不思議な薬草箱 魔女・グリム・伝説・聖書

著者 : 西村佑子
  • 山と渓谷社 (2014年2月21日発売)
3.48
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  • レビュー :12
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635810104

作品紹介

「薬草」をキーワードにして、ヨーロッパ文化の深層に迫る知的冒険。ロングセラー『魔女の薬草箱』著者による待望の姉妹本。

不思議な薬草箱 魔女・グリム・伝説・聖書の感想・レビュー・書評

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  • 「魔女の薬草箱」の姉妹編。こちらは薬草にまつわる話がメインになっていて、画像とイラストが豊富な点も同じ。
    グリム童話からドイツの伝説、更に古い時代として聖書に登場する植物についても語っている。
    かつてドキドキしながら読んだ(はずの)「雅歌」にまで触れていて、前述した「魔女の・・」と同様に大変読みやすく分かりやすい。
    ブックトークに使用するべく実はこちらを先に読んでしまったのだが、レビューの順番としては妹が後ということで。

    タイトルになっている「不思議な」というのは、案外身近で良く知られている植物たちが次々に登場するため、その意外性について言ったものだろう。
    「え?あの花や木にそんな力があったの?」という驚きとともに読み進むことになる。

    ただ「ニーベルンゲンの歌」に出てくる菩提樹だけは身近とは言いがたく、隣町の廃寺に生息していたことを思い出して、わざわざ見に行ったりもした。
    菩提樹と聞くと釈迦(これはインドボダイジュ)とシューベルトの楽曲(これはセイヨウシナノキ)くらいしか連想しなかったが、これからはジークフリートの数奇な人生も思い出すことになりそう。

    意外性でトップだったのは「白雪姫」の「リンゴ」と「ホレおばさん」の存在。
    ドイツの人々にとってはサクランボのならない日本の桜は「見せかけの桜」であるらしい。
    花より団子を取る国民性なのか、街路樹もリンゴの樹だというから面白い。
    「ホレおばさん」もまた、童話の登場人物ではなく冥界に住む死の女神という伝説の領域にある存在らしい。
    歴史を知って胸がふさがれる思いになったのは「ヴァルプルギスの夜」の話。
    キリスト教の罪はまことに重いが、地元民は今も4月30日にはお祭りを楽しんでいるらしいからホッとひと安心だ。この辺りは日本人と相通じるものがあるなぁ。
    「最後の晩餐」の記述については、「久オ・ヴァディス」という映画の中で砂の上に魚の絵を描く場面があるわけが、ようやくここで理解できた。何十年ぶりに繋がったことになるだろう・(笑)

    ラスト18ページ分では、ドイツの薬草園と魔女迫害の跡地を訪ねている。
    心の重い旅だったことだろうが、迫害の跡地に建てられた鎮魂碑でわずかに救われる思いだ。
    数々の薬草園も魅力的で、近場だったらどんなにいいだろうと羨ましくもあり。
    今では様々なアニメやコミック、童話等のおかげで魔女のイメージも明るくなった。
    かつてのような被害者ではなく、「賢い女」として社会で生き続けてくれるようにと願う。

  • 「魔女の薬草箱」も早く読まなきゃ!

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    「大好評、そしてロングセラー『魔女の薬草箱』の姉妹本がついに登場しました。

    今回は「薬草」を縦糸に、「魔女・グリム・伝説・聖書」を横糸に構成した内容です。
    「魔女」やさまざまな「伝説」が生み出された背景を「薬草」をキーワードに解き明かす、ちょっと風変わりな文化考。 」

  • 副題にあるように、魔女、グリム童話、伝説、聖書に登場する植物たちがどのように物語中で使われるか、効能を持つかなどをまとめたものである。

    第2章のドイツの伝説では、ヴァルプルギスの夜が何度も登場する。
    面白いのは、魔女が箒に乗ってやってくる、というのは固定観念で、「桶の船」、バター樽、火搔き棒、ニワトリ、フクロウ、荷車など様々なものに乗って彼女たちは集ったらしい。
    いつの間にやら箒一択になってしまっているが、実にユニークな登場方法をしていたかわかる。
    物語は人の口を経て、面白く端的な方に向かうものだ。
    さて、現代の私達も空を飛びたいならJALやANAの他に「魔女の薬草酒」がある。
    割と強めのアルコールで、甘みのあるハルツ名物だということだ。
    しかし、アルコール耐性の低い日本人は、空を飛ぶために酒を飲んでも、飛ばないうちに朝を迎えてしまうかも。

    第3章の聖書の物語では、ザクロ、没薬(ミルラ)、乳香、ヘンナなどが登場する。
    ざくろの話では鬼子母神も登場し、この植物を通して西と東の文化が見えるのが面白い。

    巻末にはドイツの薬草園と、魔女迫害跡地が掲載されている。
    歴史の負の部分も踏まえ、魔女の故郷をいつか訪ねてみたくなった。

  • 魔女や薬草が登場する話を著者の目線で語っている。
    実際に訪れた場所の話も盛り込まれており、物語と現実が繋がっていくので面白い。

  • グリム童話、ドイツの伝承、聖書などに登場する植物について詳しく解説した本…ですが、いろんな国の民俗学的なエピソードもたっぷり散りばめられていて、読み出したら止まらない。マンドラゴラを抜く方法とか、キリストと魚の関係とか、この手の話が好きな人なら大抵知っている有名なエピソードの、さらにもう一歩奥へ踏み込んだところを語ってくれるので、「上級者」でも満足できる内容です。超オススメ!

  • 物語や伝説と、薬草の関係。有名な話から、あまり聞かない話まで、色々載っていて楽しい。

  • グリム童話や伝説、聖書などから、そこに現れる植物について考証してみた・・・というだけではなくて、あちこちからひっぱってくる話題が豊富でとても面白く読めました。
    アダムとイブのりんご、じつは・・・とか、いばらひめを取り囲んだバラの種類、長い髪のラプンツェルは植物の名前、などなど、有名なあのお話や、あまり知られていなお話まで、へぇ!そうだったの?!というエピソードばかりです。
    後半は、作者が訪ねた魔女にゆかりのある場所について。魔女についての前作「魔女の薬草箱」も読んでみたくなりました。
    図版がもっと大きいとよかったのに、残念です。

  • 薬草箱といえばクスリ関係の物語なのかと思いきや、実はグリム童話、伝説、聖書に登場する薬草について、著者が実際にドイツ各地を巡り物語との関わりを考察した内容。例えば『ラプンツェル』という植物はパセリの原種という説があるとか・・・。ヨーロッパの物語には薬草が多く登場します。薬草から歴史や文化をたどっていくと物語の内容がグッと深まる一冊。

  • 物語や聖書に登場している植物や薬草に焦点を当て、作品のなかでどのような役割を担っているか、またどのような植物かを紹介した考察書。

    薬膳、漢方、ドラッグ…現代でも薬にも毒にもなる“薬草”は、童話や物語を通しても重要なアイテムとして登場する。いわゆる“悪役”と呼ばれる魔女や継母が主に取り扱っている“薬草”を中心に、横断的に物語を読むという切り口は新鮮で面白い。セイヨウリンゴ、ハマナス、マンドラゴラ、ユリなど、現代も生きるものから伝説となっているものまでその世界は幅広く深いものの、創作の世界に留まらず歴史面からも解説されているので興味深い内容になっている。
    作中の挿絵やイラストも豊富に掲載され、視覚的にも楽しい。読みやすい文体で、童話・伝説・聖書、植物学、歴史などをより深く複合的に楽しめた。

  • 「薬草」からの中世文化、伝説に魔女。
    歴史に裏づけされた物語はとても造詣が深く、とても興味深い。
    驚きに溺れるのがまた楽しい。

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