
    篠田節子「西寧-ラサ チベット高原鉄道二千キロの旅」チベットの風景が浮ぶような肉迫した文章。
    熊谷達也「山が持つ二つの貌」
    立松和平「知床の森のクマ」知床の森での、クマと人間のお互いの領域を侵さない共生に感動。
    古井由吉「大都市の山」東京から想う山と文学を絡めた文がなんとはなしによい。
    南木佳士「山を書く」山を書く筆者の山に対する畏怖の姿勢がいい。
    内山節「民衆史のなかの山」上野村の山と里の境目をクローズアップし、「自然という神」を書く。感覚が合う。
    小池昌代「山が呼ぶとき」
    あげるときりがない。珠玉そろいで読む価値あり。

  • 2007年から2008年にかけて、「山と渓谷」誌に連載された、小説家たちの山に関するエッセイ集。
    30人の書き手、それぞれにさまざまな切り口、山に関する思い入れ、エピソードなどがあり、まとまりはないが、不快ではなく、つらつらと読める。
    時間がある時に読むには良い。

  • 山には縁がない

  • ヤマケイに連載された”個性豊かな現代作家ら29人によるエッセイ・紀行30編”とのことだが、かなりショートエッセイ。山に関する、というより自然、旅全般と範囲は広い。夢枕獏、笹本稜平などいかにもな作家から、あさのあつこ、万城目学など意外な顔ぶれが名を連ねてるのも面白い。自分の好きな作家のところだけ、チラ読みするだけでも良さそうな感じ。

  • 副題には『作家による「山」のエッセイ、紀行30編』とある。2007年から2009年まで、雑誌「山と渓谷」に掲載された連載エッセイと紀行文を収録した作品集だ。豪華な執筆陣に驚く。エッセイストとしても定評がある作家に加えて、詩人も名を連ね、それぞれ筆のおもむくままに「山」の想い出を語っている。全部で29人の作家による30編の作品だが、思い入れの差や掲載誌への親愛度から大分温度差が感じられた。その中で気に入ったものは、やはり堀江さんの「帰途」とあさのあつこさんの「山との日々」。共に子供時代を振り返った話で、大人の目で見る世界と子供見る世界の違いが浮き彫りにされている。この作品集は、「山」という統一テーマはあるものの残念ながら、それぞれの方向性やタッチが違いすぎて、せっかく一冊の本にまとめられたのにバラバラでまとまりがない。いい企画なのに惜しい気がする。

  • 山岳雑誌「山と渓谷」に連載されていた、複数の作家による山に関するエッセイ集だ。
    豪華な執筆陣に惹かれて手に取ったが、ひとつのエッセイが短く、作家の良さを味わうには物足りなかった。
    それにしても、存外、山に対して思い出や思い入れがある文筆家は多いんだなと驚く。登山者人口、侮れない。

  • 作家による「山」のエッセイ・紀行30編、というこの本。実にいろいろな「山」があるものだ。人は山に対して様々な思いを抱き、関わっているんだと興味深く、それぞれに「ほぅ・・・」とか「すごい」とか「うんうん」とか「え〜っ」とか思いながら読んだ。「山」はただあるだけなのになぁ・・・いや、「山」はすごいです!

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。山岳救助犬の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの他、『狼は瞑らない』『光の山脈』『酔いどれ犬』『還らざる聖地』、エッセイ『北岳山小屋物語』『田舎暮らし毒本』などの著作がある。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2022年 『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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