明けゆく毎日を最後の日と思え 玉村豊男のコラム日記2019~2020

著者 :
  • 天夢人
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感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635822671

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  • 玉村豊男が、ある雑誌に週1のペースで、2019年初めから2020年暮れまでの2年間に渡り連載していたコラムを単行本にまとめたもの。約100編のコラムが収められているが、1編が800字程度のものなので、あっという間に読み終わる。
    「明けゆく毎日を最後の日と思え」というのは、なかなか良い言葉だと思うが、ホラティウスというローマ時代の詩人の「明けゆく毎日をお前の最後の日と思え」という言葉を拝借したものであるらしい。コロナ禍の中を生きる「基礎疾患のある後期高齢者」である筆者が、いつ死んでもおかしくないと思うようになってからよく思い出す言葉であるらしい。
    読んで、2つ印象に残ったことがある。

    玉村豊男は本コラム連載中の2000年10月に75歳の誕生日を迎えている。75歳になったことを機に、「文章を書く、絵を描く、といった個人的創作活動以外のあらゆる社会的な活動を限りなく縮小して本格的な”隠居生活”に入る」という挨拶状を送ったらしい。玉村豊男は肝臓がんを抱えており、決して万全の健康状態ではないということであるが、信州にワイナリーを持ち、毎朝犬と散歩に出かけ、奥様と奥様の妹さんと暮らし、料理をし、上記の通り、文章を書き、絵を描く、また、たまにパリをはじめとした旅行に出かけるという生活を送っているわけで、それは、ひとつの理想的な老後生活の姿ではないだろうか。

    もうひとつは、2020年6月に書かれたコラムだ。
    日本で新型コロナウィルス感染症が本格化したのは、2020年2月のことであるので、それから数か月後のことである。コロナ感染症について、筆者は下記のように書き記している。
    【引用】
    日本の新型コロナウィルス感染者の数は4月15日前後にピークを迎え、6月15日頃にはおおむね収束する...。PCR検査を巡る言説の対立や政府自治体の対応など想定外のことも多かったが、感染者の数については上記の予測がほぼ当たった。
    これからは、ときどきあちこちで小さなクラスターが発生することはあっても、日常は確実に戻っていくだろう。新しい生活様式といわれるものも、一部は残るが、淘汰されるものもあると思う。
    【引用終わり】
    私たちは、というか、少なくとも私は、2020年6月頃に、新型コロナウィルス感染症に対して、上記のような楽観的な見方が存在していたことを完全に忘れていた。「忘れていた」というか、そのような見方があったということの記憶が全くない。
    たかだか、1年数か月前のことなのに。人間の記憶は曖昧だと改めて思うのと同時に、人間の予測は直近の状況に大きく左右されるのだな、とも改めて思った。

  • 長野県でワイナリーを営む玉村氏の連載エッセイ。コロナ禍前の2019年から、コロナが広まり初めた2020年まで。

  • コロナ感染症拡大により、思わず訪れた、静かな日々。玉村さんは、イタリアの画家 モランデイの在り様がお好きなようで、好きな絵を描いて過ごす、静かな日々を、モランデイの晩年、と名付けられてます。願わくは、その静かな日々が、少しでも長く続きますように、と思う次第。★三つです。なお、玉村さんがお住いの長野県東御市にあるビラデストからの眺望、この本の写真の通りでした、★五つです。

  • クスッと笑えるコラム。
    70代がどんなことを考えて生活しているかがわかる。

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著者プロフィール

一九四五年、東京生まれ。七一年、東京大学仏文科を卒業。在学中にパリ大学言語学研究所留学。通訳、翻訳業を経て、文筆業へ。八年間の軽井沢生活の後、九一年から長野県小県郡東部町(現・東御市)在住。絵画制作のほか、西洋野菜やワイン用ブドウの栽培、ワインの醸造をする農園ヴィラデストを営む。主な著書に『パリのカフェをつくった人々』『男子厨房学入門』『新・田園の快楽』『ぼくのワインができるまで』『毎日が最後の晩餐―玉村流レシピ&エッセイ』ほか多数。

「2021年 『美味礼讃(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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