ドキュメント御嶽山大噴火 --生還した登山者たちの証言を中心に救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!-- 【地図付】 (ヤマケイ新書)
- 山と渓谷社 (2014年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635510240
作品紹介・あらすじ
2014年9月27日午前11時52分、9月最後の土曜日、素晴らしい好天と絶好の紅葉シーズン、そして昼どきの最もゆったりした時間帯で、多くの登山者でにぎわっていた御嶽山が、突然、大噴火した。そのとき何が起きたのか-。生還した登山者たちの証言を中心に、救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!
感想・レビュー・書評
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2014年9月27日におこった御嶽山噴火の記録。紅葉シーズンの土曜日昼頃という最悪のタイミングだったので、死者57名、行方不明者7名をだした。
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昨年9月27日に起こった戦後最大の火山噴火災害となった御嶽山の噴火。それから3ヵ月以内に、このような貴重な記録が出版されたことに、大いなる敬意を抱く。
本書の構成は以下のとおり。
①発災後の事象や対応の時系列(いわゆるクロノロ)
②被災者の体験談
③科学的解説
④救助現場からの声
このうち①や②(や④)がメインと考えてよく、大変に意義深い。災害対応に携わりうる者としても、大変に意義深く、是非よく読んで考察すべき。
どういう対応があり得るのか(あったのか)、どんな危険があり、何が生死を分けたのか、といったことが生々しく(そして①ではとても淡々と)語られ、これらを感じ取ることで糧に出来る部分が大きい。
(③だけはやや冗長かつ中途半端で、不完全燃焼も否めないが、あるていど、一般論を学べるのは、一種の休憩的でもあるか。ないよりはあってもよいかも、というぐらいの付け加え) -
先ごろの御嶽山噴火について、詳しく書いた本はないか探していたときに行き当たった本。新聞社による特集冊子も発売されていたが、山といえばヤマケイさんという信頼感から手に取った。
御嶽山が噴火した当日から約10日間の行政各機関の行動を時系列で追い、当日現場にいたかたと、各方面の研究者さんの論考で構成されている。当時は被害の大きさと巻き込まれたかた、遺族のかたの嘆きを大写しにした報道の派手さに目を奪われ、「行政は何をやってる!」的な感想も抱いたものだけれど、時系列で行政(自衛隊含む)・警察・医療関係者の動きを追っていくと、意外に初動も早いしもたつきがなく、プロはプロとして動いていたことがよくわかる。当日現場にいたかたのインタビューはやはり、セミプロ以上の経歴をお持ちで、ご自身のお考えを整理してインタビューでお話しできるレベルのかたに限られている。このレベルのかたたちでも「しばらく噴火していないけど火山」という情報が頭の片すみにあったから対応できたのであって、「紅葉がきれいだから」という楽しみの情報で登山した大半のかたには、対応はきわめて難しい事態だったのもよくわかる。
各方面の研究者さんについての論考は、フォーカスがややずれてるんじゃないかと(素人目には)思われるものもあるけれど、それぞれの専門に軸足を置いた着実なものだと思った。何の専門ももたない私のような人間には、"survivors' guilt"(生き残ってしまったという罪悪感)の考えと接しかたの項が実感できるし、そういった局面に接したときのスキルとして役に立つと思う。
読み終わってから、カバーデザインがそのまんまヤマケイさんだということに気づいた。遅いって、私。 -
生還者、救助者の話が生々しい。被災直後の貴重な記録
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生半可な気持ちで活火山に登ってはいけない
何かあった時に生き残るのは運もあるが、やはり知識と情報を持ち合わせている人。
ふさわしい服装ととっさの判断力、強い精神力などが運命を分ける
火山弾が突然降り注いだらひとたまりもないが。 -
ものすごい臨場感…と思ったら、書いているのが羽根田治さんだった。
子どもの頃よく行っていた御嶽山。小さい弟たちが親と田の原で遊んでいる間に、友だちとズンズン登っていったことがある。すこし雨が降っていて寒かったので、頂上を目前にして諦めて、九合目の小屋で気圧でパンパンに膨らんだパンを食べて引き返した記憶がある。あの小屋が、避難小屋だったとは知らなかった。いま思えば恐ろしいことをしていたなぁと思う。ハイキングくらいの格好で登っちゃってたものなぁ…。 -
居合わせた警察官が怪我人に連れ添っているときに登山者たちが自主的に手伝っていたり、冷静にみんなで助け合っていて素晴らしい
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山が人を襲う。
肝に銘じなければならない。 -
生存者、研究者、救助者の立場からの証言がまとめられていますが、やはり、現場に立ち会った生存者、救助者の証言に深く考えさせられました。
多くの生存者が語る「生き残れたのは運だけ」という現場の過酷さが、映像以上に伝わってきましたし、そんな現場に駆け付け救助活動を行った方々の一人でも多く救いたいという、信念と想いには大変胸が熱くなりました。
登山を趣味として年に数回山に登っておりますが、自分が登る山の火山性活動はしっかり調べ、万が一の事態が起こることを念頭に置いて登頂する意識が芽生えました。
被災された方々に心からご冥福をお祈りいたします。